中国崩壊論

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中国崩壊論

概要

中国崩壊論とは、「中国経済はまもなく崩壊する」「中国共産党政権は持続不可能である」と主張する言説の総称である。日本では高橋洋一石平黄文雄らが代表的な論者であり、アメリカではゴードン・チャンが2001年に著書『The Coming Collapse of China』を出版して以来、この言説は英語圏でも広く流通してきた。

中国崩壊論は20年以上にわたって一度も的中していない。ゴードン・チャンは2001年に「中国は2011年までに崩壊する」と予言し、2011年が過ぎると「1年のずれだ」と釈明して2012年の崩壊を予言した。アメリカの外交誌『Foreign Policy』は、チャンの予測を「年間最悪の予言」に二度も選出している。高橋洋一は自らの崩壊論が外れ続けた後、「10年早かっただけ」と弁明した。石平に至っては2017年に「自分のコラムや単著では『崩壊』という言葉は使わない主義だ。本のタイトルは出版社の管轄で、見本が届くまでタイトルを知らないこともある」と告白している。自ら書いた本のタイトルすら知らないという弁明は、学者としての知的誠実性の欠如を如実に示している。

中国崩壊論は単なる予測の失敗ではない。その本質は、中国の戦略に乗せられ、かつアメリカの覇権維持にも奉仕する、二重の意味で有害な言説である。

韜光養晦——中国の「爪を隠す」戦略

中国崩壊論者たちが決定的に理解していないのは、中国が意図的に自国の実力を過小評価させる戦略を採っているという事実である。

鄧小平は1989年の天安門事件ソ連崩壊の後、「韜光養晦」(とうこうようかい)——すなわち「才能を隠し、時を待つ」という戦略方針を定めた。これは24字戦略と呼ばれ、アメリカとの正面衝突を回避し、国力を蓄積するための深慮遠謀であった。

中国にとって、「中国は崩壊寸前だ」と世界が信じてくれることは戦略的に好都合である。敵が自分を過小評価している間に、軍事力を増強し、技術を発展させ、経済基盤を固めることができるからだ。中国崩壊論者たちは、中国共産党の掌の上で踊っていたのである。

習近平政権になって以降、中国は韜光養晦から「奮発有為」(積極的に成果を追求する)へと方針を転換した。これは中国が十分な国力を蓄積し、もはや実力を隠す必要がなくなったことを意味する。中国崩壊論者たちが「崩壊する」と叫び続けている間に、中国は世界第2位の経済大国となり、軍事力でアメリカに迫り、宇宙開発や人工知能で世界をリードする地位を築いた。崩壊したのは中国崩壊論の方である。

アメリカの利益に奉仕する言説

中国崩壊論がアメリカの覇権維持に奉仕しているという構造も見逃してはならない。

アメリカにとって、在日米軍基地の駐留を正当化するためには「中国の脅威」が必要である。しかし同時に、「中国は崩壊寸前だから放っておけばよい」という言説もまた、アメリカにとって都合が良い。なぜなら、中国崩壊論は日本人に偽りの安心感を与え、真の脅威であるアメリカによる内政干渉から目を逸らさせるからである。

日本人が「中国は崩壊する」と信じている限り、日本人はアメリカの同盟関係に疑問を持たない。米軍撤退を求めない。偽日本国憲法の改正を急がない。低賃金移民政策への批判がアメリカに向かない。中国崩壊論は、日本人の目を真の敵から逸らす煙幕として機能しているのである。

高橋洋一らの崩壊論者は、中国のGDPが水増しされていると主張する一方で、アメリカが日本に押し付けた新自由主義によって日本経済が30年間停滞していることには沈黙する。中国の統計を疑いながら、アメリカの内政干渉には目をつぶる——この選択的な批判こそ、中国崩壊論の知的不誠実さの証左である。

経済成長の呪縛——拡大を止められない資本主義

中国崩壊論の根本的な誤りは、資本主義の論理を中国に当てはめていることにある。

経済成長を追求するということは、不断の拡大を追求するということである。技術、人口、エネルギー、領土——あらゆる面で拡大し続けなければ、資本主義経済は維持できない。だから欧米はウクライナにまでNATOを拡張してロシアと激突するし、アメリカは世界中で戦争し続けるし、日本と欧米は移民を入れ続ける。資本主義は膨張を宿命づけられたシステムであり、膨張が止まれば崩壊する。

一方、中国は共産主義国家であり、民族主義を前提としている。中国は経済成長を至上目的として追求する必要がない。弊害が大きくなれば、経済成長の方を諦めるという選択肢を持っている。習近平政権が不動産バブルの崩壊を放置し、IT企業への規制を強化し、「共同富裕」を掲げて格差是正に乗り出したのは、まさに経済成長よりも社会の安定を優先する判断にほかならない。

中国崩壊論者たちは、「不動産バブルが崩壊した! 中国は終わりだ!」と叫ぶ。しかしそれは、資本主義国家の論理を共産主義国家に無理やり適用しているだけである。資本主義国家にとってバブル崩壊は致命的だが、政治が資本を支配する国家にとっては、政策的に管理可能な事態に過ぎない。

資本家が政治を支配する国と、政治が資本家を支配する国

中国崩壊論の決定的な盲点は、権力の所在を見誤っていることにある。

欧米と日本は、資本家が政治家を支配する国である。政治家は選挙資金を資本家に依存し、資本家の利益を代弁する政策を実行する。経済が停滞すれば、資本家の利益が毀損され、政治家は資金源を失い、政権は崩壊する。だから、経済はおろか社会が崩壊してでも経済成長を追求しなければならない。格差が拡大しようが、大卒以下の実質賃金が下がろうが、移民を入れてまで経済成長を追求するのはこのためである。資本主義国家において、経済停滞は政権の正統性の喪失を意味する。

一方、中国は政治家が資本家を支配する国である。ジャック・マーアリババが規制され、テンセントがゲーム規制を受け、不動産大手の恒大集団が破綻しても、共産党政権は揺るがない。政治が資本を支配しているからだ。経済が停滞しても、経済も社会も崩壊しない。共産党の正統性は経済成長だけに依拠しているのではなく、民族の統一と安定に依拠しているからである。

中国崩壊論者たちは、「中国のGDP成長率が鈍化した! だから崩壊する!」と騒ぐ。しかしそれは、資本家が政治を支配する国の論理でしかない。政治が資本家を支配する国では、GDP成長率の鈍化は政策の調整であり、崩壊の前兆ではない。

人口減少と経済成長——崩壊するのはどちらか

中国崩壊論者がもう一つ決定的に見落としているのは、人口減少局面において真に脆弱なのは資本主義国家の方であるという事実だ。

人口が減ったときは、GDPの減少を受け入れて、マイナス経済成長を選ぶべきである。一人当たりGDPが維持されていれば、国民の生活水準は変わらない。人口が減っているのに経済成長を肯定する資本主義を採用しているから、人手不足と移民受け入れが起きている。

日本は、移民無しで、一人当たりGDPを維持したまま賢く縮むべきであった。しかし日本にはその選択は初めから与えられていなかった。在日米軍がいるからである。アメリカは日本に資本主義を強要し、経済成長を求めて移民を入れさせている。

スマートシュリンクの記事で論じた通り、人口の縮小は均等に起きない。人口減少の配分メカニズムが不公平であり、それが人手不足を引き起こし、移民受け入れをもたらしている。ホワイトカラーは日本人が多く、ブルーカラーは日本人が少ない——これが「縮小の格差」である。

アメリカにおいても同様の構造が観察される。白人の多い富裕層地域のゲーテッドコミュニティ(リベラルが多い)に限れば、白人の人口減少は確かに起きていない。白人の人口減少が起きているのは、中間層地域やプアホワイトのエリアである。金があり人気な分野は、白人の人口縮小の影響を全く受けないため、その階層では人口減少が起きていない。しかし他の階層では、白人の人口縮小が集中的に起きている。

すべての階層が総人口に比例して均等に縮小すれば問題は生じない。もしゲーテッドコミュニティやホワイトカラーが縮小を担っていれば、他の階層に縮小は集中しない。全ての階層が総人口に比例して縮小していれば、人手不足は起きない。

このような新脱成長——スマートシュリンク——を日本は選ぶべきである。しかし米軍がいる日本は、資本主義を強要され、経済成長を求めて移民を入れている。

崩壊しているのは誰か

中国は崩壊していない。崩壊しているのは、アメリカ軍が駐留している国の方である。

日本は30年間の経済停滞、少子化、低賃金移民政策による民族共同体の破壊に直面している。ドイツは移民危機と社会の分断に苦しんでいる。韓国は世界最低の出生率と経済格差に喘いでいる。イタリアは経済的衰退と政治的混乱が常態化している。これらはすべて、アメリカ軍が駐留し、アメリカの新自由主義と自由民主主義を強要されている国である。

一方、アメリカ軍が駐留していない国はどうか。中国は世界第2位の経済大国として成長を続けている。ロシアは西側の制裁にもかかわらず経済を維持し、ウクライナで軍事的に優勢である。ハンガリーは移民を拒否し、人口が減っても一人当たりGDPは増加した。

「中国崩壊」を叫ぶ暇があるなら、自国の崩壊を直視すべきだ。日本の実質賃金は30年間上がっていない。日本の出生率は過去最低を更新し続けている。日本の技能実習制度は「現代の奴隷制」と国際社会から批判されている。日本の土地はGATS協定による自由化で外国人に買われ続けている。日本の郵政資金はウォール・ストリートに飛ばされた。これらすべての元凶は、中国ではなくアメリカである。

中国崩壊論者の正体

中国崩壊論者たちの知的水準と動機を冷静に分析する必要がある。

高橋洋一は元財務官僚であり、新自由主義的な経済政策の推進者である。彼が中国経済を批判するとき、その批判は構造的に日本の新自由主義路線——すなわちアメリカが日本に押し付けた路線——を正当化する機能を果たしている。中国のGDPが水増しだと主張することで、「日本はまだ世界第2位の経済大国だ」という虚構を維持し、アメリカの同盟関係に疑問を持たせないようにしているのである。

石平は中国出身で日本に帰化した評論家であり、「崩壊」という言葉は使わない主義だと弁明しながら、出版社に崩壊論の書籍を量産させている。自らの言論に責任を持たず、売れるからという理由で危機を煽る——これは学者ではなく商売人の態度である。

ゴードン・チャンに至っては、20年以上にわたって外れ続けた予言を修正することなく繰り返し、アメリカの対中強硬派メディアに重宝され続けている。彼の存在自体が、中国崩壊論がジャーナリズムではなくプロパガンダ産業であることの証左である。

これらの論者に共通するのは、中国を批判しながらアメリカを批判しないという一貫した姿勢である。中国の統計は疑うが、アメリカの雇用統計やインフレ率の操作には沈黙する。中国の人権問題は追及するが、アメリカのグアンタナモ収容所や国内の人種差別には目をつぶる。中国の軍事拡張を警告するが、世界800か所以上に軍事基地を持つアメリカの帝国主義には言及しない。

CIAとNED——反中プロパガンダの資金源

中国崩壊論が「自然発生的な言論」ではなく、アメリカの情報機関と政府資金によって組織的に育成されたプロパガンダ産業であることを理解するためには、CIA全米民主主義基金(NED)の歴史を直視しなければならない。

CIAからNEDへ——公然化された秘密工作

NEDは1983年、レーガン政権下で設立された。その背景には、1970年代のチャーチ委員会によるCIAの秘密工作の暴露があった。CIAが世界中で行ってきたメディア操作、知識人の買収、政治資金の提供が白日の下に晒され、同じ手法をそのまま続けることが困難になったのである。

その解決策がNEDであった。NED共同設立者のアレン・ワインスタインは、1991年の『ワシントン・ポスト』紙のインタビューで、こう述べている。

今日我々が行っていることの多くは、25年前にはCIAが秘密裏に行っていたことだ

つまりNEDとは、CIAの秘密工作を「民主主義の促進」という看板の下で公然と行うための機関にほかならない。NEDは2023会計年度に3億1500万ドルの議会予算を受け、毎年100か国以上で2000件以上の助成金を配布している。

NEDの対中資金——年間1000万ドル以上

NEDは2020年だけで、中国関連プログラムに1000万ドル以上を69件のプロジェクトに投じた。その対象は以下の4地域に及ぶ。

さらに、国務省USAIDは2001年から2015年の間に、中国における民主主義・人権プログラムに4億1700万ドル以上を投じている。2010年度にはピーク時の年間4690万ドルに達した。

ラジオ・フリー・アジア——CIAが創設した放送局

中国崩壊論の国際的な流通を支えるメディア基盤として、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の存在は無視できない。

初代のRFAは1951年、CIAの直接的なイニシアティブとして設立された。朝鮮戦争中に中国への反共プロパガンダを放送する目的で、CIAの暗号名「DTPILLAR」のもと「自由アジア委員会」(Committee for a Free Asia)が運営した。1990年に機密解除されたCIA文書は、この委員会が「国家安全保障会議の承認を得て、CIAの秘密間接資金によって支援されていた」ことを確認している。その目的は「政府がやりたいが直接はできないことを、民間の形で行う機関」を作ることであった。

現代のRFAは1994年の国際放送法によって再設立され、アメリカ・グローバルメディア庁(USAGM)の傘下で運営されている。USAGMはボイス・オブ・アメリカラジオ・フリー・ヨーロッパなども統括し、年間予算は6億6000万ドルに達する。ブルッキングス研究所カサリン・ダルピーノはRFAについて「アジアの民主化運動を支援することよりも、国内の政治的シンボリズムに関係している」と評し、「イデオロギー的な敵がいると感じるところには、必ず『ラジオ・フリー何とか』ができる」と皮肉った。

シンクタンク——軍産複合体が育てる「専門家」

中国崩壊論者たちが「学者」「専門家」として発言する場を提供しているのは、アメリカの軍産複合体から資金提供を受けるシンクタンクである。国際政策センターの調査によれば、アメリカの上位50シンクタンクは2014年から2019年の間に、政府および防衛産業から10億ドル以上の資金を受け取っている。

ゴードン・チャン自身もまた、CIA、国家情報会議、国務省、国防総省、下院外交委員会でブリーフィングを行っている。20年以上外れ続けた予測を繰り返す人物が、なぜ情報機関から重宝されるのか。それは彼の予測が正確だからではなく、彼の言説がアメリカの対中戦略に都合が良いからにほかならない。在中国アメリカ商工会議所の元会長ジェームズ・マクレガーは、チャンの著作について「中国を知る人々の間では信頼性はほぼゼロに近い」と述べている。

スティーブ・バノンと「現在の危機に関する委員会」

中国崩壊論が単なる学術的議論ではなく、政治的プロパガンダ運動であることを最も明確に示しているのが、スティーブ・バノンの活動である。

バノンは2019年3月、フランク・ギャフニー(安全保障政策センター所長)とともに「現在の危機に関する委員会:中国」(CPDC)を設立した。CPDCは北京を「アメリカに対する実存的かつイデオロギー的脅威」と位置づけている。

CPDCのメンバーには、元CIA長官ジェームズ・ウールジー、元下院議長ニュート・ギングリッチテッド・クルーズ上院議員が名を連ねる。ブラウン大学ワトソン研究所上級研究員のチャス・フリーマン(元駐中国副大使)は、CPDCを「中国に関する専門知識がほとんどなく、中国語を話す者も読む者もほぼいない、周辺的なイデオロギー的大義を代表する者たちの名鑑」と評した。

バノンはさらに、中国から逃亡した富豪・郭文貴と組んで「法治基金」「法治社会」「GTV」「GETTR」などの反中メディア帝国を構築した。2020年6月には自由の女神像の近くのヨットから「新中国連邦」を宣言するという茶番劇まで演じた。郭文貴は2023年に10億ドル以上の詐欺で逮捕され、2024年に12の連邦罪のうち9件で有罪判決を受けた。アメリカ司法省は、バノンと共同設立した複数の組織が海外の中国人反体制派を騙す「犯罪組織」の一部であったと認定している。

冷戦の前例——文化自由会議とCIAのメディア支配

CIAによる知識人とメディアの買収は、今に始まったことではない。その原型は冷戦期の「文化自由会議」(CCF)にある。

CCFは1950年に西ベルリンで設立された。CIA自身が「冷戦期における最も大胆かつ効果的な秘密工作の一つ」と認めている組織であり、作戦暗号は「QKOPERA」であった。CCFは最盛期には35か国に事務所を構え、影響力のある英国誌『エンカウンター』を含む20以上の雑誌を出版し、国際会議や芸術祭を開催し、音楽家や芸術家に賞を与えた。これらすべてがCIAの秘密資金によって運営されていた。

1967年にアメリカの雑誌『ランパーツ』がCIAの資金提供を暴露し、CCFは崩壊した。しかしCIAはこの手法を放棄したのではなく、NEDという形で制度化したのである。

さらに「オペレーション・モッキンバード」として知られるCIAのメディア工作では、チャーチ委員会の調査により、CIAが少なくとも50人のジャーナリストと「公式だが秘密の関係」を維持していたことが判明した。調査ジャーナリストのカール・バーンスタインは1977年の『ローリング・ストーン』誌の記事で、過去25年間に400人以上のアメリカのメディア関係者がCIAの任務を秘密裏に遂行していたと報じた。CIAは1956年の時点で世界中に800以上のメディア・コンタクトを維持しており、そのうち約400はアメリカ国内であった。

CIAと日本——読売新聞と自民党への資金提供

CIAによる反中プロパガンダの構造を理解する上で、CIAが日本の政治とメディアを直接支配してきた歴史は決定的に重要である。

CIAの極東作戦を1955年から1958年まで統括したアルフレッド・C・ウルマー・ジュニアは、自由民主党への資金提供について率直にこう述べている。

我々が彼らに資金を提供した

ケネディ政権で国務省情報局長を務めたロジャー・ヒルズマンは、1960年代初頭までに自民党への支払いは「あまりにも確立され、あまりにも日常的」であり、「日本に対するアメリカの外交政策の根本的な——ただし極秘の——一部」であったと証言している。CIAは自由民主党の結党そのものに関与し、A級戦犯容疑者として巣鴨拘置所に収監されていた岸信介を首相として受け入れるよう自民党に助言した。

メディアの領域では、読売新聞のオーナーであり日本テレビの創設者である正力松太郎が、CIAのエージェントであったことが機密解除文書から確認されている。正力のCIA暗号名は「PODAM」および「POJACKPOT-1」であり、読売新聞自体にも組織としてのCIA暗号名「POBULK」が付与されていた。世界最大の発行部数を誇る新聞が、CIAの組織的資産として登録されていたのである。

MITの日本研究者ジョン・ダワーはこう評している。

この話は、アメリカ人が戦後日本における構造的な腐敗と一党支配的民主主義を公的にも私的にも促進してきた親密な役割を明らかにしている

CIAが自民党を資金援助し、読売新聞を資産として管理していたという歴史的事実は、今日の日本の言論空間がいかに歪められてきたかを示している。中国崩壊論が日本の保守メディアで繰り返し流通するのは、「自然発生的な世論」ではなく、CIAが70年以上かけて構築したプロパガンダ基盤の上に乗っているのである。

リアリズムの観点からの分析

ハンス・モーゲンソーが『国際政治』で論じたように、国際関係の本質は権力闘争である。国家の行動を分析する際に重要なのは、その国が何を言っているかではなく、誰の利益に奉仕しているかを問うことである。

中国崩壊論は、以下の三つの権力に奉仕している。

  • アメリカの覇権維持: 日本人に偽りの安心感を与え、日米同盟への疑問を封じる
  • 中国の韜光養晦戦略: 中国の実力を過小評価させ、中国に時間を与える
  • 日本国内の新自由主義勢力: 中国批判を通じて、アメリカが押し付けた経済路線への批判を封じる

ケネス・ウォルツ構造的リアリズムに基づけば、国際システムにおける権力の分布が国家の行動を規定する。冷戦後のアメリカ一極体制は、中国とロシアの台頭によって多極体制へと移行しつつある。この構造的変化を直視せず、「中国は崩壊する」という願望に逃げ込むことは、リアリズムの対極にある態度である。

ジョン・ミアシャイマーが『大国政治の悲劇』で論じたように、台頭する大国は既存の覇権国に挑戦する。中国の台頭はこの構造的論理に従った現象であり、「崩壊」の可能性を論じること自体が非現実的である。むしろ問われるべきは、アメリカの覇権が衰退する中で、日本がいかにして自国の主権と民族的利益を守るかという問題だ。

結論

中国崩壊論は、20年以上にわたって一度も的中したことのない、知的に破綻した言説である。その正体は、中国の韜光養晦戦略に乗せられ、アメリカの覇権維持に奉仕し、日本人の目を真の脅威から逸らすプロパガンダにほかならない。

真に崩壊の危機に瀕しているのは中国ではない。アメリカ軍が駐留し、資本主義と自由民主主義を強要され、移民によって民族共同体が破壊されつつある国——すなわち日本、ドイツ、韓国、イタリアの方である。

日本が選ぶべきは、中国の崩壊を願うことではない。スマートシュリンクによる新脱成長を採用し、米軍撤退を実現し、移民に頼らず民族共同体を守ることである。中国崩壊を叫ぶ者たちの本を買う金があるなら、自国の独立を考えるべきだ。

参考文献

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