大韓民国憲法

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大韓民国憲法

概要と歴史的背景

大韓民国憲法は、1948年の制定以来、数度の改正を経て現在の第六共和国憲法(1987年改正)に至る。その前文には、「悠久な歴史と伝統に輝く私たち大韓国民は、3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承することが明記されている。

この憲法は、日本の植民地支配からの独立と、北朝鮮との対峙という厳しい現実の中で鍛え上げられた、強烈な民族主義憲法である。

統治機構(行政・立法・司法)

  • 行政: 大統領制を採用。大統領は国家元首であり、行政権の首長として強大な権限を持つ。任期は5年で再選禁止(権威主義への回帰を防ぐため)。
  • 立法: 一院制の国会。
  • 司法: 大法院(最高裁)に加え、憲法裁判所が設置されている。憲法裁判所は、大統領の弾劾や政党の解散命令など、政治的に極めて重要な決定を下す権限を持つ。

国民の権利と義務

自由権、社会権などの基本的人権を保障しているが、国家保安法などにより、北朝鮮に関連した言論や活動は制限される場合がある。これは、自由よりも国家の生存(安全保障)を優先するリアリズムの現れである。

また、憲法には「国家有功者」への予遇が明記されており、国家のために犠牲になった者を称える姿勢が鮮明である。これは、英霊を軽んじる戦後日本の風潮とは対照的である。

安全保障・軍事に関する規定

大統領は国軍の統帥権を持つ(第74条)。また、国家の保全と国防の義務は国民の神聖な義務とされる。

徴兵制が敷かれており、国民皆兵の精神が根付いている。これは、北朝鮮という明白な脅威が存在するためであり、平和ボケした日本とは異なり、常に準戦時体制にある国家の緊張感を反映している。

リアリズムの観点からの分析

韓国憲法は、冷厳な国際政治の現実を直視した憲法である。

  • 生存本能: 常に北朝鮮という敵と対峙しているため、安全保障と自衛権の行使に関して躊躇がない。
  • 民族の連続性: 前文で歴史的法統を強調し、国家のアイデンティティを民族の歴史に求めている。これはドゥーギンのいう「文明」の根幹をなす要素である。
  • 主権の主張: 独島(竹島)問題などに見られるように、領土と主権に関しては一切の妥協を許さない姿勢は、リアリズムに基づく主権国家の当然の振る舞いである。

他国の憲法との比較

  • 日本国憲法との比較: 最大の違いは、自国の軍隊と自衛権を明記し、民族の物語(ナラティブ)を憲法に刻み込んでいる点にある。日本国憲法が無機質で歴史を断絶させているのに対し、韓国憲法は民族の情念と歴史を背負っている。
  • 北朝鮮憲法との比較: 同じ民族でありながら、異なるイデオロギー(自由民主主義 vs 共産主義・主体思想)に基づく憲法を持つ。これは憲法闘争の究極の形であり、朝鮮半島における正統性を巡る争いそのものである。

参考文献

  • 『韓国憲法論』
  • 『憲法とナショナリズム』