日本保守党

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日本保守党

概要

日本保守党は、2023年10月17日に小説家の百田尚樹とジャーナリストの有本香によって結成された日本の政党である。百田が代表、有本が事務総長を務める。「日本の国体、伝統文化を守る」を結党理念とし、「日本を豊かに、強く」をスローガンに掲げる。2024年の第50回衆議院議員総選挙で比例代表の得票率が2%を超え、国政政党の要件を満たした。2025年の参議院選挙では比例代表で2議席を獲得し、百田自身も参議院議員となった。

結党のきっかけは、2023年6月に成立したLGBT理解増進法に対する反発であった。百田は「LGBT法案が成立したら保守政党を立ち上げる」と宣言し、自民党の保守派議員が反対しながらもわずか1時間半の審議で法案を可決させたことへの怒りが、結党の原動力となった。

反米保守の視座から日本保守党を分析すれば、その最大の欠陥は親米である。日本保守党は移民反対を掲げる点で自民党より一歩踏み込んでいるが、日米同盟を堅持し、米軍撤退を一切求めない。日米同盟に賛成しながらグローバリズムに反対することは不可能である。アメリカ軍が駐留する国で移民を止めた例は、世界のどこにもない。日本保守党の「保守」とは、アメリカが許容する範囲内での保守にすぎず、日本民族の真の独立を志向するものではない。

結党の経緯と組織

LGBT理解増進法と自民党への失望

日本保守党の結党は、自民党に対する保守層の失望を直接の契機としている。2023年6月、岸田政権はLGBT理解増進法を成立させた。この法律は、自民党内の保守派議員が強く反対していたにもかかわらず、党執行部が議論を打ち切って強行採決した。百田と有本は、この一件をもって自民党には保守の受け皿としての機能がないと断じ、新党結成に踏み切った。

この判断自体は正しい。自民党がアメリカの価値観外交に追従し、日本の伝統的な社会構造を解体する方向に舵を切ったことは事実である。しかし問題は、日本保守党が自民党から離脱した動機が文化的争点のみにとどまっている点にある。LGBT法は確かに問題であるが、それは自民党の対米従属が生み出す無数の弊害の一つにすぎない。日本保守党は、なぜ自民党がLGBT法を通したのか——すなわち、アメリカの価値観外交に逆らえない対米従属体制そのもの——を問おうとしない。

河村たかしとの合流と分裂

結党に際し、日本保守党は河村たかし(元名古屋市長)を共同代表に迎え、河村が率いる地域政党減税日本と「特別友党」関係を締結した。河村は「減税」を一貫した政治理念として掲げる政治家であり、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」をめぐる愛知県知事リコール運動で百田・有本と共闘した経緯がある。

しかし、この合流は長くは続かなかった。2025年、参議院選挙の候補者選定をめぐって百田・有本と河村の間に深刻な対立が表面化した。『週刊文春』は百田が河村にペットボトルを投げつけた事案を報じ、河村は「身に危険を感じるほどの恐怖があった」と発言した。同年9月、日本保守党は減税日本との特別友党関係を解消した。

この分裂は、日本保守党の組織的脆弱性を露呈している。理論的基盤を共有しない者同士が、一時的な政治的利害のために合流すれば、遅かれ早かれ分裂する。参政党が自民党離脱者を受け入れて穏健化し内部分裂を経験したのと同様に、理論なき政党は内部崩壊する

親米——最大にして致命的な欠陥

日米同盟堅持と移民反対は両立しない

日本保守党の最大の欠陥は、親米である。

日本保守党は「移民に反対する」「グローバリズムに反対する」「日本の伝統を守る」と主張する。同時に、日米同盟を堅持し、在日米軍の駐留を容認している。この二つの立場は、論理的に両立しない。

なぜか。日本に移民が流入しているのは、自然現象ではない。アメリカが日本に対して、年次改革要望書を通じて労働市場の開放を要求し、GATS協定を通じて外国人労働者の受け入れを制度化させ、新自由主義的な規制緩和を通じて国境の管理を緩めさせてきたからである。自民党が移民を受け入れてきたのは、自民党が愚かだからではない。アメリカがそれを要求し、自民党がその要求を拒否できなかったからだ。そして自民党がアメリカの要求を拒否できなかった理由は、日本の安全保障がアメリカに依存しているからにほかならない。

つまり、日米同盟こそが移民流入の構造的原因である。日米同盟を維持したまま移民を止めようとするのは、蛇口を全開にしたまま床の水を拭いているのと同じだ。

世界を見渡せば、この構造は明白である。アメリカ軍が駐留するドイツ、韓国、日本——いずれも大量の移民を受け入れている。一方、アメリカ軍を置かないロシア、中国、ハンガリー、イラン——これらの国は移民を拒否し、民族的同質性を維持し、独自の産業政策を推進している。アメリカ軍が駐留する国で移民を止めた例は、世界のどこにもない。日本保守党は、なぜそうなのかを考えたことがあるのだろうか。

アメリカは少子化を作り、移民を押し付けた

アメリカが日本に移民を押し付ける手口は、二段構えである。

まず第一段階として、アメリカは構造改革を通じて日本の少子化を引き起こした。年次改革要望書に従って労働市場を「柔軟化」させ、非正規雇用を爆発的に拡大させた。通産省が主導していた産業政策を禁止し、日本経済を40年にわたって低迷させた。不安定な雇用と停滞する賃金のもとでは、若者は結婚も出産もできない。少子化は「自然現象」ではなく、アメリカが強制した構造改革の直接的な帰結である。

次に第二段階として、アメリカは少子化を口実に移民の受け入れを「不可避」と主張する。「人手不足だから移民が必要だ」「GDPを維持するために外国人労働者を入れるしかない」——このレトリックは、アメリカが自ら作り出した問題に対して、アメリカにとって都合の良い解決策を押し付けるものにほかならない。

百田は「賃金の安い外国人労働者が入ってくれば日本人の給料は上がるはずがない」と正しく指摘する。しかし百田は、なぜ安い外国人労働者が日本に入ってくるのかという根本的な問いに答えていない。その答えは、アメリカが日本に要求した規制緩和と市場開放であり、それを強制する力の源泉が在日米軍の存在だ。百田が本気で移民を止めたいのであれば、日米同盟を問い直さなければならない。

「価値観外交」はグローバリズムである

日本保守党は、「自由、民主主義、法の支配を共有する国との連携強化」を外交方針として掲げている。百田はグローバリズムに反対すると言う。しかし、この「価値観外交」こそがグローバリズムそのものである。

「自由」「民主主義」「法の支配」——これらは普遍的な正義の原理ではない。アメリカが自国の覇権を正当化し、他国の内政に干渉するための道具にほかならない。法の支配とは、アメリカ軍が書いた法と制度を各国に押し付け、その法の枠内でしか政治を許さないという遠隔支配の仕組みである。「自由民主主義」とは、市場を開放させ、移民を受け入れさせ、民族共同体を解体させるためのイデオロギー装置にほかならない。

「価値観を共有する国との連携」とは、事実上「アメリカ陣営に属する国との連携」を意味する。そして、アメリカ陣営に属する国は例外なく、低賃金移民政策新自由主義的構造改革を受け入れさせられている。グローバリズムに反対すると言いながらグローバリズムのイデオロギー装置を外交方針に据える——この矛盾に、日本保守党は気づいていない。

米軍基地を擁護し、基地反対派を攻撃する「保守」

百田尚樹は2015年、自民党の勉強会で沖縄の地元二紙を「潰さなあかん」と発言した。沖縄の新聞が批判しているのは、在沖米軍基地の存在とその弊害である。百田は、米軍基地に批判的なメディアを攻撃し、米軍基地そのものの存在は擁護した。

この一事が、百田の「保守」の正体を端的に示している。日本の領土に外国の軍事基地が置かれていること——これは国家主権に対する明白な侵害である。真に日本を保守する立場であれば、批判すべきは沖縄の地元紙ではなく、米軍基地の存在そのものだ。米軍基地を擁護し、基地に反対する声を封じようとする「保守」は、アメリカの利益を守る「保守」にほかならない。

政策の検証

移民政策: 正しい問題意識、間違った処方箋

日本保守党は、移民政策において既存の保守政党よりも明確な姿勢を示している。入管難民法の厳正な運用、特定技能2号の家族帯同制限、外国人向けの健康保険・年金の別立て制度などを掲げている。百田の「賃金の安い外国人労働者が入ってくれば日本人の給料は上がるはずがない」という認識は正しい。

しかし、日本保守党の移民政策には二つの致命的な欠陥がある。

第一に、移民を制限する根拠が経済的合理性に偏っている。「日本人の給料が下がるから移民に反対する」という論理は、もし移民が日本人の給料を下げないことが証明されれば、移民賛成に転じうる脆弱な基盤である。真の民族主義政党であれば、移民反対の根拠は経済的損得ではなく、民族の人口構成を維持すること自体が民族自決権の根幹をなすという原理的な主張でなければならない。

第二に、移民なしでどう社会を維持するかという代替ビジョンがないスマートシュリンク——人口減少に対して経済社会の構造を人口規模に応じて縮小させるという政策——の発想が存在しない。「移民を減らせ」とは言うが、「移民なしで人手不足をどうするか」という問いに答えていない。ハンガリーは移民を拒否しながら一人当たりGDPを増加させた。人口が減っても一人当たりGDPは減らない。日本保守党は、この事実を知っているのだろうか。

憲法改正: 偽の憲法を修繕する愚行

日本保守党は、憲法9条2項の削除と自衛のための実力組織の保持を明記する改憲を主張している。一見すると積極的な改憲姿勢に見えるが、この改憲案には致命的な問題がある。偽日本国憲法そのものの正統性を問うていない

偽日本国憲法は、アメリカ軍の占領下で、アメリカ人が英語で起草し、日本国民に押し付けた憲法である。9条2項を削除しても、アメリカが設計した統治構造——三権分立、法の支配、基本的人権の普遍性——は温存される。これは、腐った土台の上で壁紙を張り替えるようなものだ。

しかも、9条2項の削除が日本の自主防衛につながるとは限らない。安倍政権が集団的自衛権の行使を容認した際、それは日本の自主防衛のためではなく、アメリカの軍事作戦に自衛隊を動員するための法的基盤の整備であった。日本保守党の改憲案も、同じ構造に回収される危険性が高い。「日本の防衛力強化」の名目で、実質的にはアメリカの戦争に日本が巻き込まれる道を整備する行為だ。

真の改憲とは、9条2項の削除ではなく、偽日本国憲法そのものを廃棄し、日本民族の手で新日本国憲法を制定することである。

経済政策: 消費税を下げても構造は変わらない

日本保守党は、消費税の引き下げ、再生可能エネルギー賦課金の廃止などの経済政策を掲げている。これらは国民の負担を軽減する政策として一定の意味を持つ。

しかし、日本経済の40年にわたる低迷の原因は、消費税率の高さではない。アメリカが年次改革要望書を通じて日本の産業政策を禁止し、通産省を解体させ、民営化と規制緩和によって経済主権を奪ったことが根本原因である。日本の「失われた30年」とは、アメリカによる経済主権の剥奪にほかならない。

消費税を下げても、産業政策が禁止されたままでは日本経済は再生しない。民営化された国民資産は戻ってこない。外国資本に開放された市場は閉じない。日米同盟を維持したまま、アメリカが要求した構造改革を撤回することは不可能だ。

百田尚樹という人物

百田尚樹は、放送作家・小説家として知られる人物であり、政治家としての経歴や学術的な背景を持たない。代表作『永遠の0』は特攻隊員を題材とした小説であり、百田の「保守」的な感性を象徴する作品である。2018年には日本通史『日本国紀』を上梓し、有本香が編集を担当した。

百田の保守思想は、感情と直感に基づく愛国主義であり、体系的な政治理論に裏打ちされたものではない。百田の愛国心が真摯であることは疑わないが、感情は理論の代替にはならない。百田は「日本が好きだ」「日本を守りたい」と叫ぶが、日本を支配しているのが誰であり、その支配がどのような構造で行われているかを分析する知的枠組みを持たない。

百田は2025年に「トランプ大統領は日本を同盟国とすら見ていない」と動揺して見せた。しかし、トランプは日米関係の本質を口にしただけだ。日米安保条約は対等な同盟ではなく、アメリカが日本を軍事的に支配するための従属的条約である。百田が驚くべきは、トランプの発言ではなく、自分がその構造に気づいていなかったことである。そして百田は、トランプの発言に動揺しながらも、なお日米同盟を離脱するという選択肢を検討しない。百田の「保守」は、どこまでいってもアメリカの手のひらの上にある。

参政党・高市早苗との比較

日本保守党、参政党高市早苗政権——この三者は表面上は異なる立場を取っているが、親米という点では構造的に同一である。

自民党高市早苗 参政党 日本保守党
日米同盟 堅持 堅持 堅持
米軍撤退 求めない 求めない 求めない
移民政策 123万人受入 「5%まで入れる」 制限を主張
偽日本国憲法 修繕 問題視せず 修繕
スマートシュリンク 不在 不在 不在

三者の差異は、移民に対する修辞の強弱にすぎない。構造的争点——日米同盟、米軍駐留、偽日本国憲法の正統性——においては、三者とも全く同じ立場に立っている。

高市早苗は「保守」を自認しながら123万人の外国人労働者受け入れを閣議決定した。日本保守党はこれを批判するだろう。しかし、高市が移民を受け入れざるを得ないのは、日米同盟のもとでアメリカの要求を拒否できないからであり、日本保守党が堅持する日米同盟こそがその根本原因である。日本保守党が政権を取ったとしても、日米同盟を維持する限り、高市と同じ道をたどる。アメリカの圧力の前に移民制限は骨抜きにされ、「やむを得ず」移民を受け入れることになるだろう。

参政党との共通点はさらに深い。参政党には理論がなく、神谷宗幣の発言はコロコロ変わる。日本保守党にも体系的な理論は存在せず、百田の直感と感情が党の方向性を決めている。理論なき政党は組織的に脆弱であり、参政党が内部分裂を経験したように、日本保守党も河村たかしとの分裂を経験した。

リアリズムの観点からの分析

ハンス・モーゲンソーは、国家の行動を規定するのは理念ではなく権力構造であると論じた。この枠組みで分析すれば、日本保守党はアメリカ覇権の枠内で許容された「管理された保守主義」にすぎない。

アメリカは、同盟国の国内政治を直接支配する必要はない。許容可能な選択肢の範囲を設定するだけで十分である。日米同盟の維持、在日米軍の駐留容認、偽日本国憲法の体制下での政治活動——この枠組みを超えない限り、いかなる「保守」もアメリカにとって脅威ではない。自民党参政党も日本保守党も、すべてこの許容範囲の中に収まっている。

日本保守党が自民党と異なるのは、移民政策やLGBT法といった文化的争点においてであり、対米従属や外国軍駐留や憲法の正統性といった構造的争点においてではない。文化的争点で「反体制」的な役割を演じることで、保守層の不満を吸収し、構造的問題への関心を逸らす——これがアメリカ覇権にとっての日本保守党の機能にほかならない。

ケネス・ウォルツの構造的リアリズムが示す通り、国際システムにおける国家の行動は、国内政治の理念よりも権力構造によって規定される。日本保守党がいかに「日本の国体を守る」と叫ぼうとも、日米安保体制という構造的従属の中にある限り、その政策は覇権国の利益と矛盾しない範囲に制約される。構造を変えない限り、政策は変わらない。

結論

日本保守党の最大の欠陥は、親米である。

日米同盟に賛成しながらグローバリズムに反対することは不可能だ。移民を流し込んでいるパイプラインが日米同盟であり、そのパイプラインを維持したまま移民を止めることはできない。「価値観外交」を推進しながらグローバリズムに反対することは自己矛盾であり、偽日本国憲法を修繕しながら日本の国体を守ることは不可能である。

百田尚樹の愛国心は真摯であろう。しかし、真摯な感情があれば国が守れるのであれば、日本はとうの昔に独立している。必要なのは感情ではなく、アメリカ覇権の構造を理解し、それを解体するための理論と戦略である。米軍撤退民族自決権に基づく新日本国憲法の制定、スマートシュリンクによる脱移民政策、核武装による自主防衛——これらの構造的変革なくして、日本民族の独立はない。日本保守党には、その覚悟も理論も存在しない。

参考文献

関連項目