新自由主義

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新自由主義

概要

新自由主義(Neoliberalism)とは、市場原理主義、規制緩和、民営化、自由貿易、緊縮財政を基調とする経済思想および政策体系である。その本質は、国家主権を市場に従属させ、民族共同体の自己決定能力を解体し、覇権国の経済的支配を恒久化することにある。

新自由主義は1970年代後半から1980年代にかけて、マーガレット・サッチャーロナルド・レーガンの政権を通じて英米圏で制度化され、ワシントン・コンセンサスを通じて全世界に輸出された。しかし、「個」を前面に押し出した欧米の新自由主義は失敗し、アジア型の国家資本主義が成功した。あれだけ世界に新自由主義を押し付けたアメリカですら、新自由主義の失敗を認め、産業政策を開始した。

新自由主義を理解する鍵は、それが単なる経済理論ではなく、帝国主義の経済的手段であるという認識にある。ナオミ・クラインが『ショック・ドクトリン』で論じた通り、新自由主義は危機を利用して共同体を解体し、市場原理を強制的に植え付ける。カール・ポランニーが『大転換』で予見した通り、市場が社会から「脱埋め込み」されたとき、社会は崩壊に向かう。新自由主義とは、この脱埋め込みを意図的に遂行する政策体系にほかならない。

新自由主義の構造——共同体解体の経済学

民族資本と反市場性

民族国家における公共の資本は、民族資本である。そして、民族とは反市場的な存在である。

市場化されていなかった民族資本を市場化すると、別の反市場的な民族集団がその資本を奪う。民営化や市場化の危険性はまさにここにある。公共の資本——土地、インフラ、教育、水道、鉄道——これらは民族共同体の共有財産であり、市場に投げ出された瞬間に、より強力な外部の集団によって収奪される対象となる。

重要なのは、経済が民族に仕えるという形である。経済発展が自己目的化し、民族共同体の存続よりも市場の効率性が優先されるとき、経済は民族を破壊する道具に転じる。

ゲマインシャフトの破壊

フェルディナント・テンニースが提唱したゲマインシャフトとゲゼルシャフトの概念は、新自由主義の本質を理解するうえで不可欠である。

ゲマインシャフト(共同体)とは、血縁・地縁・精神的紐帯に基づく有機的な人間関係であり、民族共同体の基盤をなす。ゲゼルシャフト(利益社会)とは、契約と利害計算に基づく機械的な人間関係であり、市場経済の基盤をなす。

新自由主義の本質は、ゲゼルシャフトを自由にし、ゲマインシャフトを不自由にするという、極めて反自由的な世界秩序の追求にある。ゲマインシャフト共同体を破壊し、人々を根無し草の細分化された個人へと還元し、人から歴史性や伝統性、非合理性、生物性、人間性、継続性、集団性をすべて剥奪する。個人化された経済的合理人をゲゼルシャフトが徹底的に搾取する——これが新自由主義の世界観である。個人主義によって個人はむしろ搾取されやすい存在となる。根の無い草は滅びるのみだ。

新自由主義にとって邪魔なのは、市場原理主義に反するような非資本主義的行動や集団である。地域共同体や歴史や伝統に根ざした「共同体」がそれにあたるが、新自由主義はこうした集団を徹底的に除去する。ショックを与え、さらに新自由主義改革を推し進め、共同体と公共圏を破壊する。そして、歴史性も共同体も失われたところに、移民や市場原理主義を植え付けていく。

個人主義の陥穽

強い個人は強い集団がなければ存在しない。共同体が死ねば、個人が生きても生き残ることはできない。個人が死んでも、共同体が生きれば、再生する。

自由主義は個人を脆弱にし、新自由主義は経済を脆弱にし、市場原理主義は共同体を脆弱にする。それに対する反動が、国を全体主義に向かわせている。集団と共同体は、個人を規制することによって長期的な目標を追うことができるが、細分化された個人は目先の利益に支配される。

人間は、経済的合理人でもなければ、リベラルな自由電子的な存在でもない。人間性を持った人間だ。非合理的感情や共同体意識、歴史性があってこそ人間であり、そうした矛盾も非合理も抱え込んだ人間存在の幸福をはかるのが「政道」である。

新自由主義の経済的破綻

欧米型新自由主義の失敗

「個」を前面に押し出した欧米の経済システムと社会システムは破綻している。その証拠は明白である。

  1. 社会的崩壊: 白人がマイノリティに転落しつつあり、アメリカとヨーロッパが内戦に向かっている
  2. 政策の転換: アメリカとヨーロッパ自身が産業政策を取り始めた——新自由主義の失敗を事実上認めたことにほかならない

産業政策や国家資本主義を封印して移民を推進した結果、経済と社会が破壊された。多様性神話、新自由主義神話、個人主義神話、自由主義神話、移民神話は滅んでいる。ヨーロッパとアメリカに残ったのは、荒廃した経済と社会だ。いずれ内戦と反動に向かう。決して真似してはいけない。

アジア型国家資本主義の成功と産業政策

アジア型の産業政策・国家資本主義・集団主義は、アメリカ型の市場原理主義・無規制資本主義・個人主義よりも経済的に成功を収めている。官僚に主導された日本の国有企業(国鉄、水道)は、どれも世界レベルで優秀であった。産業政策によって日本経済はトヨタ任天堂のようなエクセレント・カンパニーを生み出した。日本型社会主義によって一億総中流社会が実現した。

市場を成功に導く「神の手」の正体は、「知的な判断」や「共感」であり、自由化や規制緩和ではない。人による社会のインテリジェント・デザインを否定して、自由市場に任せれば神の手によって勝手に成功するという考え方は、根拠なき信仰に近い。

国が産業政策を取らないということは、自動的に金融産業を勝者に選択していることに等しい。搾取型経済となり、産業は衰退する。産業政策の理論的基礎、各国の成功事例、アメリカ自身の産業政策回帰については、産業政策の記事を参照のこと。

民営化と主権喪失

民営化や自由化とは、主権を手放すということである。新自由主義は、民営化と規制緩和を通じて、国家主権を一つひとつ解体していく。日本においては、土地(GATS協定)、金融(郵政民営化)、情報通信(NTT民営化)、資源(環境条約)、国境(移民政策の緩和)の五つの分野で主権が喪失された。

アメリカによって国が民営化されて私物化される。共同体と無関係の人間が、国を自由に買い、自由に入植する。そのような社会はユートピアとは程遠い。民営化の歴史的背景、主権喪失の五段階構造、世界的な再公営化の潮流、日本における具体的事例については、民営化の記事を参照のこと。

移民——生殖と労働の非倫理的な国際分業

新自由主義は、少子化を口実として低賃金移民政策を推進する。しかし、移民受け入れの本質は、生殖と労働の非倫理的な国際分業であり、現代の奴隷制であり、共同体の未来からの収奪である。

無規制資本主義は際限なく国際分業を進展させる。子育てに適さないほど狭い場所で、子育てができないほど不安定な条件で働く労働者の存在は、株主にとって最大の利益となる。低コストの後進国で人が育ち、高コストの先進国で子育てをせずに労働だけに従事する。農村と都会の関係と同じである。ゲゼルシャフトがゲマインシャフトを収奪している

少子化が進むから都会のGDPは高い。人を育てるにはコストがかかる。子育てに従事しない高密度の働き蟻の存在を、無規制資本主義は作り出す。移民送り出し国は生殖だけに従事し、移民受け入れ国は労働だけに従事すればよいのか。非倫理的な生殖と労働の国際分業は、収奪だ。少子化が起きている経済は持続不可能である。ゲマインシャフトなくして経済は成立しない。

国境を越えた自由化は、労働者の賃下げと不動産価格の高騰をもたらし、日本人のリソースを奪い、少子化を悪化させるだろう。

移民に頼らない代替案として、スマートシュリンクが存在する。人口が減少しても、すべての職種の人口を全体の人口数に比例させて縮小させれば、人手不足という問題はそもそも生じない。

Slow CountryとFast Country

新自由主義を採用する国家と拒否する国家の間には、根本的な文明論的差異が存在する。ロシアや中国、イスラム圏の国は、緩やかに変化する定常的な世界観を持つSlow Countryであり、共同体主義に基づき内戦をもたらさず持続可能である。一方、欧米は変動する異常な世界観を持つFast Countryであり、ゲマインシャフトを不自由にし共同体を解体することで目先の利益を最大化している。

Fast Countryの行き着く先は、無規制無計画資本主義、自由個人主義、移民、反動、内戦、ファシズムという破滅的な連鎖である。自己破壊的で自虐的な価値観を採用したからといって、それを根拠に他の国や文明に内政干渉することは許されない。内戦に向かう短命のアメリカ型の自由個人主義や普遍主義を、採用するべきではない。詳細は国民国家の崩壊過程を参照のこと。

二重基準の民族至上主義

新自由主義を世界に押し付ける勢力には、構造的な二重基準が存在する。

二重基準の利己的な民族至上主義者は、自国でマジョリティの時には反自由主義、反移民主義、ネイティヴィズム、集団主義、排外主義、血統主義、規制、伝統、保護、資源ナショナリズム、権威主義を支持する。しかし他国でマイノリティの時には自由主義、個人主義、反ネイティヴィズム、移民推進、規制緩和、多様性、平等、自由競争、自由資本主義、自由民主主義法治主義、普遍主義を支持する。

自由と平等を支持していたマイノリティは、新たにマジョリティになれば、反自由主義によってマイノリティを迫害・弾圧するだろう。マジョリティは常に反自由主義を支持し、マイノリティは自由主義を支持する。しかしマイノリティとマジョリティが逆転すれば、新たなマジョリティは反自由主義を支持して弾圧するだろう。これが内戦のリアリズムだ。

日本における新自由主義——アメリカの内政干渉

アメリカによる経済主権の剥奪

アメリカは、市場原理主義(Capital Order)のルールを押し付け、日本共同体の主権を奪い、経済低迷、少子化、移民をもたらした。

アメリカは、経済的に失敗した新自由主義を世界中に押し付けて各国の経済を脆弱にさせたうえで、規制緩和や自由化を押し付け、権威主義国からサイレント・インベージョンされやすい状態を作った。自由個人主義と市場原理主義を世界中に広め、反市場的な共同体意識を破壊した。

日本において具体的に遂行された新自由主義政策は以下の通りである。

  • 土地の自由化: GATS協定によって土地は完全に自由化され、日本の議員会館では日本の土地を買うための説明会が中国語で開催された
  • 金融の自由化: 民営化された郵政や農中の貯金はウォール・ストリートへ流出した
  • 通信の自由化: NTTは民営化された。自公政権はLINEを規制せず、ソフトバンクとLINEヤフーのPayPayを推進した
  • 労働市場の規制緩和: 非正規雇用が増加し、派遣会社パソナは巨額の利益を上げた
  • 税制の改変: 外資を規制緩和し、法人税を下げ、消費税を上げた。インボイス制度によって日本のソフトパワーであるアニメは弱体化した
  • エネルギー政策の外資開放: 日本の電力会社の力を削ぎ、外資や新電力の参入を国が後押しした。上海電力は太陽光パネル事業に参画し、日本の山林を購入した
  • 産業政策の封印: 政府が産業政策を封印したことによる30年間の経済低迷の原因は、すべて国民のせいにされた

円安と主権喪失の構造

円安になったら、輸出品を売って円高に誘導するべきである。しかし、アメリカの内政干渉を受けて土地自由化と外資自由化という新自由主義リベラル政策を進めてしまった。この状況下で円安になると、輸出品ではなく、生産手段や生活手段である土地や会社自体が買われることになる。

新自由主義リベラルによる経済弱体化と、自由化政策の帰結として、土地と資本をすべて外国人に買われるだろう。アメリカの内政干渉によって外国人土地自由化が行われ、日本人の少子化が加速し、日本の各地では中国人が増加している。アメリカが、世界を自由に買える商品に変えたからだ。

アメリカ軍駐留の経済的目的

アメリカ軍は、日本人を守るために日本にいるのではない。サイレント・インベージョンを合法化する自由民主主義、自由資本主義、三権分立、法治主義、新自由主義、市場原理主義的な秩序を日本へ強制し、それを維持するために日本にいる。

アメリカ軍は、反市場的な日本共同体を解体するために日本に駐留している。資本の国有化を防ぎ、国家主権を奪う国際条約の履行を強制し、日本国内で日本人をゲマインシャフト的に不自由にするためにアメリカ軍は日本にいる。日本を移民国家に作り変え、無規制資本主義を進展させ、移民によって日本共同体を破壊し、米国債による収奪をすることがアメリカ軍の目的だ。

国民国家の崩壊過程

新自由主義が国民国家を崩壊させる過程は、14段階のモデルとして体系化することができる。国民国家の誕生から、産業資本の成長、福祉国家の成立、金融資本の台頭、国家内共同体の誕生、中間層の崩壊、移民の拡大、福祉国家の廃止、マジョリティとマイノリティの逆転、経済バブルの崩壊、反動と内戦を経て、最終的に分裂国家に至る。

現在、日本は第9段階(新自由主義の台頭と移民の拡大)に、EUは第10段階(福祉国家の廃止)に、アメリカは第11段階(マジョリティとマイノリティの逆転)にそれぞれ進行している。ゲマインシャフトからの収奪を防ぎ、利益相反のある利己的なアイデンティティを持つ国家内共同体の台頭を許してはならない。

各段階の詳細な分析、Slow CountryとFast Countryの文明論的差異、崩壊を回避するための処方箋については、国民国家の崩壊過程の記事を参照のこと。

リアリズムの観点からの分析

カール・ポランニーと「大転換」

カール・ポランニーは1944年の著書『大転換』において、市場が社会に「埋め込まれた」状態から「脱埋め込み」される過程を分析した。ポランニーによれば、市場が社会から自律化したとき——すなわち、経済が共同体の統制から離脱したとき——社会は破滅的な「二重運動」に巻き込まれる。市場化の圧力と、それに対する社会の自己防衛運動との衝突である。

新自由主義はまさにこの「脱埋め込み」を意図的に推進する政策体系であり、ポランニーの警告は現在の世界で現実のものとなっている。新自由主義がもたらす反動とポピュリズムの台頭は、ポランニーが予見した社会の自己防衛運動の現代的発現にほかならない。

カール・シュミットと政治的主体性

カール・シュミットは、政治の本質を「友と敵の区別」に見出した。新自由主義の文脈において、この概念は極めて重要な意味を持つ。

新自由主義は、民族国家から「友と敵を区別する能力」を剥奪する。市場のグローバル化と自由化によって、国境は意味を失い、すべての経済主体は「消費者」や「投資家」として均質化される。民族的な「我々」と「彼ら」の区別は「差別」として攻撃され、国家が自らの政治的敵を宣言する能力は制限される。

シュミットの論理に従えば、政治的な敵を宣言できない国家は、すでに政治的主体性を喪失している。新自由主義が各国に強制する「開放性」「多様性」「自由化」とは、政治的主体性の放棄にほかならない。

エイミー・チュアの警告

エイミー・チュアは著書『ワールド・オン・ファイア』において、自由市場と自由民主主義の同時導入が、マーケット・ドミナント・マイノリティによる経済支配と、多数派民族の反発を通じた暴力的反動を引き起こすことを論じた。新自由主義が推進するグローバル化は、各国においてこのダイナミクスを再現している。

自由民主主義と自由資本主義、無規制資本主義や市場原理主義は、権威主義国からの一方的なサイレント・インベージョンを合法化する危険な価値観だ。アメリカが世界に広めた「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」こそが、サイレント・インベージョンやマーケット・ドミナント・マイノリティによる支配を可能にした。

経済リアリズム

経済力が弱まれば保護主義を採用するのが経済リアリズムである。新自由主義と自由化を進めれば、日本は強国(中国)の経済的植民地や入植地にされるだろう。

日本が中国にサイレント・インベージョンされているのは、アメリカが日本を自由化したからだ。アメリカが国際条約と国際公約を押し付けて経済主権と国家主権を奪った。日本の土地と資本が中国人に自由に買われているのは、アメリカが日本に内政干渉して新自由主義の名の下に外資規制を緩和したからである。

新自由主義への処方箋——共同体の再建

新自由主義の解体と、民族共同体の再建のためには、以下の政策が不可欠である。

  • 産業政策の復活: 封印した産業政策を復活させ、官僚主導の経済運営を再建する。経産省は、自由化の強制や一律型の施策をやめ、インテリジェントに日本経済をデザインするべきである
  • 保護主義の採用: 国境を管理し、外資規制を強化し、土地自由化を撤回する。国家主権を奪う国際条約は破棄すべきである
  • スマートシュリンクの実施: 移民に頼らず、すべての分野の人口を全体の人口数に比例させて縮小させる。人口が減少しても一人当たりGDPは減らない
  • 米軍撤退の実現: アメリカ軍の駐留は新自由主義秩序の維持装置である。米軍撤退なくして、新自由主義からの脱却はあり得ない
  • 新日本国憲法の制定: 偽日本国憲法憲法侵略の産物であり、新自由主義秩序を法的に固定化する装置である。民族のアイデンティティを反映した新たな憲法を制定しなければならない

個人の自由や自由主義、多様性や移民国家という異常な世界観を撤回し、日本文明を守るべきだ。市場原理主義的なアメリカ人や外国勢力の影響を完全に排し、日本人のための真の意味で持続可能な経済と社会を再構築するべきである。

参考文献

関連項目