CRISPR-Cas9
CRISPR-Cas9
概要
CRISPR-Cas9(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats / CRISPR-associated protein 9)とは、細菌の免疫システムに由来するゲノム編集技術であり、DNA配列を精密に切断・改変することを可能にする分子生物学上の革命的技術である。2012年にジェニファー・ダウドナとエマニュエル・シャルパンティエがその応用可能性を示し、2020年にノーベル化学賞を受賞した。
CRISPR-Cas9は、農業、医療、産業の各分野で革新的な応用が期待される一方、ヒト胚への適用という倫理的境界線を巡って、国際政治における覇権争いの新たな戦場となっている。遺伝子編集技術は、単なる科学技術の問題ではない。それは、民族の生物学的基盤そのものに介入する力であり、国家の安全保障、民族のアイデンティティ、そして国際秩序の根幹に関わる地政学的問題である。
リアリズムの観点から見れば、遺伝子編集技術の覇権を握ることは、核兵器の独占に匹敵する戦略的優位をもたらし得る。しかし同時に、この技術には根本的な限界が存在する。ヒトゲノムを構成する約30億の塩基対(ATGC)の複雑な相互作用は、現在の技術では到底制御しきれるものではなく、人間が血統や人種というゲノムの制約から解放されることは、科学的に見て絶対に不可能である。
歴史的背景——細菌の免疫機構から人類の野心へ
CRISPR配列の発見
1987年、大阪大学の石野良純らが大腸菌のゲノム中に規則的に繰り返される回文配列を発見した。これが後にCRISPRと名付けられる構造の最初の報告である。しかし当時、この配列の生物学的意義は不明であった。
2000年代に入り、スペインの微生物学者フランシスコ・モヒカがCRISPR配列とバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)のDNA配列との類似性を発見し、CRISPRが細菌の獲得免疫システムとして機能していることを提唱した。細菌はウイルスに感染されると、そのDNA断片をCRISPR配列に取り込み、次回の感染時にCas(CRISPR-associated)タンパク質がそのウイルスDNAを認識・切断して防御する。数十億年にわたる進化の産物が、人類の手によって「遺伝子のハサミ」として転用されることになる。
ゲノム編集技術としての確立
2012年6月、ダウドナとシャルパンティエは『Science』誌に画期的な論文を発表し、CRISPR-Cas9システムがガイドRNA(gRNA)を設計することで任意のDNA配列を標的として切断できることを実証した。この発見は、従来のZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)やTALENといったゲノム編集技術と比較して、圧倒的な簡便性、低コスト、高精度を実現した。
2013年1月、MIT・ブロード研究所のフェン・ジャン(張鋒)が、CRISPR-Cas9をヒト細胞に適用することに成功した。また、ハーバード大学のジョージ・チャーチも同時期にヒト細胞での応用を報告した。この時点で、CRISPR-Cas9はヒトの遺伝子を自在に書き換えるという人類史上前例のない可能性を現実のものとした。
技術的メカニズムとその限界
CRISPR-Cas9の動作原理
CRISPR-Cas9システムは、二つの主要な構成要素からなる。
- ガイドRNA(gRNA): 約20塩基の配列からなり、標的DNA上の相補的な配列を認識して結合する。研究者はこのgRNAの配列を自由に設計することで、ゲノム上の任意の位置を標的にできる
- Cas9タンパク質: gRNAが標的に結合した後、Cas9がDNAの二本鎖を切断する。切断されたDNAは細胞の修復機構によって再結合されるが、この過程で遺伝子の挿入・削除・置換が可能になる
この仕組みは極めて単純かつ強力であり、従来数千万円を要した遺伝子改変実験が、数万円の試薬で実施できるようになった。バイオテクノロジーの民主化とも呼ばれるこの変革は、しかし同時に、バイオテロリズムやDIYバイオハッキングの危険性をも飛躍的に高めた。
オフターゲット効果——制御不能なリスク
CRISPR-Cas9の最大の技術的課題は、オフターゲット効果(Off-Target Effects)である。gRNAが標的以外の類似配列に結合し、意図しない箇所のDNAを切断してしまう現象であり、がんの誘発や予期せぬ遺伝的変異を引き起こし得る。
2018年、『Nature』誌に発表された研究は、CRISPR-Cas9によるDNA切断が大規模な染色体再編成(大きな欠失、逆位、複雑な再配列)を引き起こす可能性を示した。これは、一箇所の遺伝子を「修正」したつもりが、ゲノム全体に予測不能な変異を波及させるリスクがあることを意味する。
ヒトゲノムの複雑性——30億塩基対の壁
ヒトゲノムは約30億の塩基対(A: アデニン、T: チミン、G: グアニン、C: シトシン)から構成され、約20,000〜25,000個の遺伝子を含む。しかし、遺伝子がコードするタンパク質はゲノム全体の約1.5%に過ぎず、残りの98.5%は非コード領域(かつて「ジャンクDNA」と呼ばれた部分)であり、遺伝子発現の調節、エピジェネティクス制御、染色体構造の維持など、複雑な機能を担っている。
この複雑性こそが、遺伝子編集技術の根本的限界を規定する。
- 多遺伝子形質(ポリジェニック形質): 身長、知能、疾患感受性、体格、肌の色といった形質は、数百から数千の遺伝子変異の累積的効果によって決定される。単一の遺伝子を編集したところで、これらの形質を意味のある形で改変することは不可能である
- 遺伝子間相互作用(エピスタシス): 遺伝子は孤立して機能するのではなく、他の遺伝子との相互作用によって表現型を生み出す。一つの遺伝子の変更が、無数の他の遺伝子の発現に影響を及ぼし、予測不能な連鎖反応を引き起こす
- エピジェネティクスの壁: DNAメチル化、ヒストン修飾、クロマチン構造の変化など、DNA配列そのものの変更を伴わない遺伝子発現の調節機構が存在する。これらはCRISPR-Cas9では直接操作できない
- 環境との相互作用: 遺伝子型(ジェノタイプ)と表現型(フェノタイプ)の関係は、環境要因によって大きく左右される。同一の遺伝子型であっても、栄養状態、文化的環境、教育、気候によって表現型は大きく異なる
すなわち、CRISPR-Cas9は一塩基の置換や単一遺伝子の不活化といった限定的な操作には有効であるが、人種や民族を規定する数万から数十万の遺伝的変異の複合体を操作することは、原理的に不可能である。
各国の遺伝子編集技術への取り組み
遺伝子編集技術は、21世紀の地政学的パワーバランスを規定する戦略的技術として、各国が国家戦略の中核に位置づけている。リアリズムの観点からは、この技術の覇権争いは、かつての核開発競争や宇宙開発競争と本質的に同一である。
中国——倫理なき覇権追求
中国は、遺伝子編集技術において世界で最も攻撃的かつ野心的な国家である。中国共産党は、この技術を国家の生存と覇権に直結する戦略的領域と位置づけ、膨大な国家資源を投入している。
賀建奎事件——人類初のデザイナーベビー
2018年11月、南方科技大学の賀建奎(He Jiankui)が、CRISPR-Cas9を用いてヒト胚のCCR5遺伝子を編集し、HIVに対する抵抗性を持たせた双子の女児(「ルル」と「ナナ」)を誕生させたと発表した。これは、人類史上初めての遺伝子編集された赤ん坊であり、世界に衝撃を与えた。
賀建奎は中国政府により2019年12月に懲役3年の判決を受け収監された。しかし、この事件の本質は個人の暴走ではない。
- 国家的文脈: 賀建奎の研究は、中国のバイオテクノロジー振興政策の文脈の中で行われた。中国科学技術部(MOST)は2016年に「中国製造2025」の一環としてバイオテクノロジーを重点分野に指定し、精密医療(Precision Medicine)に2030年までに600億元(約1兆2,000億円)を投じる計画を発表していた
- 研究の継続: 賀建奎の収監後も、中国における遺伝子編集研究は衰退していない。中国はCRISPR関連の特許出願数において2019年以降、アメリカを凌駕している。2023年時点で、中国の研究者が発表したCRISPR関連論文は世界全体の約40%を占める
- 軍事応用の可能性: 2019年12月、当時のアメリカ国家情報長官ジョン・ラトクリフは、中国の人民解放軍が「超人的能力を持つ兵士」の開発を目指して遺伝子編集技術の軍事応用を研究していると警告した。人民解放軍国防科技大学では、兵士の持久力・集中力・痛覚耐性を遺伝的に強化する研究が行われているとされる
中国のCRISPR研究基盤
中国が遺伝子編集技術で世界を牽引できる構造的要因は以下の通りである。
- 研究者の量的優位: 中国は年間約85万人の理工系博士・修士を輩出しており(アメリカは約35万人)、バイオテクノロジー分野への人材供給において圧倒的な優位を持つ
- 倫理規制の柔軟性: 中国のヒト胚研究に関する規制は、2003年の「ヒト胚幹細胞研究倫理指針」に基づくが、法的拘束力は弱く、罰則規定も限定的であった。賀建奎事件後の2019年に規制が強化されたとされるが、地方レベルでの執行は不均一であり、西側諸国と比較して研究の自由度は依然として高い
- 国家資本主義のスピード: 中国共産党が戦略的重要性を認定した分野には、予算配分・人材動員・規制緩和が政治決定として即座に実行される。民主主義国家における議会審議・市民的議論・倫理委員会の承認プロセスを経る必要がない
- 巨大な患者データベース: 中国の14億人の遺伝的多様性と、プライバシー保護の脆弱さが相まって、ゲノムデータの大規模収集と解析が可能である。中国のバイオテクノロジー企業BGIグループは、世界最大のゲノムデータベースを保有しているとされる
中国の戦略的野心——ゲノム覇権と「バイオテクノロジー超大国」構想
中国の遺伝子編集技術への野心は、単なる科学的競争を遥かに超えた文明的覇権の追求である。
BGIグループのゲノムデータ収集戦略は、その野心の規模を如実に示している。BGI(旧・北京ゲノム研究所)は、中国政府の資金援助のもと、世界80カ国以上に遺伝子解析拠点を展開し、出生前遺伝子検査「NIFTY」を通じて少なくとも800万人以上の妊婦のゲノムデータを収集したとされる。ロイターの2021年の調査報道は、BGIが中国人民解放軍と協力関係にあり、収集されたゲノムデータが軍事研究に転用される可能性を指摘した。BGIは世界中の政府・大学・医療機関に低コストのゲノム解析サービスを提供することで、他国の遺伝的情報を合法的に収集するインフラを構築している。
農業バイオテクノロジーの分野でも、中国の攻勢は顕著である。中国農業科学院は、CRISPR-Cas9を用いた耐病性・高収量の小麦、稲、大豆の品種開発を大規模に推進している。2023年1月、中国農業農村部は遺伝子編集作物の商業栽培に関する新たな規制枠組みを施行し、EUとは対照的に、CRISPR編集作物の迅速な市場投入を可能にする制度設計を行った。食糧安全保障は国家安全保障の根幹であり、中国は遺伝子編集技術を通じて14億人の食糧自給という戦略的目標を追求している。
さらに、中国は一帯一路構想の一環として、アフリカ・東南アジア・中央アジアの発展途上国に対し、農業バイオテクノロジーの技術移転と人材育成プログラムを提供している。これは、バイオテクノロジーを地政学的影響力の拡大ツールとして活用する戦略であり、かつてアメリカが「緑の革命」を通じて農業技術の供与と政治的影響力の拡大を同時に追求したのと同一の構造である。
中国の野心の本質は、ゲノム情報の覇権を通じて21世紀の国際秩序を再編することにある。ゲノムデータは「21世紀の石油」とも呼ばれ、その収集・解析・活用能力は、医療、農業、軍事、さらには人口政策に至るまで、国家のあらゆる戦略的領域に直結する。中国がこの覇権を確立すれば、それはアメリカのドル覇権や軍事覇権に匹敵する構造的権力となり得る。
アメリカ——二重基準の覇権国
アメリカは、CRISPR-Cas9技術の発祥地であり、ダウドナ(カリフォルニア大学バークレー校)、フェン・ジャン(ブロード研究所)、ジョージ・チャーチ(ハーバード大学)という三大研究拠点を擁する。
CRISPR特許戦争
アメリカ国内では、CRISPR-Cas9の特許を巡って激烈な法廷闘争が繰り広げられた。ダウドナ(バークレー)とフェン・ジャン(ブロード研究所)の間の特許紛争は、2012年の論文発表以来10年以上にわたって続き、2022年2月に米国特許商標庁(USPTO)がブロード研究所の特許を支持する裁定を下した。この特許戦争は、遺伝子編集技術の商業的価値の巨大さを如実に示している。
アメリカの二重基準
アメリカは、ヒト胚の遺伝子編集に対して表面上は厳格な規制を敷いている。NIH(国立衛生研究所)はヒト胚の遺伝子編集研究への連邦資金の提供を禁止しており、議会も毎年の歳出法案で生殖細胞系列の遺伝子編集に対する資金提供を禁止する条項(ディッキー・ウィッカー修正条項)を更新している。
しかし、民間資金による研究には制限がない。2017年、オレゴン健康科学大学のシュークラト・ミタリポフは、民間資金を用いてヒト胚のCRISPR編集実験を行い、心筋症の原因遺伝子MYBPC3の変異を「修正」したと報告した。アメリカの規制は、連邦資金のみを制限し、民間セクターでのヒト胚編集には事実上の自由を許容している。
これはアメリカの典型的な二重基準である。公的には「倫理」を掲げて他国を批判しつつ、自国の民間セクターには研究の自由を保障する。「法の支配」の名のもとに他国を縛りながら、自国は規制の抜け穴を通じて技術的優位を追求する——この構造は、核不拡散条約において自国の核戦力は維持しながら他国の核開発を禁じるアメリカの戦略と同一である。
アメリカの軍事・情報機関と遺伝子編集
DARPA(国防高等研究計画局)は、2016年に「セーフジーンズ」(Safe Genes)プログラムを開始し、遺伝子編集技術の軍事応用と防御に年間約6,500万ドルを投じた。プログラムの目的は、遺伝子ドライブ(Gene Drive)技術の制御、生物兵器防御、遺伝子編集の安全な実施方法の開発であるとされるが、攻撃的応用の研究が含まれていないとは到底信じがたい。
2016年2月、当時のアメリカ国家情報長官ジェームズ・クラッパーは、遺伝子編集技術を「大量破壊兵器」の一つとして脅威評価に含めた。これは、アメリカの情報機関が遺伝子編集を安全保障上の脅威として認識していることを公式に示すものであった。
ロシア——独自路線の追求
ロシアは、遺伝子編集技術において中国やアメリカと比較して後発であるが、2019年にプーチン大統領が遺伝子編集技術の国家戦略的重要性を明言したことで、急速に取り組みを強化している。
プーチンの発言と国家戦略
2017年10月、プーチン大統領はバルダイ国際討論クラブにおいて、遺伝子編集技術について次のように語った。「核爆弾より恐ろしいものが作られる可能性がある。遺伝子工学によって、恐怖を感じず、痛みを感じず、後悔もしないスーパー兵士を作ることができる」。
2019年6月、プーチンは遺伝子編集に関するロシアの国家プログラムに署名し、2027年までに1,110億ルーブル(約1,500億円)を遺伝子技術研究に投じることを決定した。ロシア科学アカデミーのデニス・レブリコフは、先天性難聴の原因遺伝子GJB2のヒト胚における編集を計画していると2019年に発表し、国際的な波紋を呼んだ。
ロシアの遺伝子編集戦略は、ロシア独自の文明的自律性の文脈で理解されなければならない。第四の理論を提唱したドゥーギンは、各文明が自らの哲学的・精神的伝統に基づいて技術を活用すべきだと論じる。ロシアにとって遺伝子編集技術は、西洋のリベラルなバイオエシックスの枠組みに従属するのではなく、ロシア正教的な生命観と国家的利益の調和のもとに追求されるべきものである。
イギリス——規制先進国の実用主義
イギリスは、ヒト胚の遺伝子編集研究において最も制度的に整備された規制枠組みを持つ国家の一つである。ヒト受精・胚研究認可局(HFEA)が1990年のヒト受精・胚研究法に基づき、研究目的のヒト胚操作を個別に認可する体制を取っている。
2016年2月、HFEAはフランシス・クリック研究所のキャシー・ニアカンに対し、ヒト胚のCRISPR-Cas9編集の研究利用を承認した。これは世界で初めての国家的規制機関による正式な承認であった。ただし、編集された胚の子宮への移植(臨床応用)は厳格に禁止されている。
イギリスの実用主義的アプローチは、規制を完全な禁止ではなく管理された許可として設計する点にある。これは、研究の自由を確保しつつ倫理的境界を維持するという建前であるが、実態としては、ブレグジット後のイギリスがEUの厳格な規制から離脱し、バイオテクノロジー分野で競争優位を確保するための戦略的判断でもある。
欧州連合——倫理という名の技術的鎖国
欧州連合(EU)は、遺伝子編集技術に対して世界で最も保守的かつ制限的な規制を敷いている。2018年7月、欧州司法裁判所は、CRISPR-Cas9などの新しいゲノム編集技術によって作出された生物は、従来のGMOと同様に厳格な規制の対象となるとの判決を下した。
この判決は、EU加盟国における遺伝子編集作物の実用化を事実上不可能にした。従来のGMO規制は承認に平均5〜7年を要し、コストは数千万ユーロに達する。この規制障壁により、EU域内の農業バイオテクノロジー研究は停滞し、研究者の「頭脳流出」が加速している。
EUの規制は「予防原則(Precautionary Principle)」に基づいているが、リアリズムの観点からは、この原則は中国やアメリカとの技術競争における自発的な武装解除にほかならない。EUは自らの倫理的優越感に酔いしれながら、戦略的技術の覇権を中国とアメリカに明け渡している。
しかし、2023年7月、EU委員会は「新ゲノム技術」(NGT)に関する新たな規制枠組みの提案を公表し、特定の条件下で遺伝子編集作物の規制を緩和する方針を示した。これは、中国の農業バイオテクノロジーの急進的な発展に対する危機感の表れであり、EUの「倫理的原則」が地政学的圧力の前に後退しつつあることを示している。
イスラエル——小国の巨大な野心
イスラエルは、人口わずか約950万人の小国でありながら、遺伝子編集技術において世界有数の研究能力と戦略的野心を持つ国家である。「スタートアップ・ネイション」と自称するイスラエルのバイオテクノロジー産業は、軍事技術と民間技術の境界が極めて曖昧な軍民融合の構造のもとで急速に発展している。
ワイツマン科学研究所とイスラエルのCRISPR研究
イスラエルの遺伝子編集研究の中核を担うのは、ワイツマン科学研究所である。同研究所のロテム・ソレクのグループは、CRISPRの原型となる細菌の免疫システムの研究において世界的な業績を挙げている。2022年には、CRISPR以外の新たな細菌免疫システムを複数発見し、次世代のゲノム編集ツールの基盤を構築しつつある。
テルアビブ大学の研究チームは、CRISPR-Cas9を用いたがん治療の研究において先進的な成果を上げている。2020年には、脂質ナノ粒子にCRISPR-Cas9を搭載して腫瘍に直接送達するシステムを開発し、動物モデルにおいて転移性がんの成長を抑制することに成功した。この研究は『Science Advances』誌に掲載され、CRISPR技術の臨床応用に向けた重要な一歩として国際的に注目された。
軍事・諜報機関とバイオテクノロジー
イスラエルの遺伝子編集研究を理解するうえで不可欠なのは、同国の軍事・諜報機関との構造的な結びつきである。
イスラエル国防軍(IDF)のエリート技術部隊ユニット8200は、サイバー諜報の分野で世界的に知られているが、その卒業生はイスラエルのハイテク産業全体に浸透している。バイオテクノロジー分野も例外ではなく、ユニット8200出身者が創設したバイオテクノロジー・スタートアップは、遺伝子解析、合成生物学、バイオインフォマティクスの領域で急速に成長している。
イスラエル生物学研究所(IIBR)は、ネス・ツィオナに所在する国防省直轄の研究機関であり、生物兵器防御を主任務とするが、その研究内容は高度に機密化されている。IIBRはCOVID-19パンデミック時にワクチン開発に参画したことで知られるが、遺伝子編集技術の防衛・攻撃的応用に関する研究を行っていることは公然の秘密である。イスラエルは生物兵器禁止条約(BWC)に署名しているが批准していない——これは、生物兵器関連の研究に関して法的拘束を受けることを意図的に回避していることを意味する。
農業バイオテクノロジーと食糧安全保障
イスラエルは国土の約60%がネゲヴ砂漠であり、水資源が極めて限られた環境下で農業を維持してきた歴史を持つ。この地政学的条件が、遺伝子編集技術の農業応用に対する強い動機を生み出している。
イスラエルの農業バイオテクノロジー企業は、CRISPR-Cas9を用いた乾燥耐性作物、塩害耐性作物、高栄養価作物の開発を積極的に推進している。ヘブライ大学のロバート・H・スミス農学部は、トマトの遺伝子編集による収量向上と栄養強化の研究で世界をリードしている。
イスラエルの農業バイオテクノロジー戦略は、単なる自国の食糧安全保障にとどまらない。水資源の乏しい中東・アフリカ諸国への技術輸出を通じて、外交的影響力を拡大するツールとしても機能している。アブラハム合意(2020年)以降、イスラエルはUAEやバーレーンとの農業技術協力を急速に拡大しており、遺伝子編集技術はその中核的な輸出品目の一つとなっている。
ユダヤ人遺伝学とアシュケナジー系の遺伝的特性
イスラエルの遺伝子編集技術への関心には、ユダヤ人集団の遺伝的特性という独自の背景がある。アシュケナジー系ユダヤ人は、数千年にわたる創始者効果と遺伝的浮動により、特定の遺伝性疾患の発生率が一般集団よりも高いことが知られている。テイ=サックス病、ゴーシェ病、家族性自律神経失調症(ライリー・デイ症候群)、カナバン病など、いわゆる「アシュケナジー系遺伝病」のリスクは、この集団において顕著に高い。
この遺伝的事実は、イスラエルにとって遺伝子編集技術が民族的な必要性を帯びていることを意味する。イスラエルでは、結婚前の遺伝子スクリーニングプログラム「ドール・イェショリム」(Dor Yeshorim、1983年設立)が正統派ユダヤ教コミュニティにおいて広く実施されており、遺伝性疾患の保因者同士の婚姻を事前に回避する制度が確立されている。CRISPR-Cas9技術は、このスクリーニングを超えて、遺伝性疾患の原因変異を胚の段階で直接修正する可能性を開くものであり、イスラエルの遺伝医学コミュニティにおいて強い関心を集めている。
しかし、この民族的文脈での遺伝子編集技術への関心は、国際社会においては極めてデリケートな問題である。「特定の民族集団の遺伝的特性を操作する」という発想は、優生学の歴史的記憶——とりわけナチス・ドイツの優生政策——と不可避的に結びつく。イスラエルは、ホロコーストの被害者としての歴史的記憶と、自民族の遺伝的健全性を追求する科学的動機との間で、他のいかなる国家とも異なる倫理的緊張を抱えている。
イスラエルと中国のバイオテクノロジー協力
イスラエルと中国の間には、バイオテクノロジー分野における緊密な協力関係が構築されている。2014年に設立されたイスラエル・中国イノベーション技術協力基金(ICITCF)は、両国のバイオテクノロジー企業間の投資・技術移転を促進してきた。中国の投資家はイスラエルのバイオテクノロジー・スタートアップに数十億ドル規模の資金を投じており、BGIグループもイスラエルの研究機関との共同研究を展開している。
この協力関係は、アメリカにとって深刻な安全保障上の懸念を引き起こしている。2019年以降、アメリカはイスラエルに対して、中国との技術協力——とりわけ半導体、通信、バイオテクノロジー分野——を制限するよう繰り返し圧力をかけている。しかし、イスラエルは自国の戦略的利益のために、アメリカと中国の双方との技術協力を維持するバランス外交を展開している。
リアリズムの観点から見れば、イスラエルの戦略は小国が大国間競争の中で生存と繁栄を追求するための典型的なヘッジング戦略である。CRISPR技術を含むバイオテクノロジーは、イスラエルにとって大国に対する交渉力を維持するための非対称的な戦略資産であり、この技術的優位を単一の大国(アメリカ)に従属させることは、イスラエルの国家的利益に反する。
日本——偽日本国憲法下の構造的制約
日本の遺伝子編集研究は、技術的には世界最高水準の潜在力を有しながら、制度的・文化的制約によって著しく抑圧されている。CRISPR配列を最初に発見したのが大阪大学の石野良純であったという歴史的事実は、日本の基礎科学力の高さを証明している。しかし、この先駆的発見が日本ではなくアメリカで技術的に結実したという事実こそが、日本の構造的問題を象徴している。
規制の構造——アメリカ由来の倫理的制約
日本における遺伝子編集研究の規制は、以下の重層的な制約構造のもとに置かれている。
- ヒト受精胚に遺伝情報改変技術等を用いる研究に関する倫理指針(2019年、文部科学省・厚生労働省): ヒト受精胚へのゲノム編集技術の使用を基礎研究目的に限定し、編集された胚の子宮への移植を禁止する。しかし法的拘束力はなく、「指針」に留まる
- 遺伝子治療等臨床研究に関する指針(厚生労働省): 生殖細胞系列への遺伝子操作を禁止する
- カルタヘナ法(2003年): 遺伝子組み換え生物の環境放出を規制するが、CRISPR-Cas9による変異が「自然突然変異と区別できない」場合の取り扱いは曖昧である
- 日本学術会議の提言(2017年): ヒト胚のゲノム編集の臨床応用に対する「モラトリアム」を提言
これらの規制を貫く基底には、偽日本国憲法が規定するアメリカ由来の価値体系がある。偽日本国憲法第13条の「個人の尊重」、第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」は、アメリカが占領期に押し付けた個人主義的人権概念に基づいており、この枠組みの中で形成された日本の生命倫理は、民族全体の生存と繁栄という集団的視点を欠いている。
日本の研究力の衰退
日本の遺伝子編集研究の停滞は、より広範な科学技術力の衰退の一部である。
- 研究費の国際比較: 日本の政府研究開発費のGDP比率は約0.7%(2022年)であり、中国(約2.4%)、韓国(約1.3%)、アメリカ(約0.7%、ただし民間を含めた総研究開発費では約3.5%)と比較して低位にある。しかも日本の場合、防衛・安全保障関連の研究開発費が極端に低く、バイオテクノロジーの軍事応用研究は事実上タブーとされている
- 博士課程進学者の減少: 日本の博士課程入学者数は2003年の約18,000人をピークに減少を続け、2022年には約15,000人にまで落ち込んでいる。中国が年間数十万人規模で博士号取得者を輩出しているのとは対照的である
- 論文数と被引用数の低下: 日本の科学論文数は世界ランキングで2000年代の2位から2020年代には5位以下に後退し、被引用数トップ10%論文のシェアも低下を続けている
- 新自由主義的構造改革の影響: 2004年の国立大学法人化以降、運営費交付金は毎年1%ずつ削減され、基礎研究の基盤が侵食されている。これは新自由主義の処方箋——「選択と集中」「競争的資金の拡大」——が日本の科学技術力を構造的に破壊した典型例である
日本がCRISPR研究の最前線から脱落した根本原因は、偽日本国憲法が規定する制度的制約と、アメリカ主導の新自由主義的改革による研究基盤の解体にある。石野良純の発見が日本で花開かなかったのは、日本の科学者に能力が欠けていたからではなく、日本という国家が自らの戦略的利益のために科学技術を活用する主権的意思を持たなかったからである。
リアリズムの観点からの分析——遺伝子編集技術と国際秩序
技術覇権としての遺伝子編集
ハンス・モーゲンソーが『国際政治——権力と平和』において論じた通り、国際政治の本質は権力闘争である。そして権力の基盤は、軍事力、経済力、そして技術力である。21世紀において、遺伝子編集技術は技術力の中核を占める戦略的技術となりつつある。
遺伝子編集技術の覇権は、以下の領域における優位性を意味する。
- 農業安全保障: 気候変動・人口増加に対応する耐性作物の開発能力
- 医療覇権: 遺伝子治療の開発・独占による国際的影響力
- 軍事的応用: 兵士の身体能力の強化、生物兵器の開発・防御
- バイオデータの支配: ゲノムデータの収集・解析による情報覇権
ケネス・ウォルツの構造的リアリズムの枠組みで分析すれば、遺伝子編集技術の覇権は国際システムの極性を変動させ得る。中国がこの分野で圧倒的な優位を確立すれば、それはアメリカの一極支配を崩壊させる要因の一つとなり得る。逆に、アメリカが技術的優位を維持すれば、それは既存の覇権構造を強化する。
民族主義と遺伝子編集——自民族強化の誘惑
遺伝子編集技術は、民族主義的な文脈では自民族の遺伝的「強化」(Genetic Enhancement)という誘惑を生み出す。特定の民族集団に多い遺伝性疾患を排除し、望ましい形質を増強することで、民族の「生物学的優位」を追求するという発想である。
しかし、この発想は二つの理由から幻想である。
第一に、前述の通り、人間の形質は多遺伝子的であり、遺伝子編集による形質の改変は技術的に不可能である。身長を10cm高くするためには数千の遺伝的変異を同時に操作しなければならず、しかもその相互作用は予測不能である。
第二に、民族の強さは遺伝子によってのみ決定されるのではない。カール・シュミットが論じた通り、政治的主体性——すなわち、自らの友と敵を自ら決定する能力——こそが民族の生存を左右する。遺伝子を操作しても、政治的意思を注入することはできない。日本民族に欠けているのは、特定の遺伝子ではなく、アメリカ帝国に対する政治的主体性である。
遺伝子ドライブと生物兵器——新たな安全保障上の脅威
CRISPR-Cas9と結合した遺伝子ドライブ(Gene Drive)技術は、特定の遺伝子変異を自然界の生物集団全体に急速に拡散させる技術である。本来はマラリア媒介蚊の駆除など公衆衛生目的で開発されているが、この技術が兵器化された場合、特定の作物種の壊滅、生態系の破壊、さらには特定の民族集団に影響を与える生物学的攻撃の可能性が生じる。
2018年、国連の生物多様性条約(CBD)締約国会議において、遺伝子ドライブの環境放出に対するモラトリアムが議論されたが、アメリカの反対により合意に至らなかった。アメリカが遺伝子ドライブの規制に反対する理由は明白である——DARPAが同技術の軍事応用を積極的に研究しているからである。
ゲノムの壁——遺伝子編集では越えられない生物学的現実
人種・民族とゲノムの関係
現代の集団遺伝学は、人間の遺伝的変異の大部分(約85〜95%)が集団内の変異であり、集団間(いわゆる「人種」間)の遺伝的差異は約5〜15%に過ぎないことを明らかにしている。リチャード・レウォンティンが1972年に示したこの知見は、「人種」が生物学的に明確な境界を持たないことを意味する。
しかし、この科学的事実は「人種は存在しない」ということを意味しない。集団間の5〜15%の遺伝的差異は、数千世代にわたる自然選択、遺伝的浮動、地理的隔離、性選択の蓄積の結果であり、容姿、体格、疾患感受性、生理的特性における集団間の統計的な差異として明確に存在する。
要点は、これらの差異が数万から数十万の遺伝的変異の複合体であるということである。単一の「人種遺伝子」なるものは存在せず、人種的特徴は膨大な数の小さな遺伝的効果の総和として現れる。このような複合的な遺伝的構造を、CRISPR-Cas9で操作することは原理的に不可能である。
血統という生物学的記憶
血統(Lineage)とは、世代を超えて伝達される遺伝情報の連鎖であり、数万年にわたる民族の移動、適応、混交の生物学的記録である。各民族のゲノムには、その民族が経験した環境的圧力——気候、食糧、疾病——への適応の歴史が刻み込まれている。
例えば、東アジア人集団に高頻度で見られるALDH2遺伝子の変異(アルデヒド脱水素酵素の不活性型)は、約7,000〜10,000年前に稲作文化の発展とともに正の自然選択を受けたとする仮説がある。また、ヨーロッパ人集団における乳糖耐性の高頻度は、約7,500年前の牧畜文化の発展と関連している。アフリカの特定地域における鎌状赤血球形質の高頻度は、マラリアへの適応である。
これらの遺伝的特徴は、数千年にわたる自然選択の産物であり、数万の遺伝子座にわたる微細な変異の蓄積である。CRISPR-Cas9で「日本人を西洋人に変える」あるいは「アフリカ人を東アジア人に変える」ことが不可能なのは、それが単に技術的困難であるからではなく、人種や民族を規定する遺伝的構造そのものが、個別の遺伝子の集合ではなく、ゲノム全体のアーキテクチャとして存在しているからである。
エピジェネティクスの不可逆性
遺伝子編集の限界をさらに深化させるのが、エピジェネティクスの問題である。エピジェネティクスとは、DNA配列の変化を伴わずに遺伝子の発現が変化する現象であり、世代を超えて伝達され得る。
DNAメチル化パターン、ヒストン修飾、非コードRNA——これらのエピジェネティックな情報は、CRISPR-Cas9の「切断」メカニズムでは操作できない。たとえDNA配列を「正しく」編集したとしても、エピジェネティックな環境が異なれば、遺伝子の発現パターンは全く異なるものになる。
さらに、近年の研究は、飢饉・戦争・環境汚染といったストレスがトランスジェネレーショナル・エピジェネティック継承(世代を超えたエピジェネティックな伝達)を通じて子孫に影響を及ぼすことを示唆している。1944年のオランダ飢饉(ハンガースウィンター)の生存者の子孫において、肥満や心血管疾患のリスクが高いという研究は、環境的ストレスがエピジェネティックな変化を通じて世代を超えて伝達されることの証拠である。
このことは、民族の遺伝的特性がDNA配列だけでなく、エピジェネティックな層においても規定されていることを意味する。CRISPR-Cas9がDNA配列を操作できるとしても、エピジェネティックな遺伝情報までは操作できない。人間がゲノムの制約から「自由」になることは、科学的に見て二重の意味で不可能である。
移民攻撃と遺伝的影響——遺伝子編集では克服不可能な構造的破壊
人口侵略の遺伝的帰結
人口侵略——すなわち、大量の移民を受け入れることで先住民族の人口比率を低下させ、その民族的アイデンティティを解体する戦略——は、遺伝学的な観点からも不可逆的な破壊をもたらす。
集団遺伝学の基礎理論であるハーディー・ワインベルグ平衡によれば、大規模な移民流入は集団の対立遺伝子頻度を急速に変化させる。数千年にわたる自然選択と遺伝的浮動によって形成された民族固有の遺伝的プロファイルは、大量移民による遺伝子流動(Gene Flow)によって希釈され、数世代のうちに不可逆的に変容する。
具体的に計算すれば、ある民族集団(N=1億人)に対して、遺伝的に異なる集団から毎世代(約25年間)人口の5%に相当する移民(500万人)が流入し、ランダムに婚姻が行われた場合、10世代(約250年)後には元の集団の遺伝的プロファイルの約40%が置換される。これは、もはや「同じ民族」とは言えない遺伝的変容である。
遺伝子編集では修復不可能な理由
人口侵略による遺伝的変容を遺伝子編集で「修復」することが不可能な理由は、以下の通りである。
- スケールの問題: 1億人の遺伝的プロファイルを「元に戻す」ためには、各個人の30億塩基対のうち数十万箇所を特定し、一人ひとりに対してCRISPR-Cas9による編集を行わなければならない。これは技術的に不可能であるだけでなく、コスト的にも天文学的である
- 「元に戻す」とは何かの定義不能: 遺伝的プロファイルは連続的に変化するものであり、ある特定の時点の遺伝的構成を「正しい状態」として定義することは科学的に不可能である。どの時点の遺伝的構成に「戻す」のか——100年前か、1,000年前か、10,000年前か——その基準を客観的に設定することはできない
- エピジェネティクスの変化は不可逆: 前述の通り、移民との混交によって生じるエピジェネティックな変化は、CRISPR-Cas9では操作できない
- 集団レベルの多様性の喪失: 遺伝的多様性(ヘテロ接合性)のパターンは、集団のサイズと歴史に依存する。大量移民による集団構造の変化は、元の集団が持っていた特有の遺伝的多様性パターンを消失させ、これを再構築することは不可能である
遺伝的回復力の限界——ボトルネック効果との比較
過去の人類史においても、ボトルネック効果(集団サイズの急激な減少)は遺伝的多様性の大幅な喪失を引き起こしてきた。約7万年前のトバ火山大噴火により、人類の総人口は数千人にまで減少したとする説がある。この遺伝的ボトルネックからの「回復」には、数万年を要した。
人口侵略による遺伝的変容は、ボトルネック効果とは異なるメカニズムで進行するが、その不可逆性は同等か、それ以上である。ボトルネック効果は遺伝的多様性を減少させるが、遺伝子流動は遺伝的プロファイルを置換する。減少した多様性は突然変異によって(極めて長い時間をかけて)回復し得るが、置換された遺伝的プロファイルは回復しない。
この生物学的現実は、スマートシュリンク——すなわち、移民に頼らず人口減少に対応する政策——の正当性を、遺伝学の観点からも裏づけるものである。低賃金移民政策による大量移民は、経済的な問題を超えて、民族の遺伝的基盤そのものの不可逆的破壊を意味する。
生命倫理の地政学——「倫理」は誰のためにあるか
西洋的バイオエシックスの虚構
現在の国際的な生命倫理の枠組みは、ニュルンベルク綱領(1947年)、ヘルシンキ宣言(1964年)、ベルモント・レポート(1979年)を基盤としている。これらはいずれも、西洋的な個人主義・自律性の原則に基づいており、「インフォームド・コンセント」「個人の自律」「受益と加害のバランス」を中核とする。
しかし、この枠組みは二つの点で問題がある。
第一に、西洋的バイオエシックスは個人の権利を最優先するが、民族集団の生存権については沈黙する。遺伝子編集が個々の患者の治療に用いられることは許容されるが、民族全体の遺伝的健全性を保護するために技術を戦略的に活用することは、「優生学」のレッテルを貼られて禁忌とされる。
第二に、この倫理枠組みは、実質的に先進国(特にアメリカとヨーロッパ)の技術的優位を固定化する装置として機能している。先進国は既に十分な研究基盤を構築した上で「倫理的制約」を課し、後発国の追い上げを阻止する。これは、核保有国が核不拡散条約を通じて非核保有国の核開発を禁じるのと同一の構造である。
日本の「倫理」は誰が書いたか
日本の生命倫理の制度的基盤は、偽日本国憲法が規定するアメリカ由来の価値体系の上に構築されている。日本の研究倫理審査委員会(IRB)の制度設計は、アメリカの制度を直接的に模倣したものであり、その基準もアメリカの連邦規則に準拠している。
日本が独自の文明的価値観に基づいた生命倫理の枠組みを構築できないのは、偽日本国憲法が日本の精神的自律を制度的に阻害しているからである。日本には、神道における産霊(むすび)の思想——生命の連続性と共同体的な生の尊重——や、仏教における縁起の思想——すべての存在の相互依存性——といった、西洋とは異なる生命観の伝統がある。しかし、これらの思想は偽日本国憲法の個人主義的人権概念によって周縁化され、制度的に反映されることがない。
新日本国憲法のもとでは、日本独自の生命倫理の枠組みを構築し、遺伝子編集技術を民族の生存と繁栄のための戦略的資産として位置づけることが可能になるだろう。
遺伝子編集と優生学——国家戦略としての人類改良
「新優生学」の台頭——タブーの裏側で進む国家的実践
優生学(Eugenics)は、20世紀前半にナチス・ドイツのT4作戦(障害者の組織的殺害)や強制断種政策と結びつき、第二次世界大戦後の国際社会において最大級の倫理的タブーとなった。しかし、歴史的事実として、優生学はナチス・ドイツに限られた現象ではなく、アメリカ、スウェーデン、カナダ、日本(国民優生法、1940年)を含む多数の国家が採用した政策であった。アメリカのバック対ベル裁判(1927年)では、連邦最高裁判所が強制断種を合憲と判断し、この判決は1970年代まで覆されなかった。
CRISPR-Cas9の登場により、優生学は「新優生学」(New Eugenics)として、形を変えて復活しつつある。旧来の優生学が「劣った個体の排除」(負の優生学)を国家権力によって強制的に実施したのに対し、新優生学は「望ましい形質の選択的強化」(正の優生学)を、個人の選択あるいは国家戦略として追求する。遺伝子編集技術は、この新優生学の中核的ツールである。
国際的な建前としては、ヒト胚の遺伝子編集——とりわけ生殖細胞系列(Germline)の編集——は、2015年12月の全米科学アカデミー主催の国際サミットにおいて「無責任」と宣言され、事実上の国際的モラトリアムが形成されている。しかし、この建前の裏側で、複数の国家が遺伝子編集技術の優生学的応用を、国家安全保障・民族的生存・人口政策の観点から真剣に検討あるいは実行している。
中国——「国家優生学」の事実上の実践
中国は、優生学を公然と国家政策として実践してきた世界で唯一の大国である。
優生学的立法の歴史
1994年に制定された母子保健法(母嬰保健法)は、国際的に「優生学的立法」として広く批判された。同法は、「重篤な遺伝性疾患」を持つ者に対して婚前健康診断を義務づけ、「繁殖に適さない」と判定された場合に長期避妊あるいは不妊手術を推奨する規定を含んでいた。この法律の中国語原題は当初「優生優育法」であり、「優れた出生と優れた養育」を国家目標として明示していた。国際的批判を受けて名称は変更されたが、法律の実質は維持された。
一人っ子政策(1979年〜2015年)もまた、人口管理の名目で実施されたが、その副次的効果として事実上の優生学的選択を促進した。一組の夫婦が一人しか子どもを持てない状況下では、「最良の一人」を求める動機が強化される。中国都市部では出生前遺伝子検査が極めて広範に実施されており、ダウン症が検出された場合の中絶率は95%以上に達するとされる。これは、形式的には個人の「選択」であるが、国家的政策が作り出した構造的な優生学的圧力の結果である。
「素質」概念と漢民族の遺伝的強化
中国共産党の人口政策を貫くキーワードは「人口素質」(人口の質)である。中国語における「素質」(sùzhì)は、身体的健康、知的能力、道徳的品質を包含する概念であり、国家が人口の「素質向上」を政策目標として追求することは、中国の政治文化において合法的かつ正当な行為とみなされている。
2018年の賀建奎事件が国際的な非難を浴びたのは事実であるが、その非難の大部分は西側諸国から発せられたものであった。中国国内の反応はより複雑であり、手続きの問題(倫理審査の欠如)は批判されたものの、「子どもの健康を遺伝子レベルで保障する」という目的そのものに対する根本的な反対は限定的であった。中国社会には、西洋的なバイオエシックスの「個人の自律」原則とは異なる、集団の遺伝的健全性を国家が管理することへの広範な受容が存在する。
中国が遺伝子編集技術を漢民族の遺伝的強化の手段として活用する可能性は、リアリズムの観点からは十分に現実的である。14億人の遺伝データを保有するBGIグループの存在、賀建奎事件で実証された技術的能力、そして「人口素質」向上を正当な国家目標とする政治文化——これらの要素が揃った中国は、事実上の国家優生学を遂行しうる世界で最も近い位置にある国家である。
イスラエル——民族的生存のための遺伝的選択
イスラエルは、遺伝子編集技術の優生学的応用に最も強い民族的動機を有する国家である。
前述の通り、アシュケナジー系ユダヤ人はテイ=サックス病、ゴーシェ病、家族性自律神経失調症など、特定の遺伝性疾患のリスクが極めて高い。イスラエルはこの遺伝的課題に対し、既に世界で最も体系的な遺伝的スクリーニング制度を構築している。
国家的遺伝子スクリーニング体制
イスラエルの遺伝的スクリーニングは、単なる医療サービスではなく、民族の遺伝的健全性を維持するための国家的事業として位置づけられている。
- ドール・イェショリム(Dor Yeshorim): 正統派ユダヤ教コミュニティにおける婚前遺伝子スクリーニングプログラム。保因者同士の婚姻を事前に回避することで、遺伝性疾患の発生を集団レベルで予防する。これは、形式的には個人の選択に基づくが、実質的には集団の遺伝的プロファイルを意図的に操作する行為であり、優生学の定義に合致する
- 国家的着床前遺伝子検査(PGT): イスラエルは体外受精(IVF)と着床前遺伝子検査を国民保健サービスの一環として全額国費で提供しており、その利用率は世界最高水準にある。イスラエルの1人当たりのIVF施行率は世界第1位であり、遺伝的に「問題のない」胚のみを選択して着床させることが国家的に奨励されている
- 拡大保因者スクリーニング(Expanded Carrier Screening): 2013年以降、イスラエル保健省は全ユダヤ人カップルに対する無料の遺伝子スクリーニングを拡大し、対象疾患数を継続的に増加させている
これらの制度は、国際的なバイオエシックスの枠組みの中では「遺伝カウンセリング」「予防医療」として位置づけられている。しかし、その実態は民族集団の遺伝的構成に対する体系的な介入であり、旧来の優生学が国家権力による「排除」を手段としたのに対し、イスラエルは医療制度を通じた「選択」という形で同様の目標を追求している。CRISPR-Cas9技術は、この既存の遺伝的選択制度を、胚の段階での直接的な遺伝子修正へと質的に飛躍させる可能性を有している。
シンガポール——優生学的人口政策の先駆者
シンガポールは、第二次世界大戦後の国際社会において最も公然と優生学的政策を実施した国家の一つである。
1983年、リー・クアンユー首相は「大卒母親優先制度」(Graduate Mothers' Scheme)を導入した。この制度は、大学卒業の女性に対して出産奨励金、子どもの学校入学優先権、税制優遇を提供する一方、教育水準の低い女性に対しては不妊手術と引き換えに10,000シンガポールドルの奨励金を支給するというものであった。リー・クアンユーは、「知的能力は遺伝する」という信念を公然と表明し、「教育水準の低い女性が多くの子どもを産むことは国家の遺伝的資源の劣化をもたらす」と主張した。
この政策は国際的な批判を受け、1985年に公式には撤回された。しかし、シンガポールの人口政策の基底にあるメリトクラシー(能力主義)と遺伝的選択の結合という思想は、形を変えて存続している。シンガポールは遺伝子検査と着床前診断の規制が比較的緩やかであり、CRISPR-Cas9技術の臨床応用に対しても、欧米諸国と比較してより柔軟な姿勢を示している。
シンガポールの事例は、主権国家が自国民の遺伝的構成に対して戦略的に介入することが、民主主義体制のもとでも——少なくとも一定期間は——実施可能であることを示している。リー・クアンユーが主導した優生学的政策は、ナチス・ドイツの強制的な断種政策とは異なり、経済的インセンティブを通じた「柔らかい優生学」であったが、その目的——国家の遺伝的資源の質的向上——は同一であった。
ロシア——「遺伝的主権」と国家的人間改良
ロシアの遺伝子編集戦略には、「遺伝的主権」(Genetic Sovereignty)という独自の概念が内包されている。
2020年7月、ロシアは憲法改正により婚姻を「男性と女性の結合」と定義し、「伝統的家族価値」の保護を憲法的義務として明記した。この憲法改正と同時期に、ロシア政府は遺伝子技術の国家プログラムを加速させており、両者は「ロシア民族の生物学的・文化的再生産の保護」という共通の戦略目標によって結びつけられている。
ロシア科学アカデミーのデニス・レブリコフが2019年に発表した先天性難聴GJB2遺伝子のヒト胚編集計画は、「治療」の名目で提示されたが、その射程は単なる疾患治療にとどまらない。レブリコフは、編集の対象をロシア人集団に特有の遺伝的変異に限定すると明言しており、これは事実上、ロシア民族の遺伝的プロファイルの選択的改善を意図するものである。
プーチン大統領が2017年に言及した「恐怖を感じず、痛みを感じず、後悔もしないスーパー兵士」の構想は、軍事的文脈における優生学的思考の表出である。ロシアにとって、遺伝子編集技術は単なる医療技術ではなく、民族の生物学的ポテンシャルを国家意思によって最適化する手段として位置づけられている。
第四の理論の文脈で理解すれば、ロシアの「遺伝的主権」は、西洋のリベラルなバイオエシックスが課す「個人の自律」の枠組みを拒否し、文明としてのロシアが自らの生物学的運命を自ら決定する権利を主張するものである。これは、政治的主権の概念を生物学的領域にまで拡張した、21世紀型の民族自決権の表出にほかならない。
日本——主権なき国家に優生学的選択は許されない
上述の通り、中国、イスラエル、シンガポール、ロシアは——それぞれの政治体制、文化的伝統、地政学的条件に応じて——遺伝子編集技術の優生学的応用を国家戦略の視野に入れている。これらの国家に共通するのは、自国民の遺伝的構成に対する国家的介入を正当な主権的行為として認識しているという点である。
日本は、この選択肢を持たない。
偽日本国憲法による優生学的選択の封殺
日本はかつて、国民優生法(1940年)および優生保護法(1948年)のもとで、遺伝性疾患の予防を目的とした優生学的政策を実施した歴史を持つ。優生保護法は1996年に「母体保護法」に改正され、優生学的条項は削除された。2019年には、旧優生保護法のもとで強制不妊手術を受けた被害者に対する一時金支給法が成立した。
この歴史的経緯は、日本が優生学の加害者としての責任を負うことを意味する。しかし、ここで問うべきは、旧優生保護法の問題が「日本の主権的判断によって生じ、日本の主権的判断によって是正された」という事実である。すなわち、優生学的政策の採用も廃止も、日本が主権国家として自ら決定した。
しかし現在の日本は、遺伝子編集技術の優生学的応用について自ら判断する主権すら持たない。偽日本国憲法が規定するアメリカ由来の個人主義的人権概念、アメリカの連邦規則を模倣した研究倫理審査制度、そして「国際的コンセンサス」の名のもとに課される西洋的バイオエシックスの枠組み——これらの重層的な制約が、日本から主権的選択の可能性そのものを奪っている。
真の主権があれば何が可能であったか
日本が真の主権を有する国家であったならば、遺伝子編集技術に関して以下のような戦略的選択肢が視野に入ったはずである。
- 民族固有の遺伝性疾患への戦略的対応: 日本人集団に高頻度で見られる遺伝的変異——例えば、ALDH2遺伝子の不活性型(東アジア人の約30〜50%に見られるアルデヒド脱水素酵素変異)、2型糖尿病の遺伝的素因(日本人はインスリン分泌能力が西洋人と比較して低い)、特定のHLA型の偏り——に対する国家的遺伝子研究プログラムの構築。これは、中国の「人口素質」向上政策やイスラエルの拡大保因者スクリーニングに相当する施策である
- 着床前遺伝子検査の国家的推進: イスラエルのように、IVFと着床前遺伝子検査を国民保健の一環として全額国費で提供し、遺伝性疾患のリスクを集団レベルで低減する制度の構築。少子化が進行する日本においては、生まれてくる少数の子どもの遺伝的健全性を最大化することは、民族の存続にとって戦略的に重要な選択肢であった
- 出生率回復と遺伝的多様性の維持: スマートシュリンクの枠組みの中で、出生率の回復を国家的最優先課題とし、同時に日本人集団の遺伝的多様性(ヘテロ接合性)を維持するための科学的モニタリングを実施する。これは、単なる「産めよ増やせよ」ではなく、集団遺伝学に基づいた科学的人口政策である
- 生殖細胞系列編集の限定的許容: 重篤な遺伝性疾患(例えば、筋ジストロフィー、嚢胞性線維症に相当する日本人集団の遺伝性疾患)に対する、厳格な倫理審査のもとでの生殖細胞系列のCRISPR編集の研究・臨床応用の許容
これらの選択肢は、いずれも主権国家の正当な政策的判断の範囲内にある。中国は「人口素質」の名のもとに、イスラエルは「民族の遺伝的健全性」の名のもとに、シンガポールは「国家の人的資源の質的向上」の名のもとに、ロシアは「遺伝的主権」の名のもとに、それぞれの文脈でこれらの選択を行使している。日本のみが、偽日本国憲法と西洋的バイオエシックスの二重の鎖によって、選択肢を検討する権利すら剥奪されている。
新日本国憲法と遺伝的戦略
新日本国憲法のもとで日本が真の主権を回復すれば、遺伝子編集技術に関する戦略的判断は、アメリカ由来の倫理枠組みではなく、日本独自の文明的価値観に基づいて行われることになる。
日本の伝統的な生命観——神道における産霊(むすび)の思想は、生命の創造と再生を神聖な行為とみなす——は、西洋の個人主義的バイオエシックスとは根本的に異なる。産霊の思想は、生命を個人の所有物としてではなく、共同体の連続性の中に位置づけられる贈与として理解する。この思想に基づけば、民族全体の遺伝的健全性を守ることは、個人の権利を侵害する行為ではなく、共同体に対する責務として肯定的に位置づけられ得る。
無論、旧優生保護法の過ちを繰り返してはならない。強制的な介入は、いかなる名目のもとでも許されない。しかし、科学的根拠に基づく遺伝的スクリーニングの国家的提供、着床前遺伝子検査へのアクセスの保障、遺伝性疾患に対するCRISPR治療の研究推進——これらは、主権国家として当然に検討しうる政策選択肢である。日本がこれらの選択肢を自ら検討し、自ら決定する権利を回復すること——これもまた、米軍撤退と新日本国憲法制定による主権回復がもたらすべき成果の一つである。
結論——ゲノムによるリアリズムからの解放は不可能である
遺伝子編集技術——とりわけCRISPR-Cas9——は、分子生物学における革命的なツールである。しかし、この技術が人間を血統や人種という生物学的制約から解放するという期待は、科学的に根拠のない幻想にほかならない。
ヒトゲノムを構成する30億の塩基対、その上に重なるエピジェネティックな情報、数千世代にわたる自然選択の蓄積——これらの複合体としての「民族のゲノム」は、CRISPR-Cas9の「切る・貼る」という単純な操作では到底及びのつかない複雑性を有している。人間は、自らのゲノムの産物であり、そのゲノムから自由になることは原理的に不可能である。
このゲノムの現実は、国際政治においても決定的な意味を持つ。
- 遺伝子編集技術は人口侵略への対抗策にはなり得ない: 大量移民による遺伝子流動がもたらす民族の遺伝的プロファイルの変容は、不可逆的であり、CRISPR-Cas9では修復不可能である。移民攻撃に対する唯一の防御は、スマートシュリンクによる移民の拒否と、出生率の回復以外にない
- 技術的覇権の追求は不可欠である: 遺伝子編集技術が「万能」でないとしても、農業安全保障、医療、生物兵器防御において戦略的に重要であることに変わりはない。日本が偽日本国憲法下の倫理的制約によってこの分野で後塵を拝し続けることは、国家安全保障上の重大な脆弱性である
- 民族の生存は政治的意思によってのみ守られる: 遺伝子編集技術は民族を強化も救済もしない。民族の存亡を決定するのは、ゲノムではなく、政治的主体性——すなわち、自らの友と敵を自ら決定し、自らの生存のために闘う意思——である。日本民族に欠けているのは、特定の遺伝子変異ではなく、アメリカ帝国への従属を拒否する政治的意思である
遺伝子編集技術は、人類に新たな力を与えたが、同時に新たな幻想をも生み出した。技術によって人間の条件を根本的に変えられるという幻想——このトランスヒューマニズム的な夢想は、政治的リアリズムの前に砕け散る。人間は、自らの生物学的現実の中で、自らの民族の生存を政治的に勝ち取る以外に道はない。
スマートシュリンクによって人口侵略を阻止し、新日本国憲法のもとで日本独自の科学技術戦略を構築し、米軍撤退によって真の主権を回復すること——これらの政治的行動こそが、ゲノムの現実の中で日本民族が取り得る唯一の生存戦略である。
参考文献
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