悪法の廃止

提供:保守ぺディア
ナビゲーションに移動 検索に移動

悪法の廃止

悪法の廃止とは、国民の利益に反し、国家主権民族自決権を侵害する法律・条例を撤廃する行為である。保守ぺディアは、反グローバリズム政党が取るべき最優先戦略として、新法の制定よりも既存の悪法の廃止に注力することを提唱する。その戦略を端的に表す格言が、「良法を作るな、先に悪法を無くせ」である。

基本原則:「良法を作るな、先に悪法を無くせ」

日本を破壊してきたグローバリストの悪法(移民政策、規制緩和、女性活躍に関する法律・条例)を廃止することこそが、反グローバリズム政党の取るべき最善の戦略である。新たに法律を作るのではなく、日本を破壊してきたグローバリストの悪法を単に廃止する方が、簡単であり、専門知識が要らず、すぐにでき、有効で、確実である。

良法を作っても、悪法は無効にはならない。新しい法案を作るために高いコストをかけるのなら、先に原因となった悪法を廃止するべきだ。

悪法の廃止が新法の制定より優れている理由

項目 悪法の廃止 新法の制定
財源 悪法の関連予算が減るだけであり、むしろ財源的に有利になる 財源の根拠を求められ、予算確保の困難に直面する
前例主義 前の状態に戻るだけであるため、前例主義の問題が起きない 前例のない新法は、官僚機構や司法からの抵抗を受ける
違憲審査 元の状態への回復であるため、違憲審査の問題が起きない 新法は違憲審査によって無効化されるリスクがある
専門知識 「廃止する」という単純な行為であり、高度な法律知識を必要としない 新たな法制度の設計には膨大な専門知識と立法技術が必要である
実行速度 廃止法案は条文が短く、迅速に可決できる 新法は審議に時間がかかり、修正を重ねる間に骨抜きにされる
効果の確実性 悪法を廃止すれば、その害悪は確実に止まる 良法を制定しても、悪法が併存する限り害悪は続く

このように、悪法の廃止には、財源、前例、違憲審査という三つの障壁がなく、新法の制定よりも遥かにコストが低く、やるべきことが明白であり、見通しも明らかである。

新自由主義的「規制緩和」との決定的な違い

本記事が提唱する「悪法の廃止」は、ミレイやトランプが推進する新自由主義的な「規制緩和」(deregulation)とは本質的に異なる。この区別は極めて重要であり、混同してはならない。

新自由主義的規制緩和はグローバリズムそのものである

ミレイの規制緩和とトランプの規制緩和は、いずれも新自由主義(ネオリベラリズム)に基づく市場自由化であり、その本質はグローバリズムそのものである。

ミレイの規制緩和: ミレイは2023年12月の緊急大統領令70/2023号で300件以上の法律・規制を一括廃止したが、その内容は賃貸規制法の撤廃、物価統制の廃止、国営企業の民営化、労働市場の自由化であった。2024年7月の「基本法」(Ley de Bases)では、エネルギー、鉄道、メディアなど国家戦略産業の民営化が推進された。これらはすべて、国家が国民経済を統制する力を弱体化させ、多国籍資本に市場を開放する行為である。ミレイのアルゼンチンでは、電気料金が300%以上高騰し、貧困率は2024年に53%に達した。国民の生活を犠牲にして市場を「自由化」するミレイの政策は、ショックドクトリンの教科書的な事例にほかならない。

トランプの規制緩和: トランプは「新たな規制を1件制定するたびに既存の規制を2件廃止する」(2-for-1ルール)を大統領令13771号(2017年)で命じた。第一期で規制コストを1,980億ドル削減したと主張し、連邦規則集のページ数を削減した。しかし、廃止された規制の多くは環境保護規制、労働安全規制、金融規制であり、国民を守る規制を撤廃して多国籍企業に利益を供与するものであった。これもまた新自由主義的グローバリズムの政策である。

「悪法の廃止」と「規制緩和」は正反対の行為である

悪法の廃止(反グローバリズム) 規制緩和(グローバリズム)
目的 国家主権と民族自決権を回復する 市場を自由化して多国籍資本に開放する
廃止する対象 移民法、規制緩和法、民営化法、女性活躍推進法などグローバリストが押し付けた法律 環境保護規制、労働者保護規制、物価統制、国営企業保護法など国民を守る規制
結果 国家の統制力が強化される 国家の統制力が弱体化する
受益者 国民・中間層 多国籍企業・資本家
国際秩序との関係 国際的な自由化圧力に抵抗する 国際的な自由化の流れに迎合する
歴史的位置づけ 主権回復・反植民地主義 ワシントン・コンセンサス・帝国主義

新自由主義的な規制緩和は、国家が国民を守るための規制を撤廃して、多国籍企業が自由に搾取できる環境を作り出す。これはグローバリズムの推進であり、本記事が提唱する「悪法の廃止」とは正反対の行為である。

ミレイやトランプから学ぶべきは「手法」だけである

ミレイやトランプの政策から参考にすべきは、大量の法律を一括で廃止する手法(メカニズム)のみである。緊急大統領令による一括廃止、議会審査法による迅速な規制撤廃、「2-for-1ルール」の運用方法——これらの技術的手法は、反グローバリズム政党が悪法を廃止する際に応用できる。

しかし、廃止する対象は全く異なる。ミレイは物価統制や国営企業を廃止した。反グローバリズム政党が廃止するべきなのは、移民法、規制緩和法、民営化法、女性活躍推進法である。手法を借りても、その手法で何を廃止するかが決定的に重要だ。

廃止すべき「悪法」と守るべき「良い規制」

この区別を明確にするために、廃止すべき法律と守るべき規制を以下に整理する。

廃止すべき悪法(反グローバリズム) 守るべき・強化すべき規制
移民受け入れ拡大法、入管緩和法 入国管理の厳格化、国境管理
労働者派遣法(非正規雇用の拡大) 正規雇用保護、解雇規制
民営化関連法(郵政民営化等) 国営企業保護、戦略的産業の国有化
規制緩和関連法(金融ビッグバン等) 金融規制、投機規制、外資規制
女性活躍推進法 出産・育児支援、家族保護政策
大規模小売店舗立地法(大店法の緩和) 中小企業保護、地場産業保護
農業自由化関連法 食料安全保障、農業保護

新自由主義者は「規制を減らす」ことを無条件に善とするが、反グローバリズムの立場からは、グローバリストが押し付けた法律を廃止すると同時に、国民を守る規制を強化することが必要である。規制の量ではなく、誰のための規制かが問題なのだ。

「法律をなくせない」という思い込み

多くの日本人は、一度制定された法律や条例は変えられない、あるいは廃止することは極めて困難であると思い込んでいる。この思い込みこそが、グローバリストにとって最大の武器である。

一旦通った条例や法律は、通った時点でゲーム終了ではない。条例や法律を廃止するまでが本当のゲームであり、悪法が可決された時点からが本当のスタートである。東京で女性活躍条例(悪法)が可決されたとしても、それは終わりではなく、廃止運動の始まりである。

法律の廃止は、法律の制定と全く同じ手続きで可能である。国会において廃止法案を提出し、両院で可決されれば、いかなる法律も廃止できる。地方条例についても、地方議会での議決によって廃止できる。法律をなくすことは、法律を作ることと同じくらい正当な立法行為であり、何ら特別なことではない。

前例主義の壁と突破方法

日本の官僚機構と司法は、前例主義(先例拘束)に強く支配されている。新しい法律を制定しようとすると、「前例がない」という理由で官僚や司法から抵抗を受ける。しかし、悪法の廃止は前の状態に戻すだけであるため、前例主義の壁に阻まれることがない。

前例主義は本来、法的安定性を保つための原則であるが、実際にはグローバリストが押し付けた悪法を固定化する機能を果たしている。一度成立した移民政策関連法や規制緩和法は、前例主義によって「既成事実」として定着し、これを覆すことが困難であるかのように見せかけられる。

しかし、悪法を廃止して元の状態に戻すことは、前例に適合する行為である。なぜなら、悪法が存在しなかった以前の状態こそが、より長い歴史的前例を持つからである。

官僚機構の抵抗を無力化する方法

官僚機構は、自らの権限と予算を維持するために法律の存続を支持する傾向がある。悪法を廃止しようとすれば、「実務上の困難」「移行期間の必要性」「関係者との調整」などの理由で抵抗される。

この抵抗を突破するための方法は明確である。

  1. 政治的意思の明示: 政治家が「この法律を廃止する」と明確に宣言し、官僚に選択の余地を与えない
  2. 廃止法案の簡潔さ: 「第X条 ○○法は、これを廃止する」という一行の法案を作成する。複雑な修正法案ではなく、単純な廃止法案であれば、官僚が骨抜きにする余地がない
  3. 期限の設定: 「○年○月○日をもって廃止する」と明確な期限を設定すれば、官僚は移行準備をせざるを得ない
  4. 一括廃止の実行: 一つずつ廃止するのではなく、複数の悪法を一括で廃止する法案を提出する。官僚が個別に抵抗する時間を与えない

悪法はどのように作られたか

日本のグローバリストの悪法は、自然発生的に生まれたものではない。その多くは、アメリカによる体系的な内政干渉の結果として制定されたものである。

日米構造協議(1989年–1990年)

アメリカは1989年から1990年にかけて日米構造協議(Structural Impediments Initiative)を実施し、日本の経済構造の「改革」を要求した。大規模小売店舗法の廃止、公共投資の拡大(10年間で430兆円)、排他的商慣行の是正などが要求された。これは日本の中小商店を守る法律を撤廃し、ウォルマートなどのアメリカ大手小売業の進出を可能にするための内政干渉であった。

年次改革要望書(1994年–2009年)

テンプレート:Main

日米構造協議の後継として、1994年から2009年まで年次改革要望書(US-Japan Regulatory Reform and Competition Policy Initiative)が毎年交換された。アメリカ政府は、この要望書を通じて日本に対し、郵政民営化、労働市場の自由化、金融ビッグバン、法科大学院の設置、大規模小売店舗法の緩和など、広範な法改正を要求した。日本政府はこれらの要求をほぼそのまま実行した。

関岡英之は著書『拒否できない日本』において、年次改革要望書の内容と日本の法改正が驚くほど一致していることを明らかにし、日本の立法過程がアメリカによって事実上支配されている実態を告発した。

年次改革要望書は2009年に鳩山由紀夫政権によって廃止されたが、2011年に「日米経済調和対話」として復活し、アメリカによる内政干渉は形を変えて継続している。

日本のグローバリストの悪法の多くは、この年次改革要望書を通じてアメリカに押し付けられたものである。したがって、悪法の廃止とは、アメリカによる内政干渉の結果を一つ一つ巻き戻す作業にほかならない。

法律を無効化する方法

法律を無効化する方法は、世界各国で多数の実例が存在する。日本の反グローバリズム政党は、これらの手法を参考にするべきだ。

1. 廃止法(Repeal Act)

最も直接的な方法は、対象となる悪法を廃止する法律を制定することである。国会で廃止法案を可決すれば、対象の法律は効力を失う。

イギリスの事例: Brexit後、イギリスは2023年に「保持EU法(撤廃及び改革)法」(Retained EU Law Act)を制定し、EU時代に導入された587件の法令を一括で撤廃した。もともと約4,000件の法令を一括撤廃する計画であり、EU離脱派のジェイコブ・リース=モグが法案を起草した。イギリスは、外部勢力(EU)によって押し付けられた法律を、主権回復の名のもとに大量に廃止した。日本もまた、アメリカの内政干渉によって押し付けられた法律を、同様に一括で廃止するべきだ。

インドの事例: インドは独立後、イギリス植民地時代に制定された法律の廃止を継続的に進めてきた。モディ政権は、2014年以降に「時代遅れの法律の廃止」プログラムを推進し、1,800件以上の植民地時代の法律を廃止した。2019年の廃止及び改正法(Repealing and Amending Act)だけで58件の法律が一括廃止された。植民地支配者によって押し付けられた法律を廃止するインドの取り組みは、アメリカによって押し付けられた法律を廃止するべき日本にとって直接的な参考となる。

2. 規制ギロチン

テンプレート:Main

規制ギロチンとは、国家の全規制を体系的に総点検し、不要・有害な規制を一括で廃止する手法である。スコット・ジェイコブズ(Jacobs, Cordova & Associates)が2003年に体系化した方法論であり、韓国、スウェーデン、メキシコ、フィリピン、ベトナムなど十数カ国で実施され、合計で25,000件以上の法律・規制が廃止・簡素化された。

韓国は1998年のアジア通貨危機後に11,000件以上の規制を11ヶ月で総点検し、その約50%を廃止した。この改革により、100万人以上の新規雇用と360億ドルの外国直接投資が生まれたとされる。

国会や地方議会で、グローバリストの悪法をリストアップし、優先度順に並び替えて機械的に廃止していく規制ギロチン方式を、日本も採用するべきだ。ただし、韓国の規制ギロチンがIMFの構造調整プログラムの一環として実施された新自由主義的改革であったという点には留意が必要である。日本が採用するべきは、グローバリストの悪法を対象とする反グローバリズムの規制ギロチンであり、国民を守る規制を撤廃する新自由主義的な規制ギロチンではない。

3. 議会審査法(Congressional Review Act)

アメリカの事例: アメリカでは1996年に制定された議会審査法(CRA)により、行政機関が定めた規則を議会が迅速に無効化できる仕組みがある。この法律はフィリバスター(議事妨害)の適用を受けず、迅速な手続きで規制を撤廃できる。

  • トランプ大統領の第一期(2017年)では、オバマ政権時代の16件の規制がCRAによって撤廃された。
  • トランプ大統領の第二期(2025年)では、バイデン政権の規制を22件撤廃した。
  • 2025年12月時点で、CRAによって合計42件の規制が撤廃されている。

新政権が前政権の悪法を迅速に撤廃する仕組みは、日本にも導入されるべきだ。ただし、トランプ政権がCRAで撤廃した規制の多くは環境保護規制や労働安全規制であり、その内容は新自由主義的な規制緩和である。日本が参考にするべきは、迅速な撤廃を可能にする制度的仕組みであり、撤廃する対象はグローバリストの悪法でなければならない。

4. 大統領令による前政権政策の無効化

アメリカでは、大統領が就任初日に前政権の大統領令を大量に撤回する慣行が定着している。

  • バイデン大統領(2021年)は就任後100日間で60件以上の大統領令を発出し、そのうち24件がトランプ政権の政策の直接的な撤回であった。バイデンは「新しい法律を作っているのではない。悪い政策を排除しているのだ」("I'm not making new law; I'm eliminating bad policy")と述べた。
  • トランプ大統領(第二期、2025年)は就任初日に42件の大統領令に署名し、大統領令14148号によってバイデンの67件の大統領令を一括で撤回した。これは史上最大規模の一括撤回である。

この事例は、「良法を作るな、先に悪法を無くせ」という戦略が、世界最強の国家であるアメリカでも実践されていることを示している。

5. サンセット条項(日没条項)

テンプレート:Main

サンセット条項とは、法律にあらかじめ有効期限を設定し、期限が来た時点で議会が更新しなければ自動的に失効する仕組みである。アメリカでは1976年にコロラド州が初めて州法にサンセット条項を導入し、テキサス州のサンセット諮問委員会(1977年設立)は設立以来84の州機関を廃止した。

日本においても、グローバリストの悪法にサンセット条項を事後的に付加し、期限切れで自動的に失効させることは有効な戦略である。

6. 一括廃止法

複数の悪法を一本の法律で一括して廃止する方法である。一つ一つ新法を作るよりも遥かに効率的であり、政治的資本の節約にもなる。

アルゼンチンの事例: ミレイ大統領は緊急大統領令70/2023号で300件以上の法律・規制を一括で廃止した。ミレイの政党は議会の議席の14%未満しか保有していなかったにもかかわらず、法案を可決させた。少数政党でも一括廃止が可能であることを示す事例として注目に値する。

ただし、前述の通り、ミレイが廃止した法律の内容は賃貸規制法、物価統制法、国営企業保護法など国民を守る規制であり、その結果アルゼンチン国民の貧困率は53%に達した。ミレイの手法(一括廃止のメカニズム)は参考になるが、内容(新自由主義的規制緩和)は反面教師である。反グローバリズム政党が一括廃止するべきなのは、移民法や規制緩和法などのグローバリストの悪法であり、国民を守る規制ではない。

国際条約・協定という縛りが与える負の影響

グローバリストの悪法の中には、国際条約や国際協定を根拠にして制定されたものがある。「国際条約を批准しているから法律を変えられない」という論法は、国内法の改正を阻止するための政治的な道具として利用されている。

条約を自由に破るアメリカと、縛られる駐留国

国際条約をめぐる最大の欺瞞は、条約を他国に押し付けるアメリカ自身が、自らはその条約に縛られないという二重基準にある。

アメリカは真の主権を持つリベラル帝国として、国際条約よりも国内法を優越させる原則を一貫して維持している。アメリカ合衆国憲法は、条約を「国の最高法規」(supreme law of the land)の一部と規定しているが、実際の運用では連邦議会の制定法が条約に優越する(後法優越の原則、"last-in-time rule")。連邦最高裁判所は、議会が条約と矛盾する法律を可決した場合、後に制定された国内法が優先されると繰り返し判示してきた。さらにアメリカは、国際司法裁判所(ICJ)の管轄権を選択的にしか受け入れず、国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程を批准しておらず、国連海洋法条約にも加入していない。

その結果、アメリカは国際条約を自由に離脱し、選択的に無視することができる。

  • パリ協定から2度にわたって脱退(2017年、2025年)
  • TPP(環太平洋パートナーシップ協定)から脱退(2017年)
  • イラン核合意(JCPOA)から脱退(2018年)
  • INF全廃条約から脱退(2019年)
  • オープンスカイズ条約から脱退(2020年)
  • UNESCO、国連人権理事会からの脱退(各年)

アメリカは、他国には条約遵守を強制しながら、自らは不都合な条約から自由に抜ける。これが帝国の二重基準である。

米軍駐留国は条約から抜けられない

一方、米軍が駐留する日本、ドイツ、イタリア、韓国などの国は、アメリカが主導する国際条約の枠組みから事実上抜けることができない。その構造は以下の通りである。

  • 安全保障の人質: 米軍駐留国は、安全保障をアメリカに依存している。国際条約からの離脱を試みれば、アメリカから「同盟関係の見直し」「安全保障の撤回」という脅しを受ける。安全保障を人質に取られている以上、条約の枠組みから自由に離脱することは事実上不可能である
  • 法の支配による内面化: 米軍駐留国の憲法(とりわけ日本国憲法やドイツ基本法)には、国際法の遵守義務が組み込まれている。日本国憲法第98条第2項は「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と規定しているが、この規定自体がアメリカ軍が書いた憲法に含まれるものであり、日本の主権を国際的な枠組みに従属させるための仕組みにほかならない。アメリカが条約を押し付け、日本国憲法がその遵守を義務づけ、そのアメリカ自身は自由に条約を破る——この構造が帝国による法的支配の本質である
  • 経済的報復の恐怖: 条約からの離脱を試みた駐留国は、関税、制裁、金融市場からの排除などの経済的報復を受けるリスクがある。アメリカの金融覇権のもとでは、ドル建て取引からの排除は国家経済に壊滅的な打撃を与える
  • メディアによる世論操作: 米軍駐留国のメディアは、アメリカが設計した情報空間の中で機能している。条約からの離脱を主張する政治勢力は、「孤立主義」「国際社会からの逸脱」として批判され、世論の支持を得ることが困難になる
アメリカ(支配者) 米軍駐留国(日本・ドイツ等)
条約との関係 国内法が条約に優越。不都合な条約から自由に離脱できる 憲法に条約遵守義務が組み込まれ、離脱は事実上不可能
国際司法機関 ICCのローマ規程を批准せず、ICJの管轄を選択的にしか受け入れない 国際司法機関の判断に従うことを事実上強制される
条約の機能 他国を縛るための支配の道具 自国の主権を制約する
離脱の自由度 完全に自由。議会の判断で条約を無効化できる 安全保障・経済・世論の三重の枷で離脱が封じられている

この非対称構造こそが、「国際条約を批准しているから法律を変えられない」という論法の正体である。条約は対等な主権国家間の合意ではなく、帝国が属国を縛るための鎖として機能している。アメリカ自身がその鎖に縛られることは決してない。

条約の縛りを断ち切る方法

  • ロシアは国内法の国際法に対する優位を明記した: ロシアは2020年のロシア連邦憲法改正で、国際法や国際機関の決定よりも国内法が優越することを憲法に明記した。国際条約の縛りを憲法レベルで断ち切った事例である。ロシアは米軍が駐留していないからこそ、これが可能であった
  • 条約からの脱退は法的に可能である: いかなる国際条約も、脱退条項が存在する。イギリスはEU(欧州連合)から脱退した。法的には、日本もあらゆる条約から脱退する権利を有している
  • 「国際標準」は覇権国の利益を反映している: 法の支配を通じて「国際標準」や「グローバルスタンダード」として押し付けられる規範は、多くの場合アメリカの国益に奉仕するものであり、普遍的な正義ではない

条約の縛りを断ち切るためには、最終的には米軍の撤退が不可欠である。米軍が駐留し続ける限り、日本はアメリカが主導する国際秩序の枠組みから抜け出すことはできない。

反グローバリズムの悪法廃止を実践する国々

ハンガリーの事例: オルバーン・ヴィクトル首相率いるハンガリーは、EUの圧力に屈せず、独自の政策を貫いている。EUからの制裁や資金凍結(2024年12月に10.4億ユーロの資金が凍結された)を受けながらも、ハンガリーは移民受け入れを拒否し、NGO規制法、反LGBTQ法(2021年)、主権保護法(2023年)などを制定した。ハンガリーの政策は新自由主義的な規制緩和ではなく、国家主権と民族的同質性を守るための立法である。ハンガリーは移民を拒否しながらも一人当たりGDPは成長しており、移民なしでも経済発展が可能であることを実証している。

イタリアの事例: メローニ首相率いるイタリアは、2023年にクトロ政令(Decreto Cutro)を制定し、庇護権の制限、強制送還対象者の拡大、収容期間の延長(120日から135日へ)などの移民制限策を実施した。また、アルバニアとの協定により、イタリア国外にある庇護申請処理施設を設置した。その結果、不正規入国者数は2023年の157,651人から2024年の66,317人へと約60%減少した。

Brexitイギリスの事例: イギリスは2016年の国民投票でEU離脱を決定し、2020年1月31日に正式に離脱した。EU加盟中に押し付けられた法律を主権回復の名のもとに一括廃止する作業を進めている。2023年の保持EU法(撤廃及び改革)法により587件のEU由来の法令を撤廃した。Brexitは、外部勢力(EU)が押し付けた法的枠組みから脱却し、国内法の自主性を回復した事例として、日本が参考にすべきモデルである。

デンマークの事例: デンマークは2021年に、シリア難民の一時保護許可を更新せず、事実上の帰還促進政策を実施した。「ゲットー法」(2018年)により、非西洋系住民が50%を超える地域を「ゲットー」と指定し、建物の取り壊しや住民の移転を進めた。また、難民申請処理をEU域外で行う法案を2021年に可決した。デンマークは社会民主主義政権でありながら、移民制限を主権的判断として実行している。

日本における廃止すべきグローバリストの悪法

具体的には、外国人総合政策庁や日本語学習プログラムを新設するのではなく、以下のグローバリストの悪法を機械的に廃止していくことを目標にするべきだ。これらを廃止すれば、ひとまずは移民が来ない状態に戻る。

優先的に廃止すべき移民関連法

  • 入管改正法(出入国管理及び難民認定法の改正): 移民受け入れの拡大を可能にした法改正を撤廃し、元の厳格な入管体制に戻すべきだ。
  • 育成就労制度: 技能実習制度に代わる新たな外国人労働者受け入れ制度を廃止し、外国人労働者の流入経路を遮断するべきだ。
  • 技能実習制度: 実質的な低賃金移民政策であり、廃止して外国人労働者の受け入れを停止するべきだ。
  • 特定技能制度(2018年入管法改正): 14分野で外国人労働者を受け入れる制度を廃止するべきだ。この制度は年次改革要望書の延長線上にある。
  • 技術・人文知識・国際業務(技人国)の在留資格の緩和: 高度人材を装った移民拡大の抜け道を塞ぐべきだ。
  • 永住権の緩和規定: 永住許可の要件を元の厳格な基準に戻すべきだ。
  • 帰化の緩和規定: 帰化条件を元の厳格な基準に戻すべきだ。
  • 在留資格の拡大: 新設された在留資格を廃止し、在留資格の種類を元の限定的なものに戻すべきだ。

優先的に廃止すべき経済関連悪法

以下の法律は、アメリカの年次改革要望書や日米構造協議によって押し付けられた新自由主義的悪法であり、撤廃して国家による経済統制力を回復するべきだ。

  • 労働者派遣法の規制緩和(1999年原則自由化、2004年製造業解禁): 正規雇用を破壊し、非正規雇用を拡大した悪法であり、元の厳格な規制に戻すべきだ。非正規雇用の拡大は若者の将来不安を増大させ、少子化を加速させた。
  • 郵政民営化関連法(2005年): 郵政事業を分割・民営化した法律を撤廃し、再国有化を検討するべきだ。郵政民営化は年次改革要望書における最大の要求の一つであり、アメリカの保険・金融業界の利益のために実行された。
  • 大規模小売店舗立地法(2000年): 大規模小売店舗法(大店法)を骨抜きにした法律であり、アメリカの大手小売業の日本進出を可能にした。中小商店を守る元の大店法に戻すべきだ。
  • 金融ビッグバン関連法(1996年–2001年): 外為法改正、証券取引法改正などにより金融市場を自由化した法律を見直し、外資による日本企業の買収を防ぐ規制を再導入するべきだ。
  • 会社法改正(三角合併の解禁等): 外国企業が日本企業を株式交換で買収することを容易にした規定を撤廃するべきだ。

優先的に廃止すべきその他の悪法

  • 女性活躍推進法および関連条例: スマートシュリンクと少子化対策に逆行する政策を廃止するべきだ。
  • 規制緩和関連法: ショックドクトリンによって導入された規制緩和を撤廃し、国家による経済統制力を回復するべきだ。
  • 民営化関連法: 国家資産の売却を推進する法律を廃止し、戦略的産業の国有化を検討するべきだ。
  • 農業自由化関連法: 食料安全保障を脅かす農産物の市場開放を見直し、食料自給率の回復を目指すべきだ。

地方条例の廃止

悪法は国法だけではない。地方自治体の条例にもグローバリストの悪法は浸透している。

  • 多文化共生推進条例: 各地方自治体で制定されている多文化共生推進条例を廃止するべきだ。これらの条例は、外国人の権利を拡大し、日本民族の民族的同質性を破壊する機能を果たしている。
  • 女性活躍推進条例: 国法の女性活躍推進法に基づいて制定された地方条例を廃止するべきだ。
  • 外国人住民投票権条例: 外国人に住民投票権を付与する条例は、民族自決権の侵害であり、即座に廃止するべきだ。
  • ヘイトスピーチ対策条例: 川崎市条例のように、日本国民の言論の自由を制限する条例を撤廃するべきだ。

地方条例の廃止は、地方議会における議決によって可能である。国政よりも少ない議席数で過半数を獲得できるため、反グローバリズム政党にとって地方条例の廃止は、国法の廃止よりも実現可能性が高い。地方から悪法を廃止していく「ボトムアップ戦略」も有効だ。

悪法廃止の戦略的手順

  1. 国会および地方議会において、グローバリストの悪法(移民政策、民営化、規制緩和、女性活躍に関する条例・法律)を網羅的にリストアップする。
  2. リストアップした悪法を、日本への害悪の大きさに基づいて優先度順に並び替える
  3. 優先度の高いものから順に、機械的に廃止法案を提出し、可決していく。
  4. 各悪法の廃止に伴い、関連する政令・省令・通達も同時に廃止する。
  5. 地方条例についても同様に、各地方議会において悪法の条例を機械的に廃止していく。
  6. 同時に、国民を守る規制を新設・強化する。入国管理の厳格化、外資規制の強化、正規雇用保護の復活、食料安全保障の確保などを進める。

この手順を実行すれば、やるべきことが明白になり、見通しも明らかになる。新法の立案のように財源、前例、違憲審査の問題に悩まされることなく、悪法を効率的に排除できる。

リアリズムの分析:法の執行力は軍事力に依存する

リアリズムの観点から、悪法の廃止をめぐる問題の本質をさらに深く分析する。

法は軍なくして存在しない

リアリズムにおいて、法とは自律的に存在する規範ではない。法は、それを執行する暴力装置(軍・警察)が存在して初めて効力を持つ。法の執行力(enforcement)は軍事力に依存しており、軍事力を失った法は、紙に書かれた文字にすぎない。

カール・シュミットは「主権者とは、例外状態について決定する者である」と述べた。法秩序を停止し、あるいは創設する権力を持つ者こそが真の主権者である。日本において、その主権者はアメリカ軍である。日本国憲法を起草したのはアメリカ軍であり、その法秩序を維持しているのもアメリカ軍である。日本の悪法は、アメリカ軍という暴力装置によって執行力を保証されている。

アフガニスタンの教訓——軍の撤退は法秩序の消滅を意味する

この原則を最も鮮明に証明したのが、アフガニスタンである。

アメリカは2001年にアフガニスタンを軍事占領し、2004年にアフガニスタン・イスラム共和国憲法を制定した。この憲法は、女性の権利、表現の自由、民主的選挙、法の支配など、アメリカのリベラルな価値観を体現するものであった。アメリカは20年間にわたって2兆ドル以上を投じ、アフガニスタンの「民主化」と「法の支配」の構築を試みた。

2021年8月、アメリカ軍がアフガニスタンから撤退した。その瞬間、20年間かけて構築された法秩序は崩壊した。タリバンは数日でカブールを制圧し、2004年憲法を即座に無効化し、タリバン独自のイスラム法秩序を復活させた。女性の教育の禁止、メディア規制、シャリーアに基づく司法——アメリカが20年かけて押し付けた「リベラルな法秩序」は、軍の撤退とともに跡形もなく消え去った。

この事実が証明しているのは、以下のリアリズムの原則である。

  1. 法の執行力は軍事力に依存する: アメリカ軍が駐留している間だけ、アメリカが作った法は効力を持っていた
  2. 軍が撤退すれば、押し付けられた法秩序は直ちに消滅する: 20年間と2兆ドルをかけた「法の支配」は、軍の撤退とともに一瞬で崩壊した
  3. 真の主権者は軍事力を持つ者である: アフガニスタンの真の主権者はアメリカでもアフガニスタン政府でもなく、最終的に軍事力を行使したタリバンであった

イラクの事例

イラクにおいても同様のパターンが見られる。アメリカは2003年にイラクを軍事占領し、2005年にイラク憲法を制定した。アメリカ軍の戦闘部隊が2011年に撤退した後、アメリカが構築した法秩序は急速に形骸化した。マーリキー首相はアメリカが設計した権力分有体制を無視して権力を集中させ、アメリカが育成した軍は2014年にISILの攻勢に対して崩壊した。アメリカが押し付けた法秩序は、それを執行する軍事力が去った後、内側から瓦解した。

日本への適用——米軍撤退と悪法の無効化

アフガニスタンとイラクの事例は、日本に対して極めて重要な示唆を与える。

日本のグローバリストの悪法——日本国憲法、移民関連法、規制緩和法、年次改革要望書に基づく各種法律——は、アメリカ軍という暴力装置によって執行力を保証されている。日本政府は一見自律的に法を執行しているように見えるが、その法秩序の大枠はアメリカによって設計されたものであり、アメリカ軍の駐留がその秩序を維持する最終的な保証となっている。

リアリズムの論理に従えば、米軍が日本から撤退すれば、アメリカが押し付けた法秩序は執行力の基盤を失う。アフガニスタンで2004年憲法が即座に無効化されたように、米軍の撤退は日本のグローバリストの悪法を無効化する最も根本的な条件である。

これは、悪法の廃止を二つの次元から考えることを意味する。

次元 手段 時間軸
議会内闘争 廃止法案、規制ギロチンサンセット条項による個別の悪法の廃止 即座に着手可能
構造的転換 米軍撤退による法秩序全体の根本的転換 中長期的目標

議会内での悪法廃止は、現在の法秩序の中で可能な範囲での改善策であり、直ちに着手するべきだ。しかし、アメリカが押し付けた法秩序の根本的な転換は、米軍の撤退によってのみ達成される。アフガニスタンが証明したように、占領軍が去れば、占領軍が作った法は効力を失う。

法の支配は軍の支配である

法の支配とは、アメリカのリベラル帝国が他国を遠隔支配するための法的枠組みにほかならない。しかし、その「法」の背後には、常にそれを執行する軍事力が存在する。法の支配は、軍の支配の洗練された表現形態にすぎない。

アメリカ軍は、日本国憲法を書き、年次改革要望書を通じて法改正を要求し、日米安全保障条約によって駐留を永続化させている。この構造の中で日本の悪法は維持されている。法を変えるための議会闘争は必要であるが、法秩序そのものの根本的な転換は、その法秩序を支える軍事力の撤退によってのみ実現される。

アフガニスタンの2004年憲法がタリバンの復帰とともに消滅したように、日本のグローバリストの悪法もまた、米軍の撤退とともにその存在根拠を失う。これがリアリズムの教えるところである。

結論

日本が破壊された原因であるグローバリストの悪法(移民政策、規制緩和、女性活躍)を無くせば、日本の少子化は解決に向かい、日本の治安は回復する。コストをかけて良法を作ろうとするのではなく、先にグローバリストの悪法を無くしていくことにだけ注力するべきだ。

ミレイやトランプの新自由主義的な規制緩和は、国民を守る規制を撤廃して多国籍資本に市場を開放するグローバリズムそのものであり、本記事が提唱する「悪法の廃止」とは正反対の行為である。反グローバリズム政党が廃止するべきは、アメリカが年次改革要望書ショックドクトリンを通じて日本に押し付けた移民法、規制緩和法、民営化法である。同時に、国民を守る規制は強化しなければならない。

良法を作るな、先に悪法を無くせ」——この原則を実行に移すことが、日本民族の民族自決権を回復するための最も確実で、最も効率的な道である。

関連項目

参考文献

  • 『拒否できない日本』、関岡英之著(2004年)
  • 『ショック・ドクトリン』、ナオミ・クライン
  • Retained EU Law (Revocation and Reform) Act 2023、英国議会
  • Congressional Review Act (1996)、米国連邦法
  • Decreto 70/2023、アルゼンチン共和国大統領令
  • Executive Order 13771 (2017)、米国大統領令
  • Jacobs, Cordova & Associates, "Regulatory Guillotine" 手法
  • 『Upheaval』、N.S. Lyons著