民営化

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民営化

概要

民営化(privatization)とは、国家や地方公共団体が所有・運営していた公共資産・公共事業を、民間企業に移管する政策である。新自由主義の中核的な政策手段であり、1980年代以降、マーガレット・サッチャーの英国とロナルド・レーガンのアメリカを起点として全世界に拡散した。

民営化の建前は「効率化」「財政改善」「消費者利益」である。しかし、その本質は国家主権の解体にほかならない。民営化や自由化とは、主権を手放すということである。公共の資本——土地、インフラ、水道、鉄道、通信、郵政——これらは民族共同体の共有財産であり、民営化によって市場に投げ出された瞬間に、より強力な外部の集団によって収奪される対象となる。

民族国家における公共の資本は、民族資本である。そして、民族とは反市場的な存在である。市場化されていなかった民族資本を市場化すると、別の反市場的な民族集団がその資本を奪う。民営化や市場化の危険性はまさにここにある。

歴史的背景

国有化から民営化へ——戦後経済体制の転換

第二次世界大戦後、多くの国が基幹産業の国有化を推進した。鉄道、電力、水道、通信、航空——これらは国家安全保障と国民生活に直結するインフラであり、利潤追求ではなく公共の利益のために運営されるべきだという合意が広く存在した。

ケインズ経済学の影響の下、各国政府は福祉国家体制を構築し、公共部門が経済の中核を担った。日本においては、国有鉄道、日本電信電話公社、日本専売公社、郵便貯金、簡易保険が国民生活の基盤を形成した。官僚に主導された日本の国有企業は、どれも世界レベルで優秀であった。

この体制が転換されたのは、1970年代のスタグフレーションを契機とする。フリードリヒ・ハイエクミルトン・フリードマンに代表される新自由主義経済学が台頭し、「政府の失敗」「公共部門の非効率性」が声高に叫ばれるようになった。

サッチャリズムと民営化の世界的拡散

1979年に就任したマーガレット・サッチャー英首相は、国有企業の大規模な民営化を断行した。ブリティッシュ・テレコム(1984年)、ブリティッシュ・ガス(1986年)、ブリティッシュ・エアウェイズ(1987年)、水道事業(1989年)、電力事業(1990年)と、英国の基幹インフラが次々と市場に投げ出された。

サッチャーの民営化は「効率化」と「株式大衆資本主義」の名のもとに正当化されたが、実態は以下の通りである。

  • 公共資産の安値売却: 国有企業は市場価値を大幅に下回る価格で売却された。購入者は初日から莫大な利益を手にした
  • サービスの質の低下: 利潤追求が最優先となり、安全基準や公共性は軽視された。2001年のレールトラック破綻は鉄道民営化の失敗を象徴している
  • 外国資本への流出: 民営化された企業の株式は国際市場で取引され、英国の基幹インフラが外国資本の手に渡った
  • 格差の拡大: 民営化の利益は富裕層と金融資本に集中し、労働者と地域社会は切り捨てられた

サッチャリズムのモデルは、ワシントン・コンセンサスを通じて全世界に輸出された。IMF世界銀行は、融資の条件として民営化を途上国に強制した。

民営化と主権喪失の構造

民営化が主権喪失をもたらす構造は、以下のように体系化できる。

第1段階:外部からの圧力

覇権国(アメリカ)は、年次改革要望書、国際条約、IMF・世界銀行の融資条件などを通じて、対象国に民営化を要求する。この要求は「構造改革」「規制緩和」「市場開放」という語彙で包装される。

第2段階:国内の買弁勢力の動員

国内の新自由主義者——経済学者、メディア、政治家——がアメリカの要求を「改革」として国民に売り込む。「官から民へ」「小さな政府」「民間活力の導入」というスローガンが繰り返される。新自由主義者は、国家には絶大な力があることを分かっていたが、国民には、国家にそんな力はないと信じるよう力説した。

第3段階:公共資産の売却

国有企業が株式会社化され、株式が市場に放出される。この過程で、数十年かけて蓄積された国民の資産が一夜にして市場の商品に転じる。

第4段階:外国資本による取得

民営化された企業の株式は国際市場で取引される。資本規制が緩和されていれば、外国資本が自由にこれらの株式を購入できる。基幹インフラが外国の所有物となる。

第5段階:主権の不可逆的喪失

一度民営化された公共資産を国有化することは、極めて困難である。国際投資条約(ISDS条項など)により、国有化を試みた国家は外国投資家から巨額の損害賠償を請求される。主権の喪失は不可逆的なものとなる。

日本における民営化——五つの主権の喪失

日本において、民営化と自由化によって失われた主権は以下の五つの分野に体系化できる。

分野 民営化・自由化政策 経緯 喪失した主権
土地 GATS協定による土地自由化 日本の議員会館では日本の土地を買うための説明会が中国語で開催された。上海電力は太陽光パネル事業に参画し、日本の山林を購入した 土地主権の喪失——外国人が日本の土地を自由に購入可能に。人口侵略への無防備化
金融 郵政民営化(2005年)、農中の自由化、金融ビッグバン 小泉純一郎首相は年次改革要望書のアメリカの要求に応じて郵政民営化を強行。約350兆円の国民資産が民営化された 金融主権の喪失——国民の貯蓄がウォール・ストリートへ流出
情報通信 NTTの民営化(1985年)、通信市場の自由化 自公政権はLINEを規制せず、ソフトバンクとLINEヤフーのPayPayを推進した。LINEから個人情報が流出する事件が繰り返された 情報主権の喪失——通信インフラの外資への開放。情報の海外流出
資源 環境条約による制約、電力自由化 日本の電力会社の力を削ぎ、外資や新電力の参入を国が後押しした。2035年までにガソリン車を廃止する政策が打ち出され、BYDが日本に参入した 資源購買主権の喪失——エネルギー政策の自律性喪失
国境 移民政策の緩和、出入国管理の自由化 少子化を口実に移民受け入れを推進。技能実習制度を通じた利権構造が存在する 国境主権の喪失——人口侵略への無防備化。低賃金移民政策の推進

郵政民営化——年次改革要望書の最大の成果

郵政民営化は、年次改革要望書におけるアメリカの最大の要求の一つであった。アメリカの保険業界は、郵便局の窓口で販売される簡易保険を「民業圧迫」として攻撃し、郵政事業の民営化と分割を要求した。

小泉純一郎首相は2005年に郵政民営化を「改革の本丸」として強行し、郵政民営化法を成立させた。約350兆円の国民資産が民営化され、外国資本のアクセスが可能になった。「官から民へ」というスローガンの実態は、「国民から外国資本へ」であった。

郵政民営化を推進した竹中平蔵は、後に人材派遣会社パソナの会長に就任した。労働市場規制緩和によって非正規雇用が増加し、パソナは巨額の利益を上げた。民営化と規制緩和を推進した人物が、その政策から直接利益を得る——これが日本における民営化の構造である。

土地の自由化——最も危険な主権喪失

GATS協定による土地自由化は、日本における主権喪失の中で最も深刻かつ不可逆的なものである。土地は生産手段であると同時に、民族の居住空間であり、共同体の物理的基盤である。

円安になったら、輸出品を売って円高に誘導するべきである。しかし、アメリカの内政干渉を受けて土地自由化と外資自由化という新自由主義リベラル政策を進めてしまった。この状況下で円安になると、輸出品ではなく、生産手段や生活手段である土地や会社自体が買われることになる。

アメリカの内政干渉によって外国人土地自由化が行われ、日本人の少子化が加速し、日本の各地では中国人が増加している。アメリカが、世界を自由に買える商品に変えたからだ。新自由主義リベラルによる経済弱体化と、自由化政策の帰結として、土地と資本をすべて外国人に買われるだろう。

情報通信の自由化——ソフトパワーの喪失

NTTの民営化(1985年)に始まる情報通信分野の自由化は、日本の情報主権を深刻に毀損した。自公政権は国内の情報通信への教育や投資を怠り、情報通信の遅れをショックドクトリンを進める材料として利用した。

外資を規制緩和し、法人税を下げ、消費税を上げた。インボイス制度によって日本のソフトパワーであるアニメは弱体化した。JPOPと入れ替わるようにKPOPが地上波で台頭した。日本のアニメ制作会社は中国に買収され、中国産の質の低い3Dアニメが台頭した。産業政策を封印し、民営化と自由化を進めた結果、日本のソフトパワーは外国に流出している。

民営化の思想的批判

カール・ポランニーと「擬制商品」

カール・ポランニーは『大転換』において、土地・労働・貨幣を「擬制商品」(fictitious commodities)と呼んだ。これらは本来、売買の対象として生産されたものではなく、市場で取引される「商品」として扱うこと自体が虚構であるとポランニーは論じた。

土地は自然環境であり、労働は人間の活動であり、貨幣は購買力の象徴である。これらを商品として市場に投げ込むことは、社会を根底から破壊する。民営化とは、まさにこの「擬制商品化」を国家的規模で遂行する政策にほかならない。

ポランニーによれば、市場が社会から「脱埋め込み」されたとき、社会は破滅的な「二重運動」に巻き込まれる——市場化の圧力と、それに対する社会の自己防衛運動との衝突である。民営化に対する世界的な反動——水道の再公営化運動、鉄道の国有化要求——は、ポランニーが予見した社会の自己防衛運動の現代的発現である。

「公共」とは何か——民族的紐帯の問題

「公共」とは、誰が我々であるかという問題を覆い隠してしまう概念でもある。「我々」とは何か——この根源的な問いに答えることなく「公共」を語れば、それは民族的な紐帯を持たない抽象的な空間へと堕する。

アメリカは、奴隷制度によって「我々」の民族的一体性を失った。その結果、新自由主義によって格差は極限まで拡大し、白人はゲーテッドコミュニティに住み、黒人はゲットーに住む。公共空間は崩壊し、民族的な「我々」の不在を、空間的な隔離によって代替しているに過ぎない。

公共を重視する社会主義や福祉国家と、新自由主義の二項対立は、いずれも民族的な利益を追求する枠組みを提供しない。社会主義は「階級」を、新自由主義は「個人」を基本単位とするが、いずれも「民族」を見えなくする。真に民族の利益を守る経済体制とは、この二項対立を超え、民族共同体の存続と繁栄を最上位の目的として掲げるものでなければならない。

重要なのは、経済が民族に仕えるという形である。経済発展が自己目的化し、民族共同体の存続よりも市場の効率性が優先されるとき、経済は民族を破壊する道具に転じる。

世界における民営化の失敗と再公営化

水道の再公営化

水道の民営化は、世界的な民営化の失敗を最も象徴する事例である。

  • ボリビア・コチャバンバ(2000年): 世界銀行の融資条件として水道が民営化され、アメリカの多国籍企業ベクテルが水道事業を取得した。水道料金が300%以上値上がりし、貧困層が水道を使えなくなった。住民による大規模な抗議運動(水戦争)が発生し、最終的に民営化は撤回された
  • パリ(2010年): 1985年に民営化された水道事業を、2010年にパリ市が再公営化した。再公営化後、水道料金は8%低下した
  • ベルリン(2013年): 民営化された水道事業を、住民投票を経て再公営化した
  • ジャカルタ(2017年): 25年間の民営化契約を裁判所が無効と判断し、再公営化された

トランスナショナル研究所の調査によれば、2000年から2019年までに世界で311件の水道事業が再公営化された。民営化は効率化をもたらすどころか、料金上昇、サービス低下、投資不足を招いた。

英国の鉄道民営化の失敗

サッチャーの後継者ジョン・メージャーが1993年に断行した英国の鉄道民営化は、公共交通の民営化が招く災厄を世界に示した。

線路保有会社レールトラックは安全投資を怠り、2000年のハットフィールド脱線事故を引き起こした。レールトラックは2001年に破綻し、国が再び線路の管理を引き受けることになった。しかし、運行会社は依然として民間のままであり、運賃は欧州最高水準にまで高騰した。

2024年、キア・スターマー政権は鉄道の段階的な再国有化法案を提出した。民営化から30年を経て、英国は鉄道の国有化に回帰しつつある。

アメリカ軍駐留と民営化の関係

アメリカ軍は、日本人を守るために日本にいるのではない。サイレント・インベージョンを合法化する自由民主主義、自由資本主義、三権分立法治主義新自由主義、市場原理主義的な秩序を日本へ強制し、それを維持するために日本にいる。

アメリカ軍は、反市場的な日本共同体を解体するために日本に駐留している。資本の国有化を防ぎ、国家主権を奪う国際条約の履行を強制し、日本国内で日本人をゲマインシャフト的に不自由にするためにアメリカ軍は日本にいる。

もし日本が民営化された資産を国有化しようとすれば、国際投資条約違反として訴えられ、アメリカからの政治的圧力にさらされるだろう。アメリカ軍の駐留は、民営化による主権喪失を不可逆的なものにするための装置として機能している。

民営化からの主権回復

民営化による主権喪失を回復するためには、以下の政策が不可欠である。

  • 戦略的再国有化: 基幹インフラ(通信、エネルギー、水道、鉄道)を計画的に再国有化する。世界の再公営化の潮流は、この方向性の正当性を裏付けている
  • 外資規制の強化: 基幹産業への外国資本の参入を制限する。ベンチャー・キャピタルに国籍はないが、金融庁には国籍がある。外国のベンチャー・キャピタルが金融庁の指示に従わないということは、国家主権が存在しないことに等しい
  • 土地外国人取得の規制: GATS協定による土地自由化を撤回し、外国人による土地取得を厳格に規制する
  • 年次改革要望書に基づく悪法の廃止: アメリカの要求によって制定された民営化関連法を規制ギロチンによって一括廃止する
  • 国際条約の見直し: 国家主権を奪う国際投資条約(ISDS条項を含む)を破棄または再交渉する
  • 米軍撤退の実現: アメリカ軍の駐留は民営化体制の維持装置である。米軍撤退なくして、公共資産の国有化は実現しない

アメリカによって国が民営化されて私物化される。共同体と無関係の人間が、国を自由に買い、自由に入植する。そのような社会はユートピアとは程遠い。これ以上の外国勢力による日本への侵略を許してはならない。市場原理主義的なアメリカ人や外国勢力の影響を完全に排し、日本人のための真の意味で持続可能な経済と社会を再構築するべきである。

参考文献

関連項目