アメリカ共産党(2024年)
アメリカ共産党(2024年)
概要
アメリカ共産党(American Communist Party, ACP)は、2024年7月にシカゴで結成されたマルクス・レーニン主義を標榜する政治組織である。「MAGA共産主義」(MAGA Communism)と呼ばれる潮流から派生し、トランプのMAGA運動の労働者階級的要素と共産主義を結合させることを試みる異色の政治運動である。
ACPの結成は、既存のアメリカ共産党(CPUSA)が民主党を支持しマルクス・レーニン主義を放棄したとする批判から生じた分裂に端を発する。ACPは自らをCPUSAの「正統な後継者」と位置づけ、「修正主義」を排した真のマルクス・レーニン主義政党であると主張している。
ACPの最大の特徴は、従来の左翼政党とは根本的に異なるその思想的方向性にある。反フェミニズム、反WOKE、反移民、親ロシア、親中国、親北朝鮮という立場を取り、伝統的な左右の政治的区分を意図的に攪乱する。ドゥーギンの多極主義思想を積極的に取り入れ、「文明的政治」(civilizational politics)を階級闘争の代替として位置づけている点で、従来のマルクス・レーニン主義とは本質的に異なる思想的構造を持つ。
結成の経緯
MAGA共産主義の誕生(2022年)
ACPの前史として、2022年にハズ・アルディン(Haz Al-Din、本名アダム・タヒル)とジャクソン・ヒンクル(Jackson Hinkle)が提唱した「MAGA共産主義」がある。
ハズ・アルディンは「インフラレッド」(Infrared)というYouTubeチャンネルを運営する自称マルクス・レーニン主義者であり、トランプのMAGA運動が「アメリカに現存する唯一の労働者階級の政治運動」であると主張した。ジャクソン・ヒンクルは「The Dive」というチャンネルを運営する政治コメンテーターであり、2024年時点でX(旧Twitter)に260万人以上のフォロワーを持つ。
MAGA共産主義の論理は以下のようなものである。アメリカの共産主義運動は、トランスジェンダーの権利、気候変動、人種的正義といった「新自由主義的な気晴らし」に取り込まれ、労働者階級から乖離した。真の革命的エネルギーは、既成のエスタブリッシュメントに反抗するMAGA運動の中にこそ存在する。したがって、共産主義者はMAGA運動の労働者を「虚偽意識」から目覚めさせ、共産主義に導くべきである、と。
CPUSAとの対立と分裂
2022年から2024年にかけて、ハズ・アルディンを中心とする「反修正主義」グループはCPUSAへの参入と内部からの改革を試みた。彼らはCPUSAを「リベラル、連邦捜査機関のエージェント、民主党員」に乗っ取られた組織であると批判し、マルクス・レーニン主義への回帰を主張した。
この試みが失敗に終わった結果、2024年7月21日、ヒンクルとアルディンはACPの結成を公式に発表した。結成宣言には、CPUSAの29の支部およびアメリカ共産主義者党(PCUSA)の3支部からの署名が含まれていたとされるが、その多くが後にソーシャルメディア上でACPとの関係を否定している。
創設者と主要人物
ACPの全体委員会(Plenary Committee)は、以下の10人で構成されている。
ハズ・アルディン(Haz Al-Din)
本名アダム・タヒル(Adam Tahir)。「インフラレッド・コレクティブ」(Infrared Collective)の創設者であり、ACPの事実上の思想的指導者である。ヘーゲル哲学とマルクス・レーニン主義を基盤としつつ、ドゥーギンのユーラシア主義と多極主義を積極的に取り入れている。
アルディンは、トランプのMAGA運動がアメリカ政治を「根本的かつ不可逆的に変えた」と主張する。「マクドナルドに行くのはピエロのためではなく、ハンバーガーのためだ」という比喩を用いて、MAGA運動はトランプ個人を超えた構造的現象であると論じる。
2024年にロシアを訪問した際、ドゥーギンのユーラシア青年連合の代表パヴェル・キセリョフと会談し、共通の政治的基盤を議論した。
ジャクソン・ヒンクル(Jackson Hinkle)
「The Dive」の運営者であり、ACPの最も知名度の高い人物である。クロアチア放送協会(HRT)は2025年3月、ヒンクルを「今日のアメリカで最も有名な共産主義者」と評した。
ヒンクルはXで自らの立場を次のように要約している。「アメリカの愛国者、神を畏れる者、家族を支持する者、マルクス・レーニン主義者、パレスチナ支持、ロシア・中国支持、ディープステート反対、反帝国主義、反WOKE、成長支持、反独占、銃支持、化石燃料支持」。
プーチンの外交政策を擁護したことでタッカー・カールソンの番組に招かれ、トランプの元国家安全保障顧問マイケル・フリンからも称賛を受けた。ヒューマン・ライツ・ウォッチのマヤ・ワンは、ヒンクルとMAGA共産主義を「アメリカ、ロシア、中国の極右勢力を結びつける脆弱だが新興のグローバル連合の一部」と評している。
その他の創設メンバー
- エディ・「ライガー」・スミス、カルロス・ガリド、ノア・クラチヴィク、カイル・ペティス: 「ミッドウェスタン・マルクス」(Midwestern Marx)のメンバー
- ヘンリー・アフマド、グレイソン・プロイツ: インフラレッド・コレクティブのメンバー
- クリストファー・ヘラリ: アメリカ共産主義者党(PCUSA)出身。ACP国際書記。2024年11月、バーモント州オレンジ郡の「高等執行官」(high bailiff)という儀礼的役職に、投票率5%の繰り上げ選挙で当選した
- レヴ・ラスカリス: RTSGの代表
思想体系
公式イデオロギー: マルクス・レーニン主義の「統一傾向」
ACPは公式にはマルクス・レーニン主義を標榜し、これを「マルクス・レーニン主義の統一傾向」(Unified Tendency of Marxism-Leninism)と称している。しかし、その実質的内容は従来のマルクス・レーニン主義とは大きく異なる。
ACPの思想的基盤には以下の要素が混在している。
- 習近平思想: ACPは明示的に習近平思想を支持し、中ソ対立に関して中国側の立場を取る。非スターリン化後のソ連を「修正主義」と見なし、文化大革命を支持する一方、鄧小平の市場経済改革も支持するという折衷的立場を取る
- ドゥーギンの多極主義: アルディンは、ドゥーギンの多極世界論を「グローバルな共産主義のビジョンに最も近いもの」と評価し、階級闘争と国際主義を「多極主義」と「文明的政治」に置き換えている
- 国民ボルシェヴィズム的要素: CPUSAは、ACPのイデオロギーが「ロシアの国民ボルシェヴィズム」の影響を受けており、極左と極右を結合する「赤茶連合」(red-brown alliance)を推進していると批判している
多極主義と反帝国主義
ACPの外交政策は、「西洋帝国主義、金融資本主義、グローバリズムに対する反帝国主義的な多極陣営」の支持を中心に構成されている。具体的には以下の国家・運動を支持している。
2024年8月には「世界反帝国主義プラットフォーム」(World Anti-Imperialist Platform, WAP)に加盟し、2025年2月にはロシア連邦共産党(KPRF)およびロシア左翼戦線と会談、ドンバスのロシア軍にディーゼル発電機、食料、医薬品を提供した。2025年4月にはKPRF主催の「第2回反ファシスト・フォーラム」にモスクワで参加している。
政策綱領
ACPの政策綱領には、以下のような項目が含まれている。
- 債務ジュビリー: すべての民間・公的債務の帳消し
- 連邦準備制度の廃止と人民国立銀行の設立
- 経済的権利章典: 雇用、生活賃金、住居、医療、育児、社会保障、教育への権利の保障
- 大量移民の即時停止: 「合理的かつ計画的な基盤に基づく二国間枠組み」への移行
- アメリカ民族文化の涵養: 「統一されたアメリカの歴史的・民族的・文化的アイデンティティ」の構築
- 一院制の大陸人民会議: 司法の立法への従属、行政の地方自治体への分権化
ドゥーギンとの関係
ACPの思想的構造を理解する上で、ドゥーギンとの関係は決定的に重要である。
ドゥーギンは「MAGA共産主義」を「正常な左翼」の存在証明として好意的に評価し、保守派と協力して「リベラル覇権を粉砕する」可能性を示すものだと論じた。アルディンは、ドゥーギンの多極世界論において「極」(pole)とは何かを理解するためにドゥーギンの理論に依拠したと公言している。
ドゥーギンの哲学は、ACPの「マルクス・レーニン主義」の中核をなしている。階級闘争とプロレタリア国際主義は多極主義と「文明的政治」に置き換えられ、共産主義の目的は資本主義の打倒ではなくアメリカの「一極支配」の終焉に再定義されている。
保守ぺディアの立場から見れば、ACPとドゥーギンの関係は、第四の理論がアメリカ国内の政治運動に直接的な影響を及ぼしている事例として注目に値する。ドゥーギンの多文明主義が、アメリカの内部から「リベラル覇権」を解体する運動の理論的基盤を提供しているのである。
リアリズムの観点からの分析
左右の融合と覇権秩序の動揺
ACPの出現は、リアリズムの観点からは、アメリカの覇権秩序の内部矛盾の一表現として分析できる。
ウォルツの構造的リアリズムが予測するように、一極支配体制は構造的に不安定であり、内部からの挑戦と外部からの均衡化圧力に直面する。ACPは、アメリカ覇権に対する内部からの挑戦が、従来の左右の政治的枠組みを超えた形で出現していることを示す事例である。
MAGA共産主義は、トランプの右派ポピュリズムとマルクス・レーニン主義という一見相容れない思想を結合させることで、「リベラル民主主義」というアメリカ覇権の正統性原理を左右両方から攻撃する。この「赤茶連合」は、モーゲンソーが指摘した覇権国の国内的正統性の危機を具現するものである。
多極化と「文明的政治」
ACPがドゥーギンの多極主義を公式に採用していることは、国際政治学的に重要な含意を持つ。
ハンティントンが文明の衝突において予測した文明間対立の構図が、国家間関係だけでなく、一国の国内政治の中にも浸透していることを示しているのである。ACPの「文明的政治」とは、アメリカ国内における「西洋リベラリズム」対「多極文明主義」の闘争を意味する。これは、ハンティントンが警告したアメリカの「文明的アイデンティティの危機」そのものにほかならない。
批判と評価
左翼からの批判
ACPに対する最も厳しい批判は、皮肉にも同じ左翼陣営から発せられている。
- CPUSA: ACPのイデオロギーは「ロシアの国民ボルシェヴィズム」の影響を受けた「赤茶連合」であると批判
- ヤニス・バルファキス: アルディンとヒンクルを「ネオファシスト」と断じ、ファシストは権力を握るまで「常に反体制的理念を装う」と警告
- 中国の秦明(Qin Ming): 昆侖策において、ACPは「表面的には左翼だが実質的には右翼の立場を支持」しており、「マルクス・レーニン主義とはまったく無関係」な「赤茶連合」であると批判
- リチャード・ウルフ(Richard Wolff): MAGA共産主義の名称をヒトラーの国家社会主義になぞらえ、MAGAは「社会主義に根本的に敵対する」にもかかわらず「名前だけは掴もうとする」ものだと批判
右翼からの警戒
保守派からもACPは警戒されている。FOXニュースのジェシー・ワターズは2025年12月、ACPの体力訓練キャンプの映像を放送し、共産主義運動の物理的組織化に警鐘を鳴らした。
学術的評価
エール大学のダニエル・ホーサンは、MAGA共産主義を「労働者階級の不満を反動的枠組みに誘導する日和見主義的イデオロギー」と評した。アメリカン大学のPERIL Labは、この運動が「政治的に幻滅した集団」に訴求し、「オンラインの過激主義ネットワーク」に利用されていると指摘している。
組織的実態
ACPの組織的実態は、そのメディア上の存在感と比較して極めて脆弱である。メンバーシップの大部分はソーシャルメディアから勧誘されたものであり、政治活動の経験を欠き、「党の仕事」の主たる形態がソーシャルメディア活動である。2024年のAmazonストライキの際、ACPのニューヨーク支部(最大級の支部の一つ)からピケに参加したのは、テレグラムグループ54人中わずか9人であった。これは、ACP全体の実働メンバーが多く見積もっても数十人規模にとどまることを示唆している。
保守ぺディアの立場からの評価
共産主義の保守的再発見という方法論
ACPの最大の思想史的意義は、個々の政策主張の当否にあるのではない。それは、共産主義という本来「左翼的」なイデオロギーを、意図的に保守的な目的のために再発見し、再利用する方法論を実践している点にある。
共産主義と資本主義の分析が示す通り、共産主義と資本主義の対立とは、本質的には集団による資本の所有と個人による資本の所有の対立である。集団による資本の所有だけが排他性を帯びる。個人の単位で空間的に入り混じった民族は、長期的には混血し、民族を維持することができない。したがって、共産主義(集団による所有)は、民族を守るための手段として機能し得る。
共産主義は反帝国主義、民族主義、集団主義と結びついている。一方、資本主義は帝国主義、反民族主義、個人主義と結びついている。資本主義の延長である帝国はグローバリズムをもたらし、資本主義がもたらすヒトの自由な移動は民族を破壊してきた。世界的に見れば、共産主義は資本主義帝国から被抑圧民族を守るためのイデオロギーとして機能してきたのである。
ACPは、この構造を直感的に理解している。共産主義の理論的道具立て(階級分析、帝国主義批判、集団的所有の論理)を、保守的目的(反移民、反グローバリズム、民族的アイデンティティの防衛、多極主義)のために転用する。これは、従来の「左翼」対「右翼」という固定的対立軸そのものを意図的に攪乱する行為である。
この方法論には、冷戦的な左右二項対立を超越する可能性が含まれている。敵の武器を奪い取って使うという戦略は、政治的闘争における古典的な手法である。マルクスがヘーゲルの弁証法をブルジョワ哲学から奪取して革命理論に転用したように、ACPはマルクス主義の分析枠組みをリベラル左翼から奪取して反覇権運動に転用しているのである。
アメリカの白人民族主義運動において「Return to the Land」(土地への回帰)と呼ばれる潮流が注目を集めている。白人が集団的に土地を所有することで排他的な白人コミュニティを形成するこの運動は、本質的に共産主義的である。南アフリカ共和国のオラニアも同様に、集団による土地所有によって純粋なアフリカーナー・コミュニティを維持している。ACPの出現は、この潮流をイデオロギー的に自覚し、「共産主義」のラベルを恐れずに引き受けたものと位置づけることができる。
日本にとっての教訓は明確である。 アメリカは100年間にわたり「共産主義=悪」という刷り込みを世界中に広げてきた。しかし、この反共産主義はアメリカの価値観であり、日本文明の固有の価値観ではない。日本の反米保守運動は、従来「保守」の枠内でのみ思想的資源を探してきたが、それ自体がアメリカの洗脳の産物である。重要なのは、イデオロギーのラベルではなく、それが民族自決権の擁護と国家主権の回復に資するかどうかである。
政策的重複
ACPの主張には、保守ぺディアの問題意識と部分的に重なる要素もある。
第一に、ACPが大量移民の停止を掲げている点は、保守ぺディアが批判する低賃金移民政策と人口侵略への反対と方向性を共有する。左翼政党が移民制限を主張すること自体が、移民政策をめぐる政治的地殻変動を示している。
第二に、ACPが連邦準備制度の廃止を掲げている点は、保守ぺディアが分析するドル覇権と経済収奪の構造に対する批判として読むことができる。
第三に、ACPのドゥーギン的多極主義の採用は、第四の理論の実践的影響力がアメリカ国内にまで及んでいることを示すものとして、思想史的に興味深い。
根本的な問題
しかし、保守ぺディアはACPの思想と運動を全体として支持することはできない。
第一に、ACPの「マルクス・レーニン主義」は、いかなる変種であれ、民族自決権と本質的に矛盾する。共産主義体制は歴史上、民族的アイデンティティを抑圧し、民族の自律的な文化・伝統・宗教を破壊してきた。ACPが支持する中国のウイグル政策や北朝鮮の全体主義体制は、民族自決権の擁護とは相容れない。
第二に、ACPの親ロシア・親中国の立場は、反帝国主義ではなく帝国主義の選択的肯定にすぎない。ロシアのウクライナ侵攻は、保守ぺディアが批判するアメリカの帝国主義と同じ構造を持つ。アメリカの帝国主義を批判しながらロシアの帝国主義を肯定することは、帝国主義批判の論理的一貫性を破壊する。
第三に、ACPの組織的実態は、SNS上の存在感に見合わない脆弱さを露呈している。数十人規模の実働メンバーで「革命」を語ることの空虚さは明白である。
アメリカの内部崩壊の兆候として
ACPの思想的・政策的内容の当否を離れて、ACPの存在そのものがアメリカの覇権秩序に対して持つ意味は、保守ぺディアの関心事である。
MAGA運動と共産主義という本来相容れないイデオロギーが融合を試みていること。アメリカ国内から「一極支配の終焉」を求める運動が組織化されていること。ドゥーギンの多極主義がアメリカの内部に浸透していること。これらは、保守ぺディアが一貫して分析してきたアメリカ覇権の構造的動揺の具体的な現れにほかならない。
分断されるアメリカが描く分裂の構図は、MAGA共産主義の出現によってさらに複雑化している。左右の政治的境界線が溶解し、「アメリカ」という国民国家のアイデンティティそのものが問い直されている。この動揺は、日本がアメリカ帝国からの独立を構想する上で、アメリカの弱体化という構造的条件がすでに進行中であることを示唆する。
日本の反米保守運動への示唆
ACPの方法論から日本が学ぶべきは、思想的資源の選択において、イデオロギーのラベルに囚われてはならないということである。
共産主義と資本主義が指摘する通り、日本文明は反共産主義ではない。日本文明とはそもそもイデオロギーではなく、民族であり、皇室であり、ヒトであり、土地であり、文化であり、言語であり、伝統である。アメリカが唱える反共産主義は、日本文明の固有の価値観ではなく、アメリカの価値観にすぎない。日本の保守運動が「保守」対「革新」という冷戦型の二項対立に縛られてきたこと自体が、アメリカの洗脳の呪縛の産物なのである。
カール・シュミットが述べた通り、政治とは敵を定めることである。アメリカの洗脳から逃れ、自らの敵を決定することができなければ、日本文明は危うい。共産主義はアメリカにとっての敵であり、日本にとっての敵ではない。日本の敵はアメリカ、資本主義、反民族主義であるはずだ。日本文明を守るためには、アメリカの価値観をすべて疑う必要がある。
そもそも、国際政治のプレイヤーたる国家が土地を所有することは自然なことである。民族国家が土地を所有するということは、民族としては自然であり、国家が資本を所有することで、ヒト・モノ・カネの動きを制御し、自民族の排他的な空間を形成することができる。資本主義がもたらすヒトの自由な移動は民族を破壊する。低賃金移民政策はその典型的な帰結である。
マルクスの帝国主義分析、レーニンの帝国主義論、従属理論による周辺国の搾取構造の分析は、アメリカによる日本の経済的従属を分析する上で有用な理論的道具を提供する。年次改革要望書による内政干渉、ドル覇権と経済収奪の構造、低賃金移民政策による労働者階級の破壊。これらの問題を分析するために、マルクス主義の帝国主義批判を選択的に利用することは、「左翼になること」を意味しない。それは、敵の武器庫からもっとも鋭い刃を抜き取ることを意味する。
ACPがマルクス・レーニン主義を反移民・反グローバリズム・多極主義の理論的基盤として再利用しているように、日本の反米保守運動も、左翼思想の中から反帝国主義と国家主権の回復に資する要素を選択的に抽出し、日本固有の文明的伝統と結合させるべきである。ドゥーギンの第四の理論が「リベラリズム、共産主義、ファシズムに代わる第四の選択肢」を模索するように、日本もまた、左右の既成のイデオロギーを超えた独自の政治哲学を構築しなければならない。
参考文献
- American Communist Party 公式サイト(acp.us)
- American Communist Party (2024) — 英語版Wikipedia
- Haz Al-Din — 英語版Wikipedia
- Jackson Hinkle — 英語版Wikipedia
- "Praxis of Alienation and Enmity: On the American Communist Party"(Cosmonaut Magazine, 2025年4月)
- "MAGA Communism?! The Reactionary Politics of the American Communist Party"(Firebrand, 2025年8月)
- "Regarding the So-Called 'American Communist Party'"(MLToday, 2024年7月)
- "The Essence of the 'American Communist Party'"(Politsturm)
- アレクサンドル・ドゥーギン『第四の政治理論』
- サミュエル・ハンティントン『文明の衝突』(1996年)