青黒連合
青黒連合
概要
青黒連合(あおくろれんごう)とは、資本主義(青)と帝国主義(黒)の構造的結合を指す概念である。その最大の体現者はアメリカ合衆国、すなわちアメリカ帝国である。
保守ぺディアは、政治的立場を色で表現する体系を用いている。
- 赤(共産主義): 集団による資本所有、反帝国主義、国家資本主義
- 茶(ナショナリズム): 自民族の空間を守り、独自の政治的・経済的秩序を構築する
- 青(資本主義): 個人による資本所有、自由市場、グローバリズム
- 黒(帝国主義): 他国への侵略、軍事的支配、内政干渉
色の由来
これらの色は恣意的な割り当てではない。いずれも政治史における象徴的伝統に根ざしている。
- 赤: フランス革命以来、赤旗は急進的な社会変革の象徴であった。パリ・コミューン(1871年)が赤旗を掲げ、ロシア革命が赤軍を組織し、中国革命が五星紅旗を国旗とした。赤は血の色であり、既存秩序の転覆と集団的解放を象徴する。共産主義諸国が例外なく赤を国旗に用いたのは偶然ではない
- 茶: ナチス突撃隊(SA)の茶色いシャツに由来する。ロシア語圏ではソ連崩壊前後、共産主義者とナショナリストの連携を「赤茶連合」(красно-коричневые)と呼んで非難した。茶色はナショナリズムの色として定着しているが、保守ぺディアはこの「汚名」を引き受けた上で肯定する
- 青: 資本主義・自由主義陣営の色である。アメリカ共和党とイギリス保守党はともに青を党色とし、金融市場では優良株を「ブルーチップ」と呼ぶ。国連の旗も青であり、アメリカ主導の「リベラル国際秩序」は青い旗の下に構築された。青は冷静・秩序・信頼を装うが、その内実は資本の支配である
- 黒: 帝国主義・侵略の色である。ムッソリーニの黒シャツ隊はイタリアにおけるファシズムと帝国主義的膨張を象徴した。海賊旗(ジョリー・ロジャー)の黒は、国境を無視した暴力的略奪を意味する。黒はナショナリズム(茶)と異なり、自民族の空間を守る色ではなく、他民族の空間を奪う色である
赤茶連合肯定主義が示す通り、保守ぺディアは赤茶連合(共産主義とナショナリズムの結合)を肯定する。これは民族を守るための連合である。一方、青黒連合(資本主義と帝国主義の結合)は、民族を破壊するための連合であり、断じて否定されなければならない。
青黒連合の本質は単純である。資本主義は利潤を求めて国境を超え、帝国主義は軍事力で国境を超える。この二つが結合するとき、一つの帝国が生まれる。資本が市場を求めて膨張し、軍隊がその市場を確保する。アメリカ帝国とは、まさにこの青と黒の結合体にほかならない。
青はなぜ黒に転化するか
資本主義(青)が帝国主義(黒)に転化する構造は、マルクス主義の伝統において繰り返し分析されてきた。
レーニンは『帝国主義論』(1917年)において、帝国主義を「資本主義の最高段階」と定義した。国内市場が飽和すると、資本は海外に投下先を求める。銀行資本と産業資本が融合して金融資本となり、資本の輸出が商品の輸出に取って代わる。列強による世界の分割が完了すると、再分割をめぐる戦争が不可避となる。
ローザ・ルクセンブルクは『資本蓄積論』(1913年)において、資本主義が存続するためには常に非資本主義的環境(植民地、農村共同体、自給自足経済)を必要とすると論じた。資本主義は自らの外部を飲み込み続けなければ存続できない。この飲み込みの過程こそが帝国主義である。
J・A・ホブソンは『帝国主義論』(1902年)において、帝国主義の経済的根源を国内の過少消費と過剰貯蓄に求めた。富の偏在が国内消費を抑制し、余剰資本が海外投資に向かう。この投資を保護するために軍事力が動員される。
これらの分析に共通するのは、資本主義の内在的論理が帝国主義を生み出すという認識である。青は自然に黒へと転化する。資本の膨張は国境を認めず、国境を超えた資本を守るために軍事力が必要となり、軍事力の行使が帝国主義となる。青黒連合は偶然の産物ではなく、資本主義の構造的帰結である。
赤はなぜ茶に転化するか
青が黒に転化する構造を理解した上で、その対極にある問いを検討しなければならない。共産主義(赤)はなぜナショナリズム(茶)に転化するのか。
理論と実践の乖離
マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』(1848年)において「万国の労働者よ、団結せよ」と呼びかけた。共産主義は本来、国境を超えた普遍的イデオロギーである。しかし、現実の共産主義革命は、例外なく民族解放運動として遂行された。
ロシア革命は、ツァーリ体制という帝国からのロシア民族の解放であった。中国革命は、列強の半植民地支配からの中華民族の解放であった。ベトナム革命は、フランスとアメリカの帝国主義からのベトナム民族の解放であった。キューバ革命は、アメリカの支配からのキューバ国民の解放であった。
赤い旗の下で行われた革命は、実質的にはすべて茶色い革命であった。
構造的必然性: 集団所有は排他性を生む
赤が茶に転化するのは歴史の偶然ではない。構造的な必然である。
共産主義と資本主義が論じる通り、共産主義の本質は「集団による資本の所有」にある。集団が資本(土地、資源、生産手段)を所有するとき、その集団には必ず境界が生じる。「誰が集団の成員であり、誰がそうでないか」という問いが不可避的に発生する。この境界の設定は、空間的排他性を生む。排他性を持つ集団とは、すなわち民族にほかならない。
資本主義(青)は個人による所有であるため、所有の境界は個人単位にまで細分化される。個人は移動し、混合し、国境を溶解させる。資本主義のもとでは「誰が集団に属するか」という問いは意味を失い、あるのはただ「誰が所有するか」だけである。だからこそ青は国境を超え、黒(帝国主義)を必要とする。
共産主義(赤)は集団による所有であるため、所有の境界は集団単位で設定される。集団は領土を占有し、外部を排除し、国境を強化する。共産主義のもとでは「誰が集団に属するか」が決定的に重要であり、それは「誰がこの土地の民族であるか」という問いと一致する。だからこそ赤は茶(ナショナリズム)に転化する。
「一国社会主義」の勝利
この構造的必然性は、ソ連における「一国社会主義」論争に明確に表れている。
トロツキーは「永続革命」を唱え、世界革命によってのみ社会主義は実現すると主張した。これは赤の論理を純粋に貫く立場である。一方、スターリンは「一国社会主義」を掲げ、まずソ連という一つの国家において社会主義を建設すべきだと主張した。これは赤に茶を混入させる立場である。
歴史はスターリンの勝利に終わった。これは権力闘争の結果ではなく、共産主義の構造的論理の帰結である。集団による資本所有は、必然的に「どの集団が所有するか」を確定しなければならない。世界全体を一つの集団とする「永続革命」は抽象的な理想に過ぎず、現実の政治は具体的な領土と民族のうえに成り立つ。一国社会主義が勝利したのは、赤が茶に転化する構造的必然性をスターリンが(意識的にせよ無意識的にせよ)体現していたからである。
毛沢東がマルクス主義を「中国化」し、ホー・チ・ミンが共産主義を民族解放と結合させ、カストロがキューバ独自の社会主義を構築したのも、すべて同じ構造的論理の表れである。赤は実践において必ず茶に染まる。
二つの転化の対称性
ここに、二つの色の転化の対称性が見えてくる。
青→黒の転化(資本主義→帝国主義)は、個人的所有の論理が国境を超えて膨張する運動である。資本は利潤を求めて外へ向かい、その拡大を軍事力が担保する。結果として他国の主権を破壊する。
赤→茶の転化(共産主義→ナショナリズム)は、集団的所有の論理が国境を内側から強化する運動である。集団は自らの領域を守るために外部を排除し、その排除が民族意識を生む。結果として自国の主権を強化する。
すなわち、青は外へ向かい、赤は内に向かう。青は国境を壊し、赤は国境を固める。青は帝国を生み、赤は民族国家を生む。青黒連合が帝国主義の構造であるならば、赤茶連合は反帝国主義の構造である。
アメリカ帝国: 青黒連合の完成形
アメリカ帝国は、人類史上最も完成された青黒連合である。
軍事的支配(黒)
アメリカは世界80カ国以上に約750の軍事基地を展開している。在日アメリカ軍だけでも50,000人以上の兵力が常駐し、日本の首都圏上空の制空権(横田空域)すら握っている。ドイツ、韓国、イタリア、イギリスにも大規模な米軍基地が存在する。これは古代ローマ以来の、最も広範な軍事的覇権である。
この軍事的支配の目的は、「自由と民主主義の防衛」ではない。その本質は、資本主義(青)の利益を守るための武装装置(黒)である。米軍撤退が実現しない真の理由は、安全保障上の必要性ではなく、アメリカ資本の投資環境を軍事力で担保する必要があるからである。
経済的支配(青)
アメリカは軍事力と並行して、経済的支配の構造を築いてきた。
- ドル覇権: ブレトン・ウッズ体制以降、米ドルは世界の基軸通貨となった。石油取引のドル建て決済(ペトロダラー)を通じて、アメリカは通貨発行権を世界の資源支配に直結させた
- 新自由主義的改革の強制: IMFと世界銀行を通じた構造調整プログラム、年次改革要望書による日本への市場開放圧力、規制緩和・民営化の強制
- 法の支配の武器化: 「法の支配に基づく国際秩序」という美辞麗句は、アメリカが設計したルールにすべての国家を従わせるための装置である
- 低賃金移民政策の輸出: アメリカ軍が駐留する国には、例外なく大量の移民が流入する。これは偶然ではなく、資本が安価な労働力を必要とするからである
青と黒の相互強化
アメリカ帝国において、青と黒は相互に強化し合う。
軍事基地(黒)が設置されると、その国の政治的主権が制約される。政治的主権が制約された国は、アメリカの経済的要求(青)を拒否できない。経済的従属が深まると、軍事基地の撤去はさらに困難になる。この悪循環こそが青黒連合の動力学である。
日本はこの構造の典型的な事例である。占領期に偽日本国憲法を押し付けられ(黒)、日米安全保障条約によって軍事的従属が固定化され(黒)、年次改革要望書と構造改革によって経済的主権を剥奪された(青)。日本は青黒連合の最も忠実な「成功例」であり、最も深刻な犠牲者である。
青黒連合の歴史
大英帝国: 青黒連合の原型
青黒連合の原型は大英帝国である。東インド会社は、私企業でありながら軍隊を保有し、インド亜大陸を征服した。資本(青)と軍事力(黒)が一つの組織に融合した、青黒連合の最も純粋な形態であった。
アヘン戦争(1840-1842年)は、青黒連合の論理を最も赤裸々に示した事例である。イギリスは自国の貿易赤字を解消するために清国にアヘンを売りつけ、清国がそれを禁止すると軍事力で市場を「開放」した。自由貿易(青)を砲艦外交(黒)で強制する。これが青黒連合の本質である。
アメリカ帝国への継承
二度の世界大戦を経て、青黒連合の中心は大英帝国からアメリカへ移行した。しかし、アメリカの青黒連合は大英帝国のそれよりもはるかに洗練されている。
大英帝国は植民地を直接統治した。アメリカは「独立国家」の体裁を維持しながら、軍事基地、ドル覇権、国際機関、法の支配を通じて間接的に支配する。植民地総督の代わりにジャパンハンドラーが、東インド会社の代わりにウォール街が、砲艦の代わりに前方展開する米軍基地がその役割を果たす。形式上の主権を残しながら実質的な主権を奪う。これがアメリカ型青黒連合の巧妙さである。
青黒連合 vs 赤茶連合
青黒連合と赤茶連合は、あらゆる点で対照的である。
| 青黒連合(資本主義+帝国主義) | 赤茶連合(共産主義+ナショナリズム) | |
|---|---|---|
| 経済原理 | 個人による資本所有(私有財産制) | 集団による資本所有(国家資本主義) |
| 空間の論理 | 国境を超えて膨張する(グローバリズム) | 自民族の空間を守る(排他性) |
| 民族への影響 | 民族を解体する(低賃金移民政策、混血化) | 民族を保全する(民族自決権の擁護) |
| 軍事力の用途 | 他国を支配するため(前方展開、基地) | 自国を防衛するため(国土防衛) |
| 主権の扱い | 他国の主権を侵害する | 自国の主権を守る |
| 代表的な体現者 | アメリカ合衆国、大英帝国 | ソ連(実態として)、現代ロシア、中国 |
共産主義と資本主義が論じる通り、共産主義(赤)は集団による資本所有を通じて排他的な民族空間を形成し、ナショナリズム(茶)は民族の独自性を政治的に守る。赤茶連合は民族を内側から守る連合である。
一方、資本主義(青)は利潤を求めて国境を溶解させ、帝国主義(黒)は軍事力で他国の主権を破壊する。青黒連合は民族を外側から破壊する連合である。
この対比は、現代の国際政治における根本的な対立軸を示している。第四の理論が提示する「文明主義 vs 反文明主義」の対立は、言い換えれば赤茶連合 vs 青黒連合の対立にほかならない。
青の偽装: 「自由」と「民主主義」
青黒連合の最大の特徴は、自らの帝国主義的本質を「自由」や「民主主義」といった普遍的価値の仮面で覆い隠すことにある。
赤茶連合肯定主義が指摘する「赤偽装主義」(実態は赤茶連合でありながら純粋な赤を装う態度)に対応するものとして、青黒連合には青偽装主義が存在する。すなわち、実態は青黒連合(資本主義と帝国主義の結合)でありながら、自らを「純粋な青」(自由市場・自由民主主義)であると偽装する態度である。
アメリカは世界最大の軍事帝国でありながら、自らを「自由の守護者」と称する。80カ国以上に軍事基地を展開しながら、「自由で開かれた国際秩序」を唱える。他国の内政に介入しながら、「民主主義の促進」を掲げる。
この偽装は、赤偽装主義よりもはるかに巧妙であり、はるかに有害である。ソ連の赤偽装主義は、少なくとも国境の内側で完結していた。アメリカの青偽装主義は、全世界を対象とする。「自由貿易」の名のもとに他国の市場を収奪し、「人権」の名のもとに政権転覆を実行し、「法の支配」の名のもとに他国の主権を否定する。
法の支配とは、アメリカが設計したルールにすべての国家を従わせるための道具であり、全米民主主義基金(NED)とは、「民主主義の促進」を名目とした内政干渉機関であり、自由で開かれたインド太平洋とは、アメリカの海洋覇権を「自由」で包装した戦略的枠組みである。これらはすべて青偽装主義の産物である。
リアリズムの観点からの分析
リアリズムの視座から見れば、青黒連合はアメリカの覇権を維持するための最も効率的な支配構造である。
ハンス・モーゲンソーの権力政治論に従えば、国家は権力を最大化しようとする。アメリカは軍事力(黒)と経済力(青)の両方を最大化し、その二つを連動させることで、他のいかなる大国も対抗できない覇権構造を築いた。
ジョン・ミアシャイマーの攻撃的リアリズムの観点から見れば、アメリカは地域覇権国として、他の地域に覇権国が台頭することを阻止しようとする。青黒連合はその阻止のための手段である。軍事基地(黒)で潜在的競争国を包囲し、経済的従属(青)で自立を阻む。
しかし、リアリズムの論理は同時に、青黒連合の限界をも示している。ケネス・ウォルツの構造的リアリズムが予測する通り、一極体制は永続しない。過度の膨張は均衡化の力を招来する。現に、ロシアと中国はアメリカの青黒連合に対抗する多極的秩序を構築しつつある。
青黒連合からの離脱
青黒連合からの離脱は、アメリカ軍駐留国にとって最大の課題である。
フィリピンからの米軍撤退(1992年)は、青黒連合からの部分的離脱に成功した数少ない事例である。フィリピン上院が米軍基地条約の更新を拒否し、クラーク空軍基地とスービック海軍基地が撤去された。この事例は、主権国家の政治的意志があれば、離脱は可能であることを示している。
日本にとって青黒連合からの離脱とは、以下を意味する。
- 黒からの離脱: 米軍撤退の実現。在日アメリカ軍基地の撤去、横田空域の返還、日米安全保障条約の破棄
- 青からの離脱: 新自由主義的改革の撤回。年次改革要望書体制の拒否、低賃金移民政策の停止、スマートシュリンクによる自律的な経済構造の構築
黒なくして青はなく、青なくして黒はない。軍事的従属(黒)を維持したまま経済的自立(青からの離脱)を達成することは不可能であり、逆もまた然りである。青黒連合からの離脱は、軍事と経済の両面で同時に行わなければならない。
参考文献
- V・I・レーニン著『帝国主義: 資本主義の最高段階としての』(1917年): 資本主義が帝国主義に転化する構造的必然性を分析した古典
- ローザ・ルクセンブルク著『資本蓄積論』(1913年): 資本主義が非資本主義的環境を飲み込み続ける構造を解明
- J・A・ホブソン著『帝国主義論』(1902年): 過少消費と過剰資本が帝国主義の経済的根源であることを論証
- ジョン・ミアシャイマー著『大国政治の悲劇』(2001年): 攻撃的リアリズムによる覇権国の行動原理の分析
- マイケル・ハドソン著『超帝国主義国家アメリカの内幕』(1972年, 2003年改訂): ドル覇権を通じた経済的帝国主義の構造を暴露
- ベネディクト・アンダーソン著『想像の共同体』(1983年): ナショナリズムと社会主義の結合を比較政治学の視座から分析
- フランツ・ファノン著『地に呪われたる者』(1961年): 植民地解放闘争における社会主義と民族主義の不可分性を論証