反グローバリズム的悪法ギロチン
反グローバリズム的悪法ギロチン
概要
反グローバリズム的悪法ギロチンとは、グローバリストが日本に押し付けた悪法を体系的に総点検し、一括で廃止するための方法論である。
新自由主義的規制ギロチンは「規制」を廃止する。反グローバリズム的悪法ギロチンは「悪法」を廃止する。この一語の違いが、両者の本質的な差異を示している。新自由主義的規制ギロチンが廃止対象とする「規制」とは、国民を守る労働者保護・環境規制・外資規制であり、それを撤廃すれば多国籍企業が自由に搾取できる環境が生まれる。反グローバリズム的悪法ギロチンが廃止対象とする「悪法」とは、アメリカの内政干渉によって押し付けられた移民法・規制緩和法・民営化法であり、それを撤廃すれば国家主権と民族自決権が回復する。
「良法を作るな、先に悪法を無くせ」——悪法の廃止の基本原則を、体系的かつ機械的に実行するための手法が、反グローバリズム的悪法ギロチンである。
なぜ「規制ギロチン」ではなく「悪法ギロチン」なのか
名称を「規制ギロチン」から「悪法ギロチン」に変更した理由は、概念上の混同を防ぐためである。
「規制ギロチン」(Regulatory Guillotine)という用語は、スコット・ジェイコブズが体系化した新自由主義的規制ギロチンの商標である。この用語には、「規制は市場を阻害するものであり、廃止すべきである」という新自由主義的な前提が組み込まれている。反グローバリズムの立場は、この前提を共有しない。
反グローバリズムの立場にとって、規制それ自体は悪ではない。国民を守る規制はむしろ強化すべきである。廃止すべきなのは「規制」一般ではなく、グローバリストが押し付けた「悪法」である。したがって、この手法は「規制ギロチン」ではなく「悪法ギロチン」と呼ぶべきである。
| 新自由主義的規制ギロチン | 反グローバリズム的悪法ギロチン | |
|---|---|---|
| 名称の含意 | 「規制」=市場の障害物=廃止すべきもの | 「悪法」=グローバリストの押し付け=廃止すべきもの |
| 審査基準 | 市場効率性、企業コスト | 民族自決権への影響、国家主権への影響 |
| 廃止対象 | 労働者保護規制、環境規制、外資規制 | 移民拡大法、規制緩和法、民営化法、女性活躍推進法 |
| 守るべきもの | 市場の「自由」 | 国民を守る規制 |
| 目的 | 多国籍企業のコスト削減 | グローバリストの悪法の排除、主権の回復 |
| 受益者 | 多国籍企業、資本家 | 国民、中間層 |
| 結果 | 国家の統制力が弱体化する | 国家の統制力が強化される |
ミレイ・トランプとの決定的な違い
ミレイやトランプの規制緩和は、新自由主義的規制ギロチンの現代的変種であり、国民を守る規制を撤廃して多国籍資本に市場を開放するグローバリズムそのものである。ミレイのアルゼンチンでは電気料金が300%以上高騰し、貧困率は53%に達した。
反グローバリズム的悪法ギロチンが廃止するのは、グローバリストが押し付けた法律であり、国民を守る規制ではない。ミレイやトランプから学ぶべきは、大量の法律を一括で廃止する技術的手法のみである。廃止する対象は正反対だ。
方法論
第1段階:全法律の棚卸し
国法および地方条例を網羅的にリストアップする。
第2段階:悪法の審査基準
以下の5つの基準のいずれか1つにでも該当する法律は、悪法として廃止候補にリストアップされる。
- 外圧の有無: 当該法律は、年次改革要望書、日米構造協議、IMF、世界銀行などの外部圧力によって制定されたか
- 民族自決権への影響: 当該法律は、日本民族の民族自決権を侵害しているか
- 国家主権への影響: 当該法律は、日本の国家主権を弱体化させているか
- 中間層への影響: 当該法律は、日本の中間層を破壊し、格差を拡大させているか
- 少子化への影響: 当該法律は、日本の少子化を促進しているか
新自由主義的規制ギロチンの審査基準が「市場効率性」「企業コスト」であるのに対し、悪法ギロチンの審査基準は「民族自決権」「国家主権」である。審査基準が異なれば、廃止される法律も正反対となる。
第3段階:外圧法の特定
年次改革要望書、日米構造協議、その他のアメリカの要求に基づいて制定された法律を特定する。関岡英之『拒否できない日本』が実証的に明らかにした通り、年次改革要望書の内容と日本の法改正は驚くほど一致している。年次改革要望書の各年版と日本の法改正を突き合わせることで、外圧によって制定された法律を機械的に特定することが可能である。
第4段階:優先度の設定
害悪の大きさに基づいて廃止の優先順位をつける。民族自決権への侵害が最も深刻な法律(移民関連法)を最優先とし、次いで経済主権を奪う法律(民営化法、規制緩和法)、そして社会を破壊する法律(女性活躍推進法等)の順に優先度を設定する。
第5段階:一括廃止
優先度の高い悪法をまとめた一括廃止法案を作成し、国会または地方議会で迅速に可決する。韓国が11ヶ月で11,000件以上の規制を総点検したように、日本もまた短期間で悪法の総点検と廃止を実行することが可能である。
廃止対象の悪法
反グローバリズム的悪法ギロチンによって廃止すべき法律は、悪法の廃止で体系的に整理されている。ここでは、審査基準に沿って主要な悪法を分類する。
外圧(年次改革要望書)に基づく悪法
| 悪法 | 年次改革要望書の要求 | 害悪 |
|---|---|---|
| 郵政民営化法(2005年) | 郵政事業の民営化・分割 | 約350兆円の国民資産が民営化。金融主権の喪失 |
| 労働者派遣法改正(1999年、2004年) | 労働市場の柔軟化 | 非正規雇用の拡大。少子化の加速 |
| 大規模小売店舗立地法(2000年) | 大店法の撤廃 | 中小商店の壊滅。地方経済の空洞化 |
| 金融ビッグバン関連法(1996年–2001年) | 金融市場の自由化 | 外資による日本企業の買収。金融主権の喪失 |
| 会社法改正(2006年) | 三角合併の解禁 | 外国企業による日本企業の敵対的買収の容易化 |
民族自決権を侵害する悪法
- 入管改正法: 移民受け入れの拡大を可能にした法改正を撤廃し、元の厳格な入管体制に戻すべきである
- 育成就労制度: 技能実習制度に代わる新たな外国人労働者受け入れ制度を廃止すべきである
- 特定技能制度(2018年入管法改正): 14分野で外国人労働者を受け入れる制度を廃止すべきである
- 永住権・帰化の緩和規定: 元の厳格な基準に戻すべきである
国家主権を弱体化させる悪法
- GATS協定に基づく土地自由化: 外国人が日本の土地を自由に購入可能にした規制緩和を撤回すべきである
- 規制緩和関連法: ショックドクトリンによって導入された規制緩和を撤廃すべきである
- 民営化関連法: 国家資産の売却を推進する法律を廃止すべきである
中間層を破壊し少子化を促進する悪法
- 女性活躍推進法および関連条例: スマートシュリンクと少子化対策に逆行する政策を廃止すべきである
- インボイス制度: 日本のソフトパワーであるアニメを弱体化させた制度を撤廃すべきである
- 農業自由化関連法: 食料安全保障を脅かす農産物の市場開放を見直すべきである
地方の悪法条例
悪法は国法だけではない。地方条例にもグローバリストの悪法は浸透している。
- 多文化共生推進条例: 日本民族の民族的同質性を破壊する機能を果たしている
- 女性活躍推進条例: 国法の女性活躍推進法に基づいて制定された地方条例
- 外国人住民投票権条例: 民族自決権の侵害であり、即座に廃止すべきである
- ヘイトスピーチ対策条例: 日本国民の言論の自由を制限する条例
地方条例の廃止は、地方議会における議決によって可能である。国政よりも少ない議席数で過半数を獲得できるため、反グローバリズム政党にとって地方条例の廃止は、国法の廃止よりも実現可能性が高い。地方から悪法を廃止していく「ボトムアップ戦略」も有効だ。
悪法を廃止し、良い規制を強化する
反グローバリズム的悪法ギロチンは、すべての法律を無差別に廃止するのではない。グローバリストが押し付けた悪法を廃止すると同時に、国民を守る規制を強化する。規制の量ではなく、誰のための法律かが問題なのだ。
| 廃止すべき悪法 | 守るべき・強化すべき規制 |
|---|---|
| 移民受け入れ拡大法、入管緩和法 | 入国管理の厳格化、国境管理 |
| 労働者派遣法(非正規雇用の拡大) | 正規雇用保護、解雇規制 |
| 民営化関連法(郵政民営化等) | 国営企業保護、戦略的産業の国有化 |
| 規制緩和関連法(金融ビッグバン等) | 金融規制、投機規制、外資規制 |
| 女性活躍推進法 | 出産・育児支援、家族保護政策 |
| 大規模小売店舗立地法(大店法の緩和) | 中小企業保護、地場産業保護 |
| 農業自由化関連法 | 食料安全保障、農業保護 |
新自由主義者は「規制を減らす」ことを無条件に善とする。反グローバリズムの立場は異なる。悪法を減らし、良い規制を増やす。これが悪法ギロチンの本質である。
戦略的優位性
悪法の廃止が新法の制定より優れている理由
| 項目 | 悪法の廃止 | 新法の制定 |
|---|---|---|
| 財源 | 悪法の関連予算が減るだけであり、むしろ財源的に有利になる | 財源の根拠を求められ、予算確保の困難に直面する |
| 前例主義 | 前の状態に戻るだけであるため、前例主義の問題が起きない | 前例のない新法は、官僚機構や司法からの抵抗を受ける |
| 違憲審査 | 元の状態への回復であるため、違憲審査の問題が起きない | 新法は違憲審査によって無効化されるリスクがある |
| 専門知識 | 「廃止する」という単純な行為であり、高度な法律知識を必要としない | 新たな法制度の設計には膨大な専門知識と立法技術が必要である |
| 実行速度 | 廃止法案は条文が短く、迅速に可決できる | 新法は審議に時間がかかり、修正を重ねる間に骨抜きにされる |
| 効果の確実性 | 悪法を廃止すれば、その害悪は確実に止まる | 良法を制定しても、悪法が併存する限り害悪は続く |
世界各国の先例
- イギリス(Brexit): 2023年の「保持EU法(撤廃及び改革)法」により、EU時代に導入された587件の法令を一括で撤廃した。外部勢力(EU)によって押し付けられた法律を、主権回復の名のもとに大量に廃止した事例
- インド: モディ政権は、2014年以降に1,800件以上の植民地時代の法律を廃止した。植民地支配者によって押し付けられた法律を廃止する取り組みは、日本にとって直接的な参考となる
- ハンガリー: オルバーン・ヴィクトル首相は、EUの圧力に屈せず、移民受け入れを拒否し、NGO規制法、主権保護法(2023年)を制定した。移民を拒否しながらも一人当たりGDPは成長しており、移民なしでも経済発展が可能であることを実証している
日本における実施手順
- 全法律・条例の棚卸し: 国法および地方条例を網羅的にリストアップする
- 外圧法の特定: 年次改革要望書、日米構造協議、その他のアメリカの要求に基づいて制定された法律を特定する
- 審査基準の適用: 上記5つの審査基準に基づいて各法律を審査する
- 優先度の設定: 害悪の大きさに基づいて廃止の優先順位をつける
- 一括廃止法案の作成: 優先度の高い悪法をまとめた一括廃止法案を作成する
- 迅速な可決: 国会または地方議会で迅速に可決する
- 関連法令の同時廃止: 各悪法の廃止に伴い、関連する政令・省令・通達も同時に廃止する
- 国民を守る規制の強化: 同時に、入国管理の厳格化、外資規制の強化、正規雇用保護の復活、食料安全保障の確保などを進める
リアリズムの観点からの分析
敵の武器で敵を倒す
規制ギロチンという手法そのものには固有の政治的方向性はない。それは大量の法律を迅速かつ体系的に廃止するための中立的な行政技術である。新自由主義者は「市場効率性」を審査基準に設定することで国家主権の解体に利用した。反グローバリズムの立場からは、「民族自決権」と「国家主権」を審査基準に設定することで、グローバリストの悪法の排除に利用できる。
新自由主義者が開発した武器で、新自由主義者が押し付けた悪法を廃止する。これこそが戦略的な知性にほかならない。
アメリカの二重基準の逆用
アメリカ自身が規制ギロチンと実質的に同等の手法を実践している。トランプ大統領は議会審査法(CRA)を用いてバイデン政権の規制を撤廃し、大統領令によって前政権の政策を一括で無効化した。アメリカが自国の政策を迅速かつ大量に撤廃する権利を行使するなら、日本がアメリカに押し付けられた悪法を同様に撤廃する権利を否定する根拠はどこにもない。
米軍撤退との関係
リアリズムの論理に従えば、法の執行力は軍事力に依存する。日本のグローバリストの悪法は、在日米軍という暴力装置によって執行力を保証されている。
議会内での悪法廃止は、現在の法秩序の中で可能な範囲での改善策であり、直ちに着手するべきである。しかし、アメリカが押し付けた法秩序の根本的な転換は、米軍撤退によってのみ達成される。アフガニスタンが証明したように、占領軍が去れば、占領軍が作った法は効力を失う。
| 次元 | 手段 | 時間軸 |
|---|---|---|
| 議会内闘争 | 悪法ギロチン、サンセット条項による個別の悪法の廃止 | 即座に着手可能 |
| 構造的転換 | 米軍撤退による法秩序全体の根本的転換 | 中長期的目標 |
結論
日本がやるべきことは明白である。年次改革要望書に基づいて制定された移民法、規制緩和法、民営化法を棚卸しし、民族自決権と国家主権への影響を基準に審査し、基準に該当する悪法を機械的に一括廃止する。韓国が11ヶ月で実行したことを、日本にできない理由はない。
「良法を作るな、先に悪法を無くせ」——この原則を、悪法ギロチンによって体系的に実行に移すべきである。
関連項目
- 悪法一覧
- 新自由主義的規制ギロチン
- 悪法の廃止
- サンセット条項
- 年次改革要望書
- 新自由主義
- 民営化
- 産業政策
- ショックドクトリン
- 国家主権
- 民族自決権
- 法の支配
- 米軍撤退
- 低賃金移民政策
- スマートシュリンク
参考文献
- 関岡英之『拒否できない日本:アメリカの日本改造が進んでいる』(2004年、文春新書)
- ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン:惨事便乗型資本主義の正体を暴く』
- Retained EU Law (Revocation and Reform) Act 2023、英国議会
- Congressional Review Act (1996)、米国連邦法
- Jacobs, Scott, "Regulatory Guillotine" 方法論、Jacobs, Cordova & Associates
- OECD Reviews of Regulatory Reform: Regulatory Policy in Korea (2017)